家族

昨日は、新たに家族を迎えた友人カップルに会いに、フィレンツェの反対側の小さな街へ行ってきました。

もう20年以上一緒に住んでいて、数年前に結婚した友人です。今年の夏に、ウクライナへ養子を捜しに3ヶ月も行っていたのでした。ロシアとの緊張がまだ続いているウクライナでは、実際の戦闘はなくても、武装した兵士達のチェックポイントが沢山あり、とてもピリピリした状況だったそうです。そんな中、二人は、キエフから更に離れた地方の孤児院へ家族を捜しに行っていました。
健康な子も病気の子も、何年も孤児院に居る子も、来たばっかりの子も・・・沢山の子供達が居て、どの子との縁が繋がるのかというのは、様々な観点から間に入ったコーディネーターのアドバイスと、後は二人の判断によるもの。その子を選ぶことによって、必然的に他の子を選ばない事になる訳で、それは、それは、本当に悲しい事だったそうです。彼らと縁が繋がったのは10歳のM君。イタリアに夏期学校に行った事もあって、片言でイタリア語も喋ります。M君にはD君というとっても頭が良くて仲良しの子が居て、別れ際に、M君は大切にしていた玩具を全部D君にあげたのだそうです。友人達は、M君とD君と一緒に4人で撮った写真の裏側に、イタリアの住所を書いて「いつか会いに来てね」って渡したそうです。
残ってしまう子供達の事を考えると本当に悲しい。でも養子に行く子が居るから、彼らも希望を持てるのかも。いつか何処かでM君とD君が再会出来る事を、私も心に思い描いています。

M君の生い立ちはここでは書かずにそっとしまっておきますが、ウクライナには全く家族が居ないM君にとって、友人二人は、大好きな友達であり家族となったようでした。マンマとかバッボとは呼ばないけれど、何かあるとすぐ彼らに甘えます。たった一度だけ、ウクライナで大使館の書類待ちの時期に、一緒にサッカーで遊んでいた時、転んでちょっと膝を擦りむいて泣いてしまって「マンマ」って友人の事を呼んだんだそうです。

トスカーナに来てまだ3日しか経っていないM君と、ユキと一緒にジェラートを食べに行き、その帰り道に、街の広場でアペリティーボをしにバールに寄ったら、他の友人達も待ち構えていて、皆で自転車をプレゼントしました。M君の喜び様が凄かった(笑)。広場で暗くなるまで自転車で遊んでいました。

最初、友人達と、皆で「お帰りなさいの会」をしようと言う話を聞いたとき、もうちょっと慣れてからの方が子供にとって良いんじゃない?なんて思ったのに、そんな心配は無用でした。凄く明るくて、イタリア語も猛スピードで習得しているM君は、色んな人に会うのが大好き。私たちが訪れた時も、真っ先に扉を開けてくれました。

かなり身近に似た様なケースがいくつかあって、イタリアに来てから、よく考えさせられる「家族の形」。愛は育むものだし、家族って作って行くものなのだなあとつくづく思うのです。
縁を求めて、未知の場所へ家族を捜しに行くイタリア人達の勇気に心を打たれます。

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Commented by 戸塚美奈 at 2015-09-15 09:17 x
はじめまして。今年の夏から、ずっと愛読しています。
ライター兼編集をしており、今年の夏にかかわった本の参考資料を探しているときに発見、以来、すっかりご一家のファンになり、本もDVDも全部買ってしまいました。。ご帰国の時に講演会に行きたかったけれど、気づくのが遅く満員で残念!(実は調布市に住んでおります) 

今日のブログ、ほんとうに心を打たれました。
NHK番組を収録したDVDの中で、お友達家族とピクニックに行くとき、肌の色の違うお子さんがかわいがられているのを見て、なんて素敵なことだろうと感動したのを思い出しました。
今日の奥村さんのブログを引かせていただいて、私もブログを書かせていただきたいと思い、メッセージお送りしました。
なにか問題ありましたらご連絡いただければ幸いです。

Commented at 2015-09-15 09:23 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2015-09-15 13:21 x
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Commented at 2015-09-15 15:11 x
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Commented by Kimiko at 2015-09-15 18:26 x
素敵なお話ですね。

