小さな花嫁~フェルディナンド2世&ヴィットーリア

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コジモ二世が30歳で亡くなった後、クリスティーナ・ディ・ロレーナとマリア・マッダレーナ・ダウストリアの嫁姑コンビは贅沢三昧を続け、女性ならではの(汗)外交を行います。


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f0106597_1202875.jpgコジモ二世にはクラウディア(画像左)という妹がいました。彼女は、ウルビーノ大公フェデリコ・デッラローヴェレと結婚します。多くの愛人を囲い、正妻であるクラウディアを愛人達と同じ邸宅に住まわせるなど、フェデリコの余りにひどい振る舞いに、クラウディアは生まれたばかりの娘を連れてペーザロへ逃げてしまいます。その直後、フェデリコは荒れた生活がたたり、若くしてなくなってしまいます。残されたのは、クラウディアと80歳の先代のウルビーノ公、そして幼いヴィットーリアでした。クラウディアはヴィットーリアとフィレンツェのクロチェッタ修道院に身を寄せます。
2年後に、彼女は北イタリアでさっさと再婚をしてしまい、ヴィットーリアはそのままフィレンツェの修道院で育てられます。
そこで、嫁姑コンビに、あるアイデアが浮かぶのです。ウルビーノ公国の第一継承権を持つヴィットーリアと、息子のフェルディナンドが結婚をすれば、ウルビーノ公国もトスカーナの支配下に収まるというもの。(←かなり無理がありますが・汗)

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画像左: フェルディナンド2世
画像右: ヴィットーリア・デッラ・ローヴェレ(お子様サイズの大公夫人の冠を載せています。)

婚約の儀式が行われた時、フェルディナンドは13歳、ヴィットーリアはなんと19ヶ月でした。その後、約10年間、ヴィットーリアは修道院で育ち、15歳の時に正式にフェルディナンド2世と結婚します。

祖父にあたる先代のウルビーノ公とも、彼の死後、完全にウルビーノ公国がトスカーナ公国の支配下に渡るという契約を結び、嫁姑コンビの計画は順調に進んでいるように見えますが、ここで思わぬ落とし穴が・・・


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またまた、こういうときに出現するローマ教皇(笑)。
1621年に新しいローマ教皇として、フィレンツェ出身のマッフェーオ・バルベリーニがウルバヌス8世として選出されます。
ダンテの時代にもその名を残す、フィレンツェの歴史ある家系バルベリーニ家の出身であったウルバヌス8世は、常にメディチ家にライバル意識を持っていたようで、その後、ウルバヌス8世が亡くなるまでの20年間、トスカーナ大公とローマ教皇の長い確執が続くのでした。
ウルバヌス8世は即位後、すぐにウルビーノ公国の継承権はローマ教会(バチカン)にあると主張します。「国の正式な継承者が途絶えた場合、国は教会に接収される」という決まりがあったんでしょうかねえ。ウルバヌス8世は、ヴィットーリアの継承権を認めず、ウルビーノ公国とトスカーナ公国の間で結ばれた契約も無視します。
度重なる、フェルディナンド2世の交渉も虚しく、結局、ウルビーノ公国はバチカンに接収されてしまいます。
「不動産」はバチカンのものになったものの、パラッツォ・ドゥカーレ(大公邸)にあった絵画や家具、宝石など移動できる資産は、ヴィットーリアが相続します。
その中の一部が・・・

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ピエロ・デッラ・フランチェスカ作 1470年頃
「ウルビーノ公夫妻の肖像」
 フィレンツェ ウフィッツィ美術館蔵
ルネサンスの傑作ですよね。この絵をウフィッツィ美術館で鑑賞する度に、勿論素晴らしい色彩やプロフィールの形の遊び心に感動するのですが、また、背後のウルビーノの風景をフィレンツェのウフィッツィ美術館で見ることに違和感を覚えたりしていました。
この絵がウフィッツィ美術館に展示されているのには、こんな訳があったんですね。

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ティツィアーノ・ヴェチェッリオ作 1538年
「ウルビーノのヴィーナス」
 フィレンツェ ウフィッツィ美術館蔵
画面を左右半分に分けて、女性の白い上半身を余計に引き立たせているというところが何とも斬新な作品です。奥には女中が片付け物をしているし、ベッドの上には犬がいるし・・・。ヴィーナスという作品名で呼ばれているものの、ヴィーナスではなくて実際の女性に見えます。


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ティツィアーノ・ヴェチェッリオ作 1538年
「エレオノーラ・ゴンザーガの肖像」
 フィレンツェ ウフィッツィ美術館蔵
同じく、ヴィットーリアが相続し、フィレンツェに持ってきた絵画です。マントヴァのゴンザーガ家からウルビーノにお嫁入りした大公夫人です。左横に寝ている犬がヴィーナスの右横にいる犬と同じ!ティツィアーノの飼い犬だったんですかねえ?

またウフィッツィ美術館に行きたくなりました(笑)。

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Commented by カバン持ち at 2008-09-28 19:23 x
前回の嫁姑コンビのお話からコジモ二世の妹へと展開して、
そしてそのクラウディアの娘の相続、結婚。
さらに(毎度お馴染み?)ローマ教皇の登場!とお話は盛り上がり、
楽しく読み進んでいくと・・
なんと、ウフィッツィ所蔵の名画の数々に辿り着き、さらにその解説付き。
「うわ~ぉ!」とひとりパソコンの前で盛り上がってしまいました。 拍手!
今夜も楽しいお話を本当にありがとうございました。
Commented by NYM at 2008-09-29 10:20 x
エレオノーラ・ゴンザーガが実はヴィーナスの正体であったという仮説はいかがでしょうか?製作年も同じですし…ちょっと無理があるかしら…
Commented by solarita at 2008-09-29 18:00 x
嫁姑コンビの陰謀?から、UffiziでTizianoの至宝の絵画を鑑賞できる
ことになったなんて、物事の顛末、歴史って、ほんとうに面白いですね~

同じ犬の謎?も気になります・・・

遅ればせながら、YUKIちゃんご入学おめでとうございまーす♪
Commented by michizou at 2008-09-29 22:08 x
こんにちは。
本当だ、同じ犬に見えますね!
クラウディアとフェルディナンドも似ていますねー。
勿論、ヴィットーリアは娘さんなので似ていますね。
フェルディナンドとヴィットーリアが似ているのも何だか面白いです。
この夫妻の肖像、子どもの頃に本に載っていて、何故かとても気に入っていたのを覚えています。
メディチ家シリーズ?は見て読んで楽しいので大好きです。
Commented by lacasamia3 at 2008-09-30 18:01
かばん持ちさん>絵画がなぜそこにあるのかって、調べると、結構その背景にはいろいろな話があるものですね。こうして時代順に人物に絡めて考えるとまた面白いです。
Commented by lacasamia3 at 2008-09-30 18:03
NYMさん>うんうん、確かに顔付きが似ていますよね。私もじっと見てしまいました。でも見れば見るほど、ヴィーナスの普遍的な美しさに魅了されてしまいます。ティツィアーノの妄想(汗)だったのかしら?
Commented by lacasamia3 at 2008-09-30 18:05
solaritaさん>有難うございます。毎日元気に楽しく学校に行っています。中世の美術品は結構、エピソードが絡んだものが沢山あるんですよね。
Commented by lacasamia3 at 2008-09-30 18:06
michizouさん>そうそう、フェルディナンド2世って叔母さん似ですよね。メディチ家シリーズ、まだまだ続きます♪
by lacasamia3 | 2008-09-28 02:03 | フィレンツェ小話 | Comments(8)

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