チピの冒険物語

チピの冒険物語_f0106597_1517445.jpg小学校が始まる前に、1つどうしてもアップしておきたかったのが、ユキちゃんが幼稚園から持って帰ってきたお絵かきです。沢山の力作があるのですが、今回は、「チピの冒険」

幼稚園の緑組さんでは、先生が1年間かけて、Mario Lodi著の"Cipi "(チピ)という本を読み聞かせをしてくれたのです。文庫本だから、絵はなく、子供達は先生が毎回1章ずつ語ってくれるお話にジッと耳を傾けます。その後、お絵かきの時間。イタリアの子供だからなのでしょうか、子供達は全員で同じテーマを与えられることを嫌うそうです。だから、他の子が皆、好きな絵を描いている間に、毎回違う子供達が4、5人だけピックアップされ、その日に聞いた1章分のお話を絵に描いたのです。チピの絵を描く子は毎回ローテーションで替わり、全員が満遍なくあたるようにしていたそうです。

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お話は、チピというスズメが卵から生まれ、様々なキケンを乗り越えながら育ち、最期にはメス鳥を見つけて巣を作り、再びこすずめを育てていくという話です。

先生達は、学期の終わりに、それぞれの子供達が描いたお話を他の子分もカラーコピーを取り、まとめて、1冊の本にして下さったんです。コレだと、自分の子供の絵だけでなく、お友達の絵も楽しく鑑賞することができるし、再び、チピのお話を読み返すことが出来るという素敵なアイデアです。A3サイズのカラーコピーはとてもクオリティーが高く、どうやら、印刷の仕事をしているクラスの子のお父さんが協力してくれたそうです。


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↑これは、ユキちゃんの1枚目の絵。
先生が、子供達に「これはなあに?」と聞いて、子供達が答えたコメントもちゃんと書いてあります。

「お父さん鳥」
「パラッツォ」
「3個の卵を温めているお母さん鳥」
「綺麗なお花が沢山咲いているお庭」



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左: わはは、太陽が口紅をつけています(笑)

右: これは、ユキちゃんのお友達N君の絵(部分)。N君のお父さんは、猛禽類センターでボランティアをしています。だから、フクロウの絵がとっても上手!
「チピとスズメ」
「彼らの気を惹いて食べようとするフクロウ」
「星」




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↑ユキちゃん2枚目。何故かユキちゃんはクラスで唯一、画面を4つに分けて1つの章の中の4つのエピソードを4コマ漫画形式で描き始めます(笑)

左上: マンマの巣に戻っているチピ」(更に画面を2つに分けて、チピの帰りを待つ母鳥と、一生懸命に飛んでいるチピを同時に描いています)

右上:「黒くて深い穴に落ちるチピ」(煙突なんですね。ははは、うちにも煙突があるからか、内部構造はかなり正確に描いています)
「家の中には子供がいます」

右下: 「子供達はチピの足を縛り付けてしまいます」
「マンマが『私の小さなチピ、マミーの元に飛ぶのよ!』と言います」

左下: 「チピは他のスズメ達に、自分の冒険談を語り、あの黒くて深い穴の中にいる子供達がいかに意地悪かを伝えます」



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↑ユキちゃん3枚目。ここでもやはり4コマ漫画形式です。

左上: 「チピとスズメは、月に向かって、『お月様、夜のシニョーレはこすずめにとっては殺し屋なんだっていうことを証明するのを手伝ってくれますか?』と聞きます」

右上: 「お日様、あなたは僕らのお友達なのだから、夜のシニョーレの化けの皮を剥ぐのを手伝ってくれますか?」

左下: 「雲さん達、世界中を旅するあなた達だから、夜のシニョーレは殺し屋なんだって皆に伝えてくれますか?」

右下: 「風さん、夜のシニョーレの全てを知っているあなたは、彼がこすずめの殺し屋なんだっていう証拠を見つけてくれますか?」

(風という形のないものを、こうして擬人化しているところが面白いです)

他の子の絵もとても上手でした。
子供達は、週に一回の「チピ」の読み聞かせをとても楽しみにしていたようで、ユキちゃんも良く私に「今日のチピはね・・・」と語ってくれていました。
全く絵のない本の読み聞かせだから、子供達が描いた絵は純粋に子供達の空想の産物です。

辛抱強く、子供達を指導して下さった先生達に大感謝です。

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Commented by ワラビー at 2008-09-08 22:38 x
はじめまして。
かなり前からブログ楽しく拝見しています。
特に大好きなのはゆきちゃんの絵。やっぱり環境がちがうと書く絵も違いますよね。カラフルでさらに具体化してきた絵に今後も期待しています。
Commented by sumi at 2008-09-08 22:48 x
記事を拝見していて、自分が幼稚園のころの先生の読み聞かせを思い出しました。
「エルマーとりゅう」という本だったのですが、とても大好きで、小学校に入ってから読み返したりも。
読み聞かせのあとに子どもたちに絵を描かせるのは、とてもステキですね。
Commented by wocean at 2008-09-08 23:17 x
子供たちの想像を豊かにしてくれるとてもいいアイディアですね。
こーやって、芸術家が生まれるんですね。
ゆきちゃんの今後の絵もとても楽しみです。
Commented by michizou at 2008-09-09 00:12 x
こんにちは。
鳥やおうち、お花と、文章だけなのに、子どもたちって
こんなに詳しく想像しているんですね。
かわいいなぁ。飾りたくなっちゃいますね。

