教会でも考えた

サン・セバスティアーノのカタコンベには、実は、キリスト教徒のカタコンベになる前に作られた、古代ローマ人の墓碑が幾つか残っています。
家族で1スペースという感じで、装飾が施された内部に、その家族に属する人が埋葬されていたそうです。お墓の内部の天井にはメドゥーサのフレスコ画が!墓泥棒除けの絵だったのだそうです。確かに、目を合わせたら石になっちゃうもんね(笑)。
面白かったのは、古代ローマ人の墓碑にも、魚のマークなど、羊飼いの絵などキリスト教徒の印が、異教徒の神の装飾と一緒に施されていたこと。実際には、古代ローマ時代にもキリスト教は、混在してい沢山の宗教の1つとして長い間存在していたわけで、迫害されていた時期もあるけれど、容認されていた時期もあるのです。きっと、この家族のメンバーの誰かがキリスト教徒に改宗したものの、亡くなって、家族のお墓に一緒に入れてもらったんでしょうね。
そういう意味では、キリスト教徒迫害が始まる前の古代ローマって、とことん異教徒を否定するキリスト教徒と比べると、宗教に関してかなりオープンだったようです。

さて、何故このカタコンベが、「サン・セバスティアーノ」と呼ばれるかというと、ここに聖人、聖セバスティアーノが奉られているからです。
聖セバスティアヌスとも呼ばれる、この聖人は、紀元後287年に殉教したと言われています。伝説では、矢で射られても亡くならず、最後は殴打されて殉教したのだそうです。彼の亡骸は、一旦、彼の家族が埋葬されていたこのカタコンベに埋葬されたのですが、聖人とされてからは、一旦、カタコンベ内の奥にある特別な墓地へと移動されます。彼を参る人が多かったのか、別に、地上から直接、聖セバスティアーノの墓へ降りることが出来る階段が作られます。

そして現在は、カタコンベの真上に作られた教会、サン・セバスティアーノ・フオーリ・レ・ムーラ聖堂に奉られています。
カタコンベツアーの最後は、この教会でおしまい。カタコンベ内は、写真撮影は固く禁止されているのですが、教会内はフラッシュをたかなければOK。


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天井の装飾がとても豪華で、でもどこかキッチュで可愛い教会です。


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一部立体な所、演出が凄いです。


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祭壇に向かって右手には、聖セバスティアーノが打ち抜かれた矢(と言われるもの)や、聖ピエトロ(ペテロ)の足跡(と言われるもの)が奉られています。


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実は、これ、本当は古代ローマ時代にかなり一般的だった石碑です。「ローマに帰ってこれて良かった!」とか、「ローマに帰って来れますように・・・」という願いを込めたもの。

アッピア街道の始まりあたりに、ドミネ・クォ・ヴァディス教会と言う教会があります。
Quo vadisとは、聖ペテロがキリストに言った言葉。迫害の激化したローマから離れようと、アッピア街道を外側に向かって歩いていたペテロは、向かいからやってくるキリストを見かけ、「主よ、どこへいかれるのですか?(Domine, quo vadis?)」と問います。
キリストは、「あなたが私の民を見捨てるのなら、私はもう一度十字架にかけられるためにローマへ」と答えます。この言葉によって、ペテロは再度ローマに戻ることを決心するのです。
この出来事があったのが、現在この教会が建っている場所なのだそうです。

この足跡は、キリスト教徒にとっては、そんな出来事にちなんだ石碑なのでしょう。

Catacombe di San Sebastiano
Via Appia Antica 136
月曜~土曜 9-12, 14-17 (日曜、祭日、1月1日、12月25日、11月半ばから12月半ばまで休館)
見学はツアー形式で、英語またはイタリアのツアーが交互に20分毎にあります。
地下鉄ピラミデ駅から直接いく場合には、118番のバスに乗り、Catacombe di San Sebastianoで降りて、進行方向に向かって500メートルほど進んだ先の右手です。


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私はこの後、カタコンベから500メートルほどローマ側に戻った場所にある118番のバス停で、ピラミデ駅まで戻りました。
お昼時間だったので、適当に・・・と入ったお店が結構当たりでした!

値段はやや高めですが、ゆったり出来て、美味しく食べられます。サービスも良かったです。
でも量が多い!周りを見回すと、ビジネスマンらしき人たちがモリモリ食べていたので、用心して"la porzione ridotta (少なめ)出来る?」って聞いたら大丈夫だよと言われたので安心していたら・・・

ドーン(笑)。
ローマの名物パスタ、アマトリチャーナです。でも美味しかったので全部食べました!
デザートのティラミスもかなり大きいので、ホント、ここはパスタ、または肉料理1皿+コーヒーで十分かも。
でも、満足、満足。

サッカー選手御用達のお店らしく、壁に、Francesco Tottiのユニフォーム10番が額に入れて飾ってありました。何だか、先ほど訪れた教会を思い出します(爆)
何百年経っても、ローマ人ってやっていることはあまり変わらないかも。あ、トッティは聖人じゃないです。まだ・・・。

