メディチ家と甲冑展

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先日、我が家の近くで開かれている小さな展覧会に行ってきました。
今年の6月から11月末まで我が家の近くでは、5箇所でMugello culla del Rinascimento(ムジェッロ、ルネサンスのゆりかご)という展覧会が開かれています。どれも小さい企画展ですが、メディチ家にテーマを絞っての展示はなかなか面白いです。他の展覧会もまたご紹介しますね。
(mさん、先に行ってしまってごめんなさい~。ネタバレもあるので、帰ってきてから読んでね。小さいけれどなかなか良い展覧会でしたよ)

さて、今回私が行ったのは、スカルペリーア村のお城の中で行われている「メディチ家と甲冑」展です。たったの2部屋のみで、点数も少ないのですが、普段はなかなかじっくりと見る機会がなかった甲冑や武器を鑑賞することができ、とても興味深かったです。
フィレンツェの街中からバスで行くことが出来る"Museo Stibbert"(スティーベルト博物館)や、ウフィッツィ美術館の裏側にあるバルジェッロ国立博物館でもこうした甲冑のコレクションを見ることが出来ます。

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写真左: "corrazzina"(コラッツィーナ)。写真では見えませんが、内側にはウロコのような金属片が外側からの鋲で打ちつけてあります。戦場だけではなく、貴族達は、普段の市民生活の中でも、衣服の下にこのコラッツィーナを着ていたそうです。それだけ日常生活も危険に満ちていたんでしょうね。
1478年4月26日に起こったパッツィ家によるクーデターの際には、ロレンツォ豪華王の弟、ジュリアーノがフィレンツェのドゥオーモへミサへと向かう途中、暗殺者達はジュリアーノに挨拶をし抱擁をする振りをしながら、衣服の下にこのコラッツィーナを着ていない事を確かめたのだそうです。その後、ジュリアーノは暗殺されてしまいます。

写真右: "brigantina"(ブリガンティーナ)。うろこ状になっているのである程度の体の動きに合わせるつくりですが、かなり動きにくそうです(笑)。

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写真左: 手袋も金属素材で編んであります。

写真右: "elmetto a cavallo"(エルメット・ア・カバッロ)。1500年代にイタリアでも流行った鉄かぶとです。神聖ローマ帝国のカール5世の軍で利用されていたものがイタリアで流行したそうです。
一見、防御は完璧なように見えますが、目の部分の隙間に矢が刺さってしまう(汗)こともあったそうです。


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きっとこんな立派な甲冑を身につけることが出来たのは一部の騎士のみで、歩兵達はもっと質素ないでたちだったのでしょうね。それでも、実物の甲冑を目の前にすると、よく映画の戦闘シーンなどの効果音として使われる、キーン、ガシャーンという音が聞こえてくるようです。

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これはコジモ1世が創立した「聖ステーファノの騎士団」の甲冑です。地中海を荒らす海賊退治を目的とし設立され、レパントの海戦にも参戦したそうです。
よく見ると、それぞれの部分は、ベルトで固定されています。


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体の動きを考慮して作られているとはいえ・・・動きにくかっただろうなあ。しかも船の上でこれを着用したらモーレツに暑そうです。

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これは、フランチェスコ1世(ビアンカ・カペッロとのラブストーリー覚えていますか?)のために作られたお祭り用の甲冑。お祭り用とはいえ、こんな人が前から来たらかなり怖いかも(笑)。
私はイノシシかと思いましたが、「牙が違う」とアントネッロに却下されました。何の動物なんでしょうね・・・。


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メディチ家のメンバーの中で、実戦を経験した数少ない人物の一人、ジョヴァンニ・ダッレ・バンデネーレの胸像と肖像です。
同一人物とは思えないほど、似ていないのですが、成人してからは戦場で過ごすことが多く、殆どフィレンツェに戻ることがなかったから正確な肖像画が残っていないのかも知れませんね。


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無理やり武力でフィレンツェに戻った暴君アレッサンドロ・ディ・メディチは、甲冑姿での肖像画を何枚か残していますが、コジモ1世以降、メディチ家の当主が甲冑姿で肖像を描かせる事が習慣になります。立派な甲冑姿でポーズをとる殆どの人物は、実際には戦闘に行ったことがないんですが(笑)。
(上右のフェルディナンド2世の肖像画は展覧会とは関係ありません)


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そしてメディチ家が絶えてしまう1世代前、コジモ三世(この肖像画は展覧会とは関係ありません)。
この人は怠け者で有名で、かなりの肥満体だったそうです。歩くのもやっとという彼の甲冑姿・・・。ソファーに座り、ブーツも脱いでしまって、リボンが付いたお洒落靴を履いた足をクッションの上に乗せています(笑)。

