(ラーラと夕方の森散歩。一時の酷暑が和らぎ、ちょっと涼しくなりました。)
フィレンツェには数軒、野外映画館があって、夜9時30分頃から上映が始まります。セミが鳴いてたり、周りがまだ暗くなかったり、満月の時は月が明るすぎたり(笑)、救急車の音が聞こえたり、映画を観るのにはベストな環境ではないけれど、昼間の暑さが少し和らいだ夕暮れ時の涼しい夜風に吹かれながら、外で映画を楽しむって、映画館で観るのとは別の魅力があります。片手にジェラート、片手に虫除けスプレー(笑)。
こういう映画館のことをイタリア語で、"cinema sotto le stelle" ( 星の下の映画館)と呼びます。料金もちょっと安くて、一人5ユーロ。
私たちが選んだのは、グリーンブック。1960年代のアメリカで、人種差別が色濃く残る南部へ向けて巡業の旅をする黒人ピアニストとイタリア系白人ドライバーの物語です。これが、なかなか面白かった。所々にイタリア人の自虐ギャグが散りばめられていて、会場は大笑い。あーこれはイタリア人にしか受けないよなあと思うような、細かいジョークが沢山。よく見たら、主人公であり実在した人物イタリア系アメリカ人、トニー・バレロンガの実際の息子がこの作品の制作と脚本を手がけているんですね。
一言で人種差別といっても、大きな事件を取り扱うのではなく、人間同士の薄皮のような微妙な感覚上でもありうる人種差別、黒人のホテルやレストランの宿泊規制、50年前のアメリカの北部と南部の違いが軽快なテンポで語られます。ドライバーのトニーリップは、お腹が出てて、お行儀は悪いし、すぐカッとなるけど、奥さんや子供を大切にする家族想い。一方、雇い主でありピアニストのシャーリーはリッチで、上品で才能がある。でもとても孤独な人。そんな二人が一緒に、人種差別が色濃く残る南部へ演奏旅行に出かけるのです。
クリスマスの食卓では、何気にカンノーリが山積みになってたり、ホテルの部屋で特大のピッツァを半分に折って食べたり。あーイタリア人、あるあるって皆うなづきながら見てた。アメリカ映画だけど、イタリア好きの方にオススメの作品です。