↓へぇ〜!へぇ〜!と以前にあった何かの番組の様に関心してしまいました。
Commented by sicilia_trapani at 2008-09-09 02:04
想像力が豊かだねね~、チビッコって。
聞いただけのお話を、こんなに細かく描写してしまうのだからすごいわ。
そして、細かく絵を観察&分析しているchihoちゃんもエライ!(笑)
Commented by totoro at 2008-09-09 09:10 x
ゆきちゃんの絵、カラフルでエネルギーにあふれていていいですね!!それと、先生の書き込みや印刷がクラスにいる親御さんの協力でなされたなど、ますます心温まる感じがして素敵です。
Commented by pino-ombra at 2008-09-09 09:22
いつも拝見していますが、コメント書かせて頂くのは(多分)初めてです。
むかーし、イタリアに一年間住んでいました。
ユキちゃんと同い年の娘がいます。ユキちゃんの様子を見ていると、
娘と比較できて面白いです(笑)。
ユキちゃん、本当に絵が上手ですね!
Questa storia e' stata illustrata....の説明文で、「子供達」の
複数形が男の子と女の子、両方書いてるのに「へえ~」と思いました。
bambiniだけで男女両方を指すこともあるのでしょうけど、
丁寧な書き方だなあ、と。
Commented by 中西 at 2008-09-09 13:49 x
他の子と同じ事をする事を嫌う子供達に押し付ける事無く長い時間を掛けてひとつのテーマを完成させるって本当に素晴らしいです。イタリアの教育方法?見習いたい所ですね!
Commented by ねむりぐま at 2008-09-10 06:13 x
ユキちゃん、才能ありますね~。 独創性がまたいいですね。
イタリアの子どもはみんな同じというのを嫌うのですね。自立心があっていいな~。 フランスも小さい時から「人と違う」ことを誇りとするようです。面白いですね。
Commented by すみころ at 2008-09-10 09:06 x
はじめまして。以前から楽しく拝見させていただいていました。
私は旦那さんとマリオさんの大ファンです♪
今、3ヵ月になる娘がいます。いつかゆきちゃんのように、素敵なおんなのこになってくれるのかなぁーと、夢見ています。両親やまわりの人たちが素敵に一生懸命楽しく生きているから、それを見て、ゆきちゃんもすくすく育っているんですね。
お仕事と子育ての両立、大変そうですがお体きをつけてくださいねー
Commented by lacasamia3 at 2008-09-11 01:57
ワラビーさん>こんにちは。いつもブログを見てくださって有難うございます。子供の絵って時期によって少しずつ変化するから面白いですよね。「ふ~ん、こんなことにこだわるんだ」とか「こんな風に見えているんだ」って判って面白いです。
Commented by lacasamia3 at 2008-09-11 01:58
sumiさん>「エルマーとりゅう」って懐かしいです。自分のお気に入りだったのお話って大きくなっても結構覚えているものですね
Commented by lacasamia3 at 2008-09-11 01:59
woceanさん>何もないところで想像しながら世界を広げていくことが出来るって、文学の力だと思うんですよね。子供の頃から本に親しむことって大事だなあと思います。
Commented by lacasamia3 at 2008-09-11 01:59
michizouさん>物語の設定は本当にシンプルなのに、子供にとってはワクワクしちゃう冒険物語なんですよね。
Commented by lacasamia3 at 2008-09-11 02:00
Reiちゃん>ちびっ子って大人が考えている以上に色んなことを考えているのだよ。面白いでしょ?
Commented by lacasamia3 at 2008-09-11 02:00
totoroさん>お金をかけなくてもこんな素敵な思いで作りが出来るんだなあって思いました。ユキちゃんもたまに読み返していますよ。
Commented by lacasamia3 at 2008-09-11 02:00
pino-ombraさん>こんにちは。幼稚園の先生方は本当に丁寧に子供達に接してくれました。熟年の先生二人だったのですが、子供達の心の支えにもなってくれていたようです。
Commented by lacasamia3 at 2008-09-11 02:01
中西さん>皆、一斉に同じことをやらなくても良いんだなあって目からウロコでした(笑)。まとまりのないイタリア人の子供達ですが、それなりに個性が尊重されるんですね。
Commented by lacasamia3 at 2008-09-11 02:02
ねむりぐまさん>やっぱり色んな人種が交じり合っているからなのかなあ。人と違うことが1つの価値としてみなされるって、歴史的なものなのかも知れませんね。
Commented by lacasamia3 at 2008-09-11 02:02
すみころさん>ははは、マリオ?伝えておきます(笑)。冬場に我が家に居候に来るかもと言っていました。3ヶ月の赤ちゃん、可愛いんだろうなあ・・・。ありがとう。すみころさんも焦らずのんびり、子育てを楽しんでくださいね。
by lacasamia3 | 2008-09-08 16:43 | イタリア子育て~幼稚園編 | Comments(20)

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