人は見かけによらない〜救急日記

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先週の土曜日、救急センターに泊まりでした。夜の間は眠れたのですが、朝、シフト交代の前にサイレンが鳴り(次のシフトの人はまだ来ていなかった・涙)、病院間搬送へ出動。今回初めて会う看護師と一緒になりました。
看護師が同乗する救急車はそれぞれのセンターで1台あるかないかで、看護師は保険局から派遣される形となり、フィレンツェ市内と周辺の大小の救急センターをローテーションで周っています。土曜日に初めて会った看護師は、女性。私は基本的に、どんなに癖のある人でも大丈夫なんですが、唯一苦手なイタリア人のタイプは、声が大きくて威圧的な女性(汗)。気が合う看護師とは患者を乗せていない時など結構色々な話をしたりするのですが、苦手なタイプの看護師とは必要最低限のコミュニケーションのみ。今回も、病院へ向かう途中、助手席の彼女が大きな声でドライバーと笑い話をしている間、私は後ろの席で、静かにスマホをいじっていました。心筋梗塞の患者を、精密検査を行う為にフィレンツェの病院へ運ぶ途中、(患者を乗せてからは、看護師は患者の横の後部座席に座ります)ふと彼女が、「xxさん、どう?気分悪くない?」って声をかけ、患者が「大丈夫」ってジェスチャーで答えてくれた時、さっと私を見て、笑顔でウインクをしたんです。おおー、何か一気に印象が変わった!思わず私も笑顔になりました。それから、一気に氷が溶けるかのように、帰り道に色々な話をするようになりました。


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(キッチン前の葡萄がこんなに茂っています。写真は2階の窓から撮ったもの)

今朝は、またまた初めましての別の看護師(今回は男性)。レイバンのサングラスに、頭は黒のバンダナ、黒の布マスクで、耳はありったけのピアス、綺麗に切り揃えられた眉毛とあご髭、3重のバングルと指輪、という見た目かなり強烈な人でした。おおお〜(汗)、こ、これはまたどんな人なんだろうと、ドキドキしながら、「救急車のチェックする時は言ってね、私も立ち会いたいから」ってお願いしたら、「よし、これからやろう!」と答えてくれました。

毎回、朝のシフトの時は、一番最初に、救急車内の全ての医療器具、薬品や注射針、マスク、酸素ボンベ、生体モニター、AEDなどをチェックします。看護師によっては、必要最低限のチェックしかしない人もいるのですが、Mさんは本当に全てをチェックし、一つ一つ説明をしてくれました。リュックに今まで開けたことがなかったポケットがあって(その存在すら知らなかった)、そこには新生児用の臍静脈ルート確保セットが入っていました。もちろん、私が使う訳ではなく、看護師が使うのですが、リュックから取り出してと言われたら、どこにあるのか、私がその場所を知っていなくてはいけない。新生児の臍静脈カテーテルを救急車内や出動先で行う可能性は一生に一度あるかないかかもしれないけど、その一度に100%完璧に備えなくてはいけないことを、思い知らされました。

Mさんの質問に正しく答えられたら、「ブラーヴァ!」と褒めてくれる(褒め上手)。1時間半かけたチェックは、今までにない充実した時間でした。
昼前に発生した病院間搬送でも、病院の入り口から3階の心臓血行外科に行く途中、エレベーター内での緊急時に備え、必要な医療器具が入った重いリュックを背負って上がるという慎重さ。今朝は、彼から教えてもらったことが沢山ありました。
今月はもう一回、私たちの救急センターに来るので、朝のシフトに入れてもらって、また一緒に救急車のチェックをしたいと思っています。それまでに予習して、今度は質問にスラスラ答えられるようにしておこう。

とにかく、看護師もドライバーもボランティア仲間も、それぞれキャラクターが強すぎて、笑えるほどバラエティーに富んでいます。この強烈な性格の人たちの中で揉まれつつ1年間も続けられたのが凄いかもと自分で自分を褒める。





最初に救急車に乗ったのは去年の3月29日でした。
1年後に自分が防護服を着てコロナ搬送をするなんて想像もつかなかった。あくまでも無償のボランティアですが、救急医療について、もっともっと勉強したいなって思っています。

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Commented by kazgarden2 at 2020-06-10 09:14
Chihoさん、一回ではとても足りません! 自分を百万回褒めてあげてください! このお仕事は、「やる気」だけでは決してできない仕事。知識、能力、瞬発力、体力…沢山の力を要する特別なお仕事です!!普段でも大変なのに、この非常事態の真っただ中を逃げずに冷静に取り組んでいる姿にどんなに励まされたことでしょう。誉め言葉は百万回でも足りませんよ!まだまだ追究しようという探求心はプロフェッショナルならではだと思います。脱帽です!
Commented by さと at 2020-06-10 09:34 x
なんだか朝から読んでいて元気を頂けるブログでした。千穂さんの前向きで物事を良い方向に持っていかれるお人柄、尊敬しています。大変なボランティアのお仕事のようですがぜひ頑張ってください!とても貴重なイタリア状況のブログ、これからも楽しみにしています。
Commented by あつこ at 2020-06-10 13:01 x
読んでいて私も一緒に教わった気分になりました。
ちほさんの探求心、Mさんにも伝わって彼も教え甲斐があったと思います。おつかれさまです。
Commented by krispy3 at 2020-06-10 14:47
救急車にボランティアで乗る事は日本ではとてもできない事。貴重なリポートありがとうございます。個性的な看護師たちや食事を作ってくれるドライバーさんたち。みんないい人たちですね。
Commented by lacasamia3 at 2020-06-10 17:19
kazgardenさん、本当にケースバイケースで、何が起こるかわからない所がエキサイティングでもあったりするんです。何があっても大丈夫なように普段から準備する必要があるんですけれどね。いえいえー、ただのボランティアですが、ボランティアにそこまで求めるイタリアという国もまた(苦笑)。ベストを尽くします。
Commented by lacasamia3 at 2020-06-10 17:22
さとさん、センターの人達は、コロナの感染拡大が一番酷かった頃も、平常通り、明るく業務をこなしていました。私のようなボランティアの数も減ることなく。そんな姿に私も勇気づけられたんですよ。
Commented by lacasamia3 at 2020-06-10 17:23
あつこさん、まだまだ勉強不足だなって思わされました。次回、Mさんに会う時まで、今必死で復習しています。
Commented by lacasamia3 at 2020-06-10 17:25
krispy3さん、それぞれの個性が強すぎて(笑)。日本人ならではの協調性を最大限発揮して、何とかうまくやっています。
Commented by tawaraya at 2020-06-10 18:29 x
う~ん。私も最初の取っ掛かりに難しさ?を感じたり、緊張?したりします。話せばいい方だとわかったときはうれしいですよね。こちらのハートをオープンにしても無理な時はへこみますから・・・でも、今日のブログのお話はめでたしめでたし!でした。
Commented by lacasamia3 at 2020-06-11 18:29
tawarayaさん、そうそう、こっちがハートをオープンにしすぎて、拒否されて(特にイタリアは空気を読まない人が多いので)凹む事もしばしばありました。でも、1年もしつこく通ってると、だんだんそれぞれの性格が分かってくるから、自分の立ち位置とかこれはやっていいけど、これは誰々に聞くべきだっていうコツがわかってきて、段々居心地が良くなってくるんですよね。
by lacasamia3 | 2020-06-10 04:11 | イタリア救急車ライフ | Comments(10)

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