Medici in Armi
Palazzo dei Vicari ( Scarperia)
木曜日~日曜日 10時~13時、15時~19時

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Commented by sarah000329 at 2008-10-21 15:59
高校時代によくデッサンで描いていたジュリアーノ・メディチに憧れていました。
フィレンツェで目にしたメヂチ家の墓のジュリアーノさんは、昔見ていた
石膏のままでとっても感動した記憶があります。
あ~~ フィレンツェもう一度行きたいです。
Commented by burts at 2008-10-21 16:02 x
美しいのは分かるけど、
ちょっと恐怖感も出てきてしまいますねぇ・・・
Commented by maururu0724 at 2008-10-22 22:00
甲冑。。。とってもアーティスティックで興味深いですネ。
絵画でもそうですが、やはり私は服飾史にとっても興味があって、それにからめてヨーロッパの歴史を垣間みるのが好きです。

学生時代は、服飾史の授業は一番前で聞き、さらに先生をお昼に捕まえる生徒でした(笑)

chihoさんの歴史blogや絵画、美術館blogも大好きです(*v*)
Commented by miyamaea at 2008-10-23 01:10 x
CHIHOさんの文章力、なかなかです。マスマス、楽しみになってきました。しかし、滅亡する前のメディチ家のコジモ3世、道楽息子そのものですね。笑ってしまいました。さて、今夜は我が家の食卓もZUCCAのスープを作ってみようと思います。それでは、また近いうちに。失礼いたしました!
Commented at 2008-10-23 13:06 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2008-10-23 13:07 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by T.M. at 2008-10-24 21:36 x
chihoさん、こんにちは。フィレンツェに住む娘むこがジョバンニ・ダッレ・バンデネーレの肖像画の方にそっくりなのですが、驚いたことに胸像の方が彼のパパにこれまたそっくりなんですよ。我が家ではこのパパは「西郷さん」と呼ばれてます(笑)さっそく娘たちに連絡したところ、mugelloのサイトか何かでこの胸像の前からの写真を見つけたらしいのですが、ちょっとしもぶくれでやはりパパ及び西郷どんにそっくりだったとか。
Commented by lacasamia3 at 2008-10-25 19:09
sarah000329さん>メディチ家礼拝堂のジュリアーノ・ディ・メディチはロレンツォ豪華王の息子でネムール公と言われている人です。長い首をギュッと横にねじった姿の人ですね。またいつか是非フィレンツェにいらして下さいね~。
Commented by lacasamia3 at 2008-10-25 19:09
burtsさん>確かに。実際の戦闘の時にはかなり壮絶な場面が繰り広げられていたんでしょうね。
Commented by lacasamia3 at 2008-10-25 19:10
maururu0724さん>絵画や彫刻に比べると装飾品や服は余り沢山残っていませんが、当時の様子が伺われて興味深いですよね。フィレンツェのピッティ宮殿にも服飾博物館があり、コジモ1世や、エレオノーラ・ディ・トレドの服がそれぞれ1点のみですが残っています。風俗や社会の生活スタイルによって変化していくと言うのが面白いですよね。
Commented by lacasamia3 at 2008-10-25 19:10
miyamaeaさん>先日はお電話有難うございました。友人宅に行っていたので外出していてごめんなさい。次回是非♪
Commented by lacasamia3 at 2008-10-25 19:10
鍵コメmさん>一昨日メールを差し上げました。ご予算に合うようであれば喜んでお受けします。もしメールが届いていないようであれば、再度ご連絡くださいませ。
Commented by lacasamia3 at 2008-10-25 19:11
T.M.さん>そうそう、前にもそうおっしゃっていましたね。かっこいいじゃないですか~。いやいや、いまだにフィレンツェ人に人気がある魅力的な歴史上の人物なんですよ。
Commented by カバン持ち at 2008-10-27 18:05 x
日本へ帰っていたので、すっかりご無沙汰してしまって・・
久しぶりに遊びに来させて頂いたら、うっかりこんな興味深い記事を
見逃すところでした!
ウチのダンナ様は「レパントの海戦」大好き人間なので、この甲冑の
写真を見せたら、さぞかし喜ぶと思います。^^
しかし、こんなに重そうな甲冑を着てあの有名な戦いに臨むとは・・
海に落ちたら逆に重りになってしまう・・考えただけで怖いですよね。
by lacasamia3 | 2008-10-21 01:51 | フィレンツェから日帰りで行く町 | Comments(14)

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