メディチ家事件簿~ピエトロ・デ・メディチ

メディチ話も大分時代が下ってきましたが、フェルディナンド1世以降に移る前に、ちょっと時代を遡り、コジモ1世の他の娘達のお話を少し・・・

本当にエピソードに尽きない家族だなあって思います(笑)。
結構意外なのですが、初代トスカーナ大公として、あれだけその名を世界に轟かせたコジモ1世(画像下左)ですが、老後は結構寂しく亡くなったんです。愛する妻エレオノーラ・ディ・トレドと二人の子供を一度にマラリアで失った後、2年後にトスカーナ大公の座をフランチェスコへと譲り、自らはヴィッラ・ディ・カステッロでひっそりと暮らします。


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1570年に財産分けをしないということを条件に、カミッラ・マルティネッリ(画像上右)という貴族の女性と再婚します(コジモ1世当時51歳、カミッラ当時25歳)。この結婚が原因で、子供達との関係が悪化していきます。脳梗塞が元で、会話をすることも出来なくなってしまったコジモ1世は、1574年にヴィッラ・ディ・カステッロでひっそりと亡くなります。

コジモ1世の長男フランチェスコ1世は、翌年、当時29歳だった継母であるカミッラをムラーテの修道院(カテリーナ・ディ・メディチが入れられた修道院です)へと強制的に入れます。フランチェスコ1世の死後、次男のフェルディナンド1世により、12年後、ようやく修道院から出ることが出来たのですが、既に精神を病み、再びサンタ・モニカ修道院に入れられそこで1634年に亡くなります(享年89才)。

先妻エレオノーラとの間に沢山の子供をもうけたコジモ大公ですが、それぞれ子供達はかなり波乱万丈の生涯を送っていて、結局、安定した結婚生活と老後を送ったのは、フェルディナンド1世だけでした。幼くして病気で亡くなった子供達を除き、成人した子供達が関わる3件の殺人事件が起こります。


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ピエトロ(1554-1604)の場合・・・(画像上左)

ピエトロはコジモ1世の五男で、主に外交に携わり、コジモ大公を下から支えます。幼少の頃から激情しやすい性格で、人間性という面でかなり問題があったようです。
従兄弟にあたる、ナポリのレオノーラ・ディ・トレド(画像上右)(母エレオノーラの弟の娘)と1571年に結婚しますが、ピエトロは浪費三昧、浮気三昧を続け、新婚当初からレオノーラに対して酷い態度を取ります。

夫に見向きもされず、だだっ広いメディチ宮にポツンと住んでいたレオノーラの悲しみは計り知れません。
そして、レオノーラは自分と同じ年の優しい貴族の青年、ベルナルド・アンティノーリと恋に落ちます(子孫はキャンティワインで有名なアンティノーリ家です)。
ある事件が原因となり、二人の関係はピエトロに知られてしまいます。ある日、ベルナルドはストロッツィ宮殿の脇で友人と喧嘩になり、相手を刺殺してしまいます。彼はすぐに逮捕され、アンティノーリ宮(現在もトルナブオーニ通りに残っています)に拘留されます。レオノーラは愛する人を一目見たさに、アンティノーリ宮の周りをコッソリとうかがうのですが、彼の姿を見ることは出来ません(窓が小さいからね・笑)。

エルバ島へと移送されたベルナルドは、レオノーラに密かに手紙を送ります。所がどうしたことか、この手紙は、夫のピエトロの手に渡ってしまい、二人の関係がバレてしまいます。ベルナルドはすぐにフィレンツェのバルジェッロへと移送され、6月20日に処刑されます。

7月11日にレオノーラは夫のピエトロよりヴィッラ・ディ・カファッジョーロ(フィレンツェの北側、我が家の近くにあるメディチ家の別荘です)に来るようにと伝えられます。死を予感したレオノーラは泣きながら幼少の息子をフィレンツェへと残し、夜、カファッジョーロへと向かいます。彼女の予想通り、同日、ピエトロはレオノーラを絞殺します。

この時代、家長は妻と子供達の生死を決める権利があったそうで、ピエトロには何の罪も課されません。しかしながらフランチェスコ1世は、弟のピエトロをフィレンツェから遠ざけます。彼の浪費癖と女遊びはその後も続き、結局、多額の借金を抱えて亡くなったのでした。

