リンゴの香り～GASな人たち

フィレンツェまで車を運転している間、ぷーんというリンゴの良い香りが車の中に漂っていました。
↑こちら、セルジョさんの有機リンゴ。Florina(フロリーナ）という種類です。この他、ゴールドラッシュという青リンゴも混じっていました。
ご覧の通り、虫喰いリンゴ（笑）。でも、水遣りを殆どせず、飼っている羊で作った堆肥も２年に１度しか与えないので、甘やかされていないリンゴ。水分が少なめで、食べるとパキッという音がします。リンゴの皮を美味しく感じるなんて初めての経験でした。

さて、時間よりも少し早めについて、セルジョさんとおしゃべりをしていたら、来ました、来ました。続々と、各GASのリンゴ係さんが集まってきました。車で来る人も居れば、自転車や徒歩で来る人も。年齢はバラバラで、２０代からお年よりまで様々です。早速、買ったリンゴを食べながら、皆でお喋り。リンゴ話に花が咲きました。リンゴとリンゴジュースを買うだけのことなのに、握手で始まって、グラツィエ、グラツィエとお互いに握手で終わる楽しい時間。

この虫喰いリンゴを、すごく嬉しそうに持って帰る皆の笑顔は、セルジョさんを元気付けてくれたと思います。
いやいや、本当に。食べたら判るのですが、美味しいリンゴだから、「Chiho～、余ったりする？余ったらもっと欲しいんだけどなあ」などと言い出す人が続出していました。

GASの暗黙の了解は、「皆のためにそれぞれが何かをすること」。やってもらうだけでなく、GASのメンバーとして、必ず、全員が何かのお当番になっています。チーズ、野菜、肉、魚、バナナ、桃、砂糖、蜂蜜、靴、自然化粧品、オムツ、オレンジ、おコメ、パスタ、小麦粉、豆類、コーヒー、チョコレート・・・・。それぞれが各生産者の担当になって、時にはフィレンツェ全体、時には村の中でのオーダーをまとめ、納品までを行うんです。

農家とGASのメンバーの関係は、「売る、買う」という「モノを売る人とお金を払う人」という関係以前に、人間としての関係が確立していると思います。これは何とも表現しきれない楽しさですが、遭えて言えば一緒にクラブ活動を楽しむ同士のような・・・。
お金や物に買えられない目に見えないものが、そこにはあると思います。

今回も完全に完売。何も残りませんでした（笑）。
カーラジオを聞きながら、すっからかんになった車での帰り道、森の向こうに我が家の灯りが見えて、ちょっとホッとした晩でした。

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