Ristorante La Villetta
Viale della Piramide Cestia 53
tel 06-5750597
(ピラミデ駅を背にして左側にピラミッドを見て右斜め上に上がっていく並木道、Viale della Piramide Cestiaの右側です。

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Commented by njs2005 at 2011-09-08 01:43
アマトリチャーナ食いてぇ~~~
美味そう~じゅるる。。。

賛同署名してきました。
山瀬山小屋の近所に玄海原発ってのがあります。
安全神話が完全に崩れ落ちた今、NOしかないと思ってます。

この機会逃したら絶対いかんとおもいます。
Commented by ふたころ at 2011-09-08 02:05 x
こんばんわ、日本はそろそろ2AMです

そうなんです、あまりにキリスト教崇拝の絵画?や壁画、像などが多くて目まいがした訳なんですが、多数の宗教のうちの1つだったのですね
異教徒の絵と混在していた・・・ 趣き深いお話しです
「泥棒除けのメデューサ」には苦笑いですね・・・

色鮮やかで輝く金色、少しであれば美しいと思えるんですが、お写真では天井からキリスト様への想いの金箔が降ってきそうな圧倒される感じを受けました・・・言葉になりませんね
キリスト様とペテロのお話しも感慨深いです

パスタ(麺の太さによって言い名が違うのは知っていますが、何を基準にしているのか?などは調べていないんですが・・・)太いですね
細めのうどんみたいです
アタシはトマトベースのソースで頂くのが大好きなので、深夜にヨダレもののお写真です

昔に1.5泊のイタリア旅行(その他イギリス、フランスと移動が大忙し)でやはりスパゲティーを頂きましたが「本場はウマイ!」と言えるものではなかったんです・・・(格安ツアーゆえか?・・・)

またいつか行ける日が来たら、下調べしたり、チホさん情報などからオイシイお店で頂きたいです

Commented by ayaka at 2011-09-08 09:43 x
パスタ美味しそうですね(*^^*)

カタコンベ、学生時代に行ったの思い出しました。イタリアの勉強してた友達とローマに行った時、たまたま友達の先生も来ていて行きました。

一つ一つのお墓?亡くなった方を入れる穴が小さいなーと思ったこと、そして昔先生が研究してたという地下4、5階に連れていかれて
びびりの私にはかなり堪えたのを思い出しました(^^;;

パスタ美味しそうですねー♪
今日の昼ごはんはパスタにします!
Commented by umi_0768 at 2011-09-08 10:54
行った気分(^。^)b
カタカナ表記は助かる〜♪
quo vadisはいつ聞いても、短くてもどこか心に響く音ですね。by海町
Commented by ebuebu at 2011-09-08 12:54 x
スゴい勉強になります(*^^*)
もっともっと、私も理解を深めてからその地を踏みたいと強く思うようになりました。引き続きレクチャーお願いします!!q(^-^q)
Commented by Giusy at 2011-09-08 13:08 x
アッピア街道から始まったお話し、興味深く読ませていただきました。
特に、お墓はその人の生きざまや時代を見ることができ、興味が深まります。
Chiho さんの素晴らしいガイドに、プチ旅行を楽しませて頂いた気分。でも、その場に立って直に感じてみたいですねー。
ローマに行く楽しみができました。
Commented at 2011-09-08 14:35
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2011-09-08 14:35
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by プロセッコ at 2011-09-08 14:39 x
カタコンベ・・・
教えてください~
私も何回か行ったのですが、記憶が定かじゃなくて・・・
また、行きたいのです

「最後の晩餐」の元となったとか?言われている壁画が、
あったんですが・・・あの、暗~い穴ぼこだらけの地下を歩いて行った先に。
しかし、場所を覚えてないんです
子供達に見せたくて・・・(まっ、いつになる事やらですがね)
ご存知でしょうか???
Commented by mattfrafra at 2011-09-08 15:23 x
クオバディス。大昔、中学校(カトリック系)で夏休みの宿題で読まされた。この物語の著者シェンケビッチはノーベル文学賞をもらった。クオバディス教会も一度は行ってみたいが、なかなか機会がない。カトリック教徒(残念ながら僕は教徒にあらず)にとっては非常に重要な教会である。なぜなら、ペテロが引き返さなかったら今のサンピエトロもないのだから。 とはいえ、出木杉のお話ではあるが。
Commented by kapibara at 2011-09-08 22:10 x
Ciao Chiho さん!
アッピア街道、あの石畳を踏みしめてみたい!憧れる~。
自分も、綿々と続いてきた歴史に足を踏み入れた!という感激に包まれたい!
一人で行くには勇気がいるなぁ。
日本人のツアーがあればなぁ!
以前、カタコンベにイタリア人ガイドて行きましたが、せっかくの説明が、ちんぷんかんぷん、とほほ。
でも、Chiho さんも思われたように、石棺の小ささに驚いたの覚えてます。そこで生活するような部屋割り。不思議な空間でした!
by lacasamia3 | 2011-09-08 01:03 | ローマ プチ情報 | Comments(11)

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by chiho