メディチ家事件簿はまだ続きます・・・

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Commented by juliavonlea at 2008-08-02 08:45
コジモ1世って何となく、「フォレスト・ガンプ」に出て来たフォレストの上官に(←戦争で両足を無くしてしまった男性。後に、フォレストとエビ釣り船で大成功する)似てませんか?なーんてスミマセン、関係ないコメントで。^^;
メディチ家。
遠い昔のお金持ち・・・という漠然としたイメージでしたが、chihoさんの記事を読んでいると、何だか気持ちが寄り添うような、そうだったのねーという気持ちになります。
Commented by greenlove at 2008-08-02 11:24 x
本当に壮大な大河ドラマみたいですね。
これが実際の歴史上の話なんですから
驚きです。日本でもそうですが当時は「不義密通は大罪」が通例でしたから今では考えられないような話に展開していきますね。ドイツのルートビッヒ二世の生涯もまるでドラマのようでとても興味深かったのですがヨーロッパの中世には権力、恋愛、財力が絡み合って下手な小説よりよっぽど面白いです。そういえば今、日本は珍しく大河ドラマが人気で(篤姫)、時代ものには弱い私も結構楽しく見ています。
Commented by tonton at 2008-08-02 12:03 x
う~ん・・・ドラマティック。
エレオノーらがフィレンツェに残した幼少の息子って、ピエトロとの子?それともベルナルドだったのでしょうか?息子がいたなんて知りませんでした。
栄華を誇ったコジモ一世も最後は脳梗塞・・・。お気の毒でしたね。カミッラも可哀想・・・。
この時代の女性は男性に振り回されて、悲劇的な最期を遂げた人が多いですね・・・。
Commented by kato_note at 2008-08-02 13:56
高校の時の世界史の先生の影響でメディチ好き(?)好きというよりも、すごいなぁって感じでしょうか。フィレンツェに行ったときピッティ宮(パラティーナ美術館)には行けたけど、リッカルディ宮はお休みで入れなかった事が心残り…メディチ家について勉強していざリベンジ!!
Commented by kawazukiyoshi at 2008-08-02 16:36
大変時代だったのですね。
こんな話を聞くたびに、その当時の結婚というのがいかに
政略的なものだったかが分かる気がします。
現代でも、こんなエピソードがそのままの家庭が日本にもあるようです。
もちすぎる人たちは怖い。
今日もスマイル
Commented by stessa2 at 2008-08-02 16:39
フィレンツェ小話、いつも楽しみにしています。
あ~、このコジモ1世の長男フランチェスコ1世が、以前書かれていた「愛の逃避行」のお話と繋がるのですね!ん、面白い!
部分的には見聞きしていても、こういった歴史上の一族のお話って流れが摑みにくいものですが・・毎回、本当に楽しませて貰っています。
次回もまた期待してますね。 
Commented by ねむりぐま at 2008-08-03 02:50 x
メディチ家って、本当に、面白いですね~!
一昨日、TVでカトリーヌ・ド・メディシスの特集がありました。
Chihoさんによる予備知識があったので、面白かったです。彼女もすごい女性ですね~。
いや、メディチ家はみんなすごい!(笑)
Commented by lacasamia3 at 2008-08-08 00:17
juliavonleaさん>う~ん、上官の顔は覚えていないけれど、エビ釣り船のシーンは覚えています。うん、私も好きな映画の1つです。
Commented by lacasamia3 at 2008-08-08 00:18
greenloveさん>イタリアだと歴史物のドラマはローマ時代の設定か、ルネサンス時代のものが多いです。確かに、エピソードが沢山あって興味深いですもんね
Commented by lacasamia3 at 2008-08-08 00:18
greenloveさん>イタリアだと歴史物のドラマはローマ時代の設定か、ルネサンス時代のものが多いです。確かに、エピソードが沢山あって興味深いですもんね
Commented by lacasamia3 at 2008-08-08 00:18
tontonさん>エレオノーラが残した子供は残念ながら翌年亡くなってしまうんですよ。むむむ・・・どっちの子供だったんでしょうね。
Commented by lacasamia3 at 2008-08-08 00:18
kato_noteさん>次回は、リッカルディ宮を訪れることが出来ると良いですね。フィレンツェって見所が多い街だなあって、最近改めて思っています。
Commented by lacasamia3 at 2008-08-08 00:19
kawazukiyoshiさん>そうそう、特にこの時代は離婚をするということが殆ど不可能だったので、不幸な結婚生活を送った人も沢山いたんでしょうね。
Commented by lacasamia3 at 2008-08-08 00:22
stessa2さん>そうそう、その頃と同じ時代です。順番でいくとちょっと逆になったんですが、先に進む前に書いておきたいなあって思いアップしました。
Commented by lacasamia3 at 2008-08-08 00:23
ねむりぐまさん>フランスにお嫁に行ったカテリーナも波乱万丈な人ですよね。フィレンツェでの幼少時代のことも取り上げられたのかな?
by lacasamia3 | 2008-08-01 20:50 | フィレンツェ小話 | Comments(15)

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