家族って単に血がつながっているだけが家族ではなくて、愛を育んで作っていくもんだという千穂さんの言葉に共感します。

Commented by lacasamia3 at 2015-09-15 18:34
戸塚美奈さん、ブログで取り上げて下さって有り難うございます。yちゃんがこの村に来てもう5年程経ちますが、本当に自然に、ご両親とお兄ちゃんの愛情に囲まれてスクスク育っています。自分が何処から来たかちゃんと判ってると思うんだけれど、そんな事は今はどうでも良くて、やっぱり彼女の家族は今の家族なんです。お兄ちゃんが居て、お父さんとお母さんが居て、友達が居て、お爺ちゃん、おばあちゃんが居て、幸せだったら、他はどうでも良くなっちゃうと思います。
Commented by lacasamia3 at 2015-09-15 18:37
鍵コメTさん、平和な国でも色々な事情で親とは慣れてしまう子供は居ると思うけれど、戦争や貧困がある国は特にそうですね。でもそういう子供にも未来はあるわけで、また、家族が欲しいと願っている夫婦にとっても、子供を迎える未来があるわけで。両方の縁が旨く繋がって、一緒に幸せを模索していくのが養子縁組なんでしょうね。
Commented by lacasamia3 at 2015-09-15 18:41
鍵コメBさん、戦火を逃れて移動したり、より幸せを求めて別の土地に移り住む事って、人間の当たり前の願望だと思います。それは防げない事。難しい問題だけれど、少なくとも、市民レベルではそれぞれの個人に優しく出来たら良いなと思います。
Commented by lacasamia3 at 2015-09-15 18:47
鍵コメIさん、周りの皆がM君の健やかな成長を願っています。赤ちゃんが産まれたのと同じくらいのテンションで、お祝いしています。こういう養子縁組の場合、産休もあるんですよ(笑)。
Commented by lacasamia3 at 2015-09-15 18:50
Kimikoさん、全てが旨く行くケースとは限らないかも知れないけれど、それは実の親子だって同じ事。こういう子供達が幸せにしているのを見ると、本当に血の繋がりがなくたって、愛で繋がっているなあと思うのです。
Commented by チョコレートドーナツ at 2015-09-15 19:17 x
こんにちは。はじめまして。
いつもブログ見ていましたが、初めてお便りしようと思いました。
M君にも、ウクライナのD君にも、どうか光り輝く希望の未来が待っていますようにと願わずにいられません。もちろん、どこの国の子供にも。
子供は宝です。うちの大変恵まれている子供にもこのお話をしようと思います。
素敵で、ちょっぴり切ないお話、ありがとうございました。
Commented by lacasamia3 at 2015-09-15 19:39
チョコレートドーナッツさん、いつもブログを見て下さって有り難うございます。本当に子供は宝だと思います。たとえ自分の子供でなくても、授かり物。ユキは昨日の晩、M君の生い立ちを私たちにちょっと聞きに来て、少し涙ぐんでいました。そんな事、実際に一緒に転げ回って遊ぶ時にはすぐ忘れちゃうんだけどね(笑)
Commented by A. at 2015-09-15 21:44 x
ちょうど 何十年ぶりかで [赤毛のアン]を読み返してたところでした。この度のお話も 深すぎます(私みたいな凡人にはね)。どうか優しく見守ってあげてください!「 追 」産休も 感動ですね。
Commented by cappuccino at 2015-09-16 10:48 x
千穂さん、このブログを涙なしには読めませんでした…政治的にはこの先どうなるんだろうと?
犠牲になっているのは大切な子供達なんですよね。
ご友人のご夫婦、本当に優しい心の方達です。M君の幸せを祈らずには入られません。
Commented at 2015-09-16 13:45 x
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Commented at 2015-09-16 19:51
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Commented at 2015-09-17 08:47 x
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Commented by lacasamia3 at 2015-09-18 01:02
A.さん、養子を迎えることって、出産と同じぐらいハッピーで感動的な事なんだなって毎回思います。
Commented by lacasamia3 at 2015-09-18 01:04
cappuccinoさん、ウクライナのこの先は、どうなるのでしょうね。次の世代の若者たちが自由に行き来できるような、平和が訪れる事を祈っています。
Commented by lacasamia3 at 2015-09-18 01:06
鍵コメmさん、そうですね。親との血のつながりもまた、素晴らしい縁。でもこういう出会いもまた素晴らしい縁で、同じように素敵な家族を作れるのでしょうね。
Commented by lacasamia3 at 2015-09-18 01:11
鍵コメaさん、人種がこれだけ違うと隠しようがないしね(笑)。友人二人はコテコテのプーリア人で、M君は銀髪!に碧眼だし。アジア人や、アフリカ人の子供を受け入れるケースも多くて、皆、イタリア人として逞しく成長してる。お金持ちの慈善家とかっていうのではなくて、本当に普通のカップルが家族を探しに行っちゃうの。
Commented by lacasamia3 at 2015-09-18 01:13
鍵コメaさん、皆が優しい気持ちに包まれた晩でした。
by lacasamia3 | 2015-09-15 06:40 | 私の独り言 | Comments(22)

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