イザベッラの場合・・・

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久しぶりにフィレンツェ小話です。
ええっと・・・夏休み前は、コジモ大公の息子、ピエトロの話でしたね。子沢山ではあったものの、子供は不運続きであったコジモ大公ですが、ピエトロの他にあと2人の娘がそれぞれ殺人事件に巻き込まれてしまいます。

イザベッラ ( 1542-1576) の場合・・・(画像左)

コジモ1世の娘のうち、一番美しいといわれていたイザベッラは、兄のフランチェスコの愛人であったビアンカ・カペッロに対して、家族の中で唯一、僅かながらも、親しみを持っていたのでした。
美しさと知識を持ち合わせ、人柄の良さで周囲を惹きつける魅力を持っていたイザベッラですが、18歳の時にローマの貴族パオロ・ジョルダーノ・オルシーニ(画像下左)と結婚して以来、彼女の不幸が始まります。


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ローマの有力な貴族であったオルシーニ家からは、ローマ教皇も生まれ、ローマ周辺の多くの領地を支配していました。イザベッラの夫、パオロはローマの北側40キロの場所にある、ブラッチャーノという町の領主でした(現在も美しいお城が残っているんですよ)。結婚当初から、パオロは愛人とローマに住み、イザベッラはフィレンツェに住むという別居生活でした。

愛人ヴィットーリア・アッコランボーニ(画像上右)はパオロと結婚をする為に、パオロと一緒に殺人計画を企みます。


容疑者 パオロ・ジョルダーノ・オルシーニ、ヴィットーリア・アッコランボーニ
被害者 イザベッラ・デイ・メディチ、フランチェスコ・ペレッティ


まず、二人はイザベッラを殺害する計画を練ります。前にも書きましたが、この時代、家長は家族のメンバーの生死を決める権利を持っていたのです。パオロはイザベッラが浮気をしていたという疑惑(この疑惑については真実であったという説もあるのですが・・・)をでっち上げます。

前から二人の企みを予感していたイザベッラは、パリのカテリーナ・ディ・メディチに向けて亡命の懇願する手紙を送っています。同年7月11日にピエトロが妻を殺害するという事件が起こった僅か5日後、1576年7月15日に突然、パオロがフィレンツェに戻るという知らせが届き、イザベッラはフィレンツェ郊外のメディチ家の別荘ヴィッラ・ディ・チェレート・グイーディに呼び寄せられます。

不吉な予感がしたイザベッラは、友人ルクレツィア・フレスコバルディと一緒に待ち合わせ場所へと向かいます。パオロとの夕食後、寝室へと戻ったイザベッラは、パオロとパオロの友人の騎士によって絞殺されてしまいます。

更に、パオロは愛人ヴィットーリアの助けを得て、ヴィットーリアの夫であるフランチェスコ・ペレッティもローマの自宅で殺害します。

こうして、晴れて(汗)、未亡人となったヴィットーリアとパオロは、ローマ教皇グレゴリウス8世に結婚の儀式を拒否され、ペレッティの暗殺の罪で追われることになったものの、教皇の力が及ばないブラッカーノで暮らすのです。1585年教皇グレゴリオ8世の死後、次の教皇に替わる空白の期間を利用し、二人はこっそりと結婚をするためにローマへと戻ります。所が、次の教皇になったのは殺害されたペレッティの叔父のシクストゥス5世
パオロとヴィットーリアは、教皇による復讐とトスカーナ大公から送られた暗殺者を恐れ、ヴェネツィアまで逃げます(皆、ヴェネツィアに逃げるんですね・笑)。

二人はヴェネツィアで1585年4月20日に結婚し、パオロは同年11月に亡くなります。その後、ヴィットーリアはパドヴァへと移り住むのですが、そこでパオロによって兄を暗殺されたパオロの親戚ルドヴィゴ・オルシーニによって殺害されます。

こうして、悪巧みをした二人は結局不運な最期を迎えたのでした。
余談ですが、ローマ教皇が誰になるかって、この時代(もしかしたら今も?)政治的にかなり重要なんですよね。

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Commented by カバン持ち at 2008-09-03 07:39 x
毎回、楽しみにしているchihoさんの”フィレンツェ歴史小話シリーズ”
いつも、とても面白くてイッキに読んでしまいます。
それにしても当時の貴族のヴェネツィア逃避行は多いですよね。 笑
Commented by solarita at 2008-09-03 13:01 x
ドラマチックな歴史のお話、今回も楽しく読ませていただきました。
フィレンツェって、今こうした中世の人たちが街角から現れても不思議じゃない雰囲気がありますよね。住んでいる方々のご努力があってのことだと思いますが、素晴らしいことだなぁとふと改めて思いました!
Commented by 優子 at 2008-09-03 23:07 x
こんばんは。優子と申します。
私もいつもフィレンツェ歴史小話シリーズを楽しみに
しています♪
chihoさんが書かれているようなかんじで、日本で本が
あればいいのにと思います。

昔の人も今の人も、あまり変わらないのかな?!
と思う人間劇がみられますが、昔のほうが以外と
大胆だったりしてびっくりさせられますね。

これからも末永くシリーズを続けて欲しいです!
よろしくお願い致します。


Commented by MIKA at 2008-09-05 00:08 x
ブラッチャーノのお城と言えば! トム・クルーズが結婚式をあげたあのお城かな?
Commented by lacasamia3 at 2008-09-08 01:03
カバン持ちさん>1500年代、1600年代のフィレンツェって私自身も詳しく知らなかった部分だから、書いていてとても楽しいです。エピソードに満ち溢れた時代ですね。
Commented by lacasamia3 at 2008-09-08 01:06
solaritaさん>フィレンツェの面白いところは、こうした昔の出来事が実際に起こった場所や建物、それに関わる美術品などがそのまま残っているところなんです。
Commented by lacasamia3 at 2008-09-08 01:06
優子さん>こんにちは。私は読んだ事がないのですが、塩野七生というルネサンスに関する物語を書かれている作家の本が面白いようですよ。ネタはまだまだ沢山あるので、何年もかけてちょっとずつ書き続けたいなあって思います。
Commented by lacasamia3 at 2008-09-08 01:07
MIKAさん>そうかもっ!何処かで聞いたことがある名前だなあって思っていたんです。さすがローマ在住!
by lacasamia3 | 2008-09-02 22:11 | フィレンツェ小話 | Comments(8)

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