昨日の午後から24時間シフトに入っています(私はただのボランティアだけど、シフトは日本の消防隊員みたい!)。
昨日はレッドコード2件という一日でした。2軒目は、センターから10分ほどの場所にある高齢者介護施設に入院している女性でした。ここ数年は進行性の疾患で寝たきり、意識も殆どなく、しゃべることも出来ない状態だったそうです。危篤状態になったけれど、救急病院に搬送したところで、出来ることは余りありません。それでも、ご家族の希望も合わせて、フィレンツェの救急病院への搬送が決定。バイタルサインを取りながら、綺麗に切りそろえられた形の良い爪や、ウェーブしたフワフワの白髪を見て、若い頃は美人さんだったんだろうなと思いました。
患者をストレッチャーに乗せて運んでいる途中、施設の入り口で息子さんに会いました。ストレッチャーを救急車に運び込んで、シートベルトで固定し、出発の準備が整った所で、看護師のGさんがドライバーのスナフキンに「ちょっと出発は待ってて」と言い、息子さんを救急車の中に招き入れました。
マンマ・・・とお母さんを抱きしめてキスをする息子さん。
「去年の2月からもう1年も抱きしめてあげられなかった」って泣いていました。こうした介護施設ではコロナで厳しい面会制限がずっと続いています。家族は面会すら出来ません。
エンジンがかかった救急車の中で、私とGさんはギリギリまで出発を待ちました。たったの5分くらいだったと思います。でも心の中で「もうちょっと、もうちょっと」って思っていました。
救急病院でも、中に入ることは出来ないし、待合室にも入れないから外で待つしかないのですが、息子さんは、せめて近くに居たいと、救急車の後を車で病院までついて来ていました。
息子さんにも、患者さんにとっても、出発前の救急車での5分間はきっと大切な時間だったと思います。
帰りの道中、Gさんが、「進行性疾患の末期患者の場合、僕らや病院が出来ることは少ない。だから人間性が必要なんだ」ってボソッと語っていました。病院に行く、行かないの選択とか治療の選択、患者や家族との接し方とか、全員じゃないけど、救急隊の看護師の中には、umanita' (人間らしさ、人間性)を大事にする人が何人かいます。勿論、守らなければいけない厳しい規則、プロトコルはあるけれど、ギリギリの選択の中でほんの少しだけでも人の心が入る余白が持てること、そういうことを大事にする同僚と共有する瞬間が、私にとってこのボランティアを続ける原動力なのだと思います。
読んで泣きました。息子さんとお母さんの一生が詰まった五分間でしたね。すばらしいお仲間です。
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ebu ebu
at 2021-01-25 22:21
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gladtoseeyou2020 at 2021-01-26 13:07
ひと月前の私と同じ状況…
介護施設にいてずっと面会できなかった母を転院させるための介護タクシーのなかでの30分だけ。もう意識のあまりない母の手を握って顔を撫でてひたすら泣いていました。
でも、その時間があったから今はこの先にくるお別れにたじろがずにいられるような気がします。
そんな大事な時間を作り出してくれているのですね。
ボランティア…高い意識で動いてくださる方たち。
尊敬します。
介護施設にいてずっと面会できなかった母を転院させるための介護タクシーのなかでの30分だけ。もう意識のあまりない母の手を握って顔を撫でてひたすら泣いていました。
でも、その時間があったから今はこの先にくるお別れにたじろがずにいられるような気がします。
そんな大事な時間を作り出してくれているのですね。
ボランティア…高い意識で動いてくださる方たち。
尊敬します。
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emi_home
at 2021-01-28 01:52
昨年祖母が亡くなる前に転院で、救急車で運ばれる際に、母が付き添った時 同じく少しの時間をいただきました。その時、母が祖母に「コロナで会いに来られなくてごめんね」と泣きながら祖母に話しかけたら、「私は大丈夫だよ。何も気にしなくていいんだよ」と喋れないはずの祖母の声が聞こえたそうです。その少しの時間が祖母が亡くなってしまった今、母の後悔の念を少し軽くしてくれてると思います。
この記事を読んでグッときました。
気持ちに寄り添う…そう意識して働いてくださる方々 本当に素晴らしいなぁと思います。
この記事を読んでグッときました。
気持ちに寄り添う…そう意識して働いてくださる方々 本当に素晴らしいなぁと思います。