カラヴァッジョ作、巡礼者の聖母~ローマ、サンタゴスティーノ教会

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「巡礼者の聖母」 1604~1606年 ミケランジェロ・メリージ(別名カラヴァッジョ)作

先日、ブログでご紹介したサン・ルイージ・ディ・フランチェージ教会に程近い場所にある、サンタゴスティーノ教会に保存されている聖母の絵。聖堂に入ってすぐ左手にあります。
いつ見ても良いなあと思う聖母像。別名「ロレートの聖母」とも呼ばれています。
聖母マリアが受胎告知を受けたナザレの家を、そのまま1294年にマルケ州ロレートに(伝説では天使が・驚)移築したと伝えられています。これによりロレートは重要な巡礼地のひとつとなるのです。

この絵では、巡礼者達が疲れ果ててロレートの聖なる家にたどり着いたとき、眼前に聖母子が現れたという奇跡のワンシーンを描いています。奇跡らしく、聖母マリアが中を浮く様につま先立っているところに注目。

カラヴァッジョの絵の中で、壁の漆喰がちょっとボロッと剥げているところや、聖母マリアの服装も質素であることに、当時の聖職者の間ではちょっとしたスキャンダルとなったそうです。


カラヴァッジョ作、巡礼者の聖母~ローマ、サンタゴスティーノ教会_f0106597_192884.jpg聖母のモデルは、カラヴァッジョの愛人であった高級娼婦マッダレーナ・アントニェッティ(別名レナ)。
かなり巨大児(重そう・汗)な、というか新生児ではないキリストは、右手で巡礼者たちを祝福します。


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聖母の神々しい顔もまた素晴らしいのですが、老婆の横顔もまた美しいです。


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巡礼者なので、沢山歩いた感じが足の裏の汚れ具合からも良く判ります。

カラヴァッジョは、当時、パウペリズモと呼ばれるキリスト教会の富を否定し、清貧を称える宗教運動に近い場所にいたと言われています。
激しい性格であったことだけが誇張されて伝えられるカラヴァッジョですが、彼の作品を良く観察してみると、新たなカラヴァッジョ像が見えてくるようです。

サンタゴスティーノ教会
7:45-11:00 16:00-19:30
Piazza Sant'Agostino
他の教会でもそうですが、コインを入れると照明が点きます。

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Commented by kapibara at 2010-12-08 02:33 x
質素ではあるけれど神々しい聖母と、疲れている巡礼者の対比が
すごく印象的ですね。
セピア色に見えるのですが、本物もこんな色ですか?
いつも、光と影でドラマティックな絵ですが、これは
他の作品よりやわらかさを感じます。

ぼんやりとしか知らなかったカラバッジョですが、
CHIHOさんの紹介で、きちんとカラバッジョの生き様を
追ってみたくなりました!!
Commented by フィレンツェ大好きっ子 at 2010-12-08 04:11 x
こんにちは、10月にフィレンツェのテルメ・スタディオをご紹介いただいたKです。その節はお世話になり、ありがとうございました。
CHIHOさんとちょうど入れ替わるようにローマ入りした私たちですが、同じくカラヴァッジョの作品がある3つの教会を全て訪問しました。蝋燭が灯るような画風、素敵ですよね、懐かしいなぁ。
さて、フィレンツェのアパート滞在ですが、設備完璧の快適アパートでとても楽しい20日間を過ごすことが出来ました。
マッラディーの栗祭り、ルッカ、シエナ、ピサなどへの日帰り旅行、毎日の市場・美術館巡り、そして何よりも充実していたのは食生活!!!
キアニーナ牛や馬肉のビステッカを焼いてみたり、チンタ豚をトンカツにしてみたり、ズッキーニの花にリコッタチーズを詰めてフライにしたり、初めてみる野菜を料理してみたり、新オリーブオイルを堪能したり。教えていただいたサンタンブロージョ近くの量り売りワイン屋にも毎日通いました(瓶持参で、笑)
またフィレンツェを訪れるときには是非また宜しくお願いいたします。そしてローマのアパートもご紹介いただける日を楽しみに待ってます♪
Commented by matt-frafra at 2010-12-08 13:37 x
ナヴォーナ広場の周辺には、いろいろ興味深いところがあり、一度や二度の訪問ではなかなか。カラヴァッジョの作品としては比較的おとなしいのかな。しかし、聖マルコの彼の自画像を見ると、どう見ても善人には見えない。
描く絵もそれなりにかなり強烈。
Commented by chocolategasuki at 2010-12-09 01:29
はじめまして。フィレンツェへは1度訪ねたことがありますが、今でも忘れられません。いろんなことを考えてた旅だったので、当時の思いがドバァっと駆け抜けていきました。そんな時初めてカラヴァジョの作品を目にしました。光と影が印象的でこわいくらい目が放せなかったのを覚えています。chihoさんのところを覗けばフィレンツェに遊びに行け美術館めぐりもできるのかと、嬉しくなりました^^うちにも3年生の娘がいますが、口うるさくしてる自分にびっくりしたり、子育ては自分発見でもあり、人生最大のクリエイティブな作業だと私も思っています。時々ここに遊びにこさせてもらいますね。
Commented by bianca at 2010-12-10 08:36 x
chihoさん、こんにちは。
何となくしか意識していなかったカラバッジョですが、最近のchihoさんのお話や写真を見ているうちにどんどん魅了されています。
光と影が強烈に印象的で目が離せなくなりますね。
こちらの絵は何よりも巡礼者の足の裏に引き寄せられました。
少し前にカラバッジョを題材にした映画もありましたよね。
今度観てみようかな!
Commented by lacasamia3 at 2010-12-12 03:36
kapibaraさん>本物の作品の色はもっと鮮やかかな~。カラヴァッジョに関する本は日本語でも沢山出ているので、是非、読んでみて下さい。波乱万丈な人なんですよ。
Commented by lacasamia3 at 2010-12-12 03:39
フィレンツェ大好きっ子さん>その節は、テルメ・ストゥーディオをご利用頂き有難うございました。お二人がチェックアウトされた後も、結構好評で、私のメインサイトを通じて、来年の前期の予約が沢山入りました。感想も書いていただきとても嬉しいです。チンタ豚のトンカツ~!!絶対美味しいに違いないです。アパート滞在を満喫していただけて光栄です。ローマのアパート、良いのを見つけたので、また近々ご紹介しますね。
Commented by lacasamia3 at 2010-12-12 03:41
matt-frafraさん>聖マルコ伝、も見てきました。またその様子も、近々ブログでご紹介しますね。カラヴァッジョが果たして殺人を犯したかどうかには疑問があるけれど(傷害事件は起こしたんですよね)、まあ、大人しい系ではなかったでしょうね。
Commented by lacasamia3 at 2010-12-12 03:43
chocolategasukiさん>お嬢さんはユキちゃんと同じ3年生なんですね。半年お姉さんかな?また是非、思い出のフィレンツェに再びいらして下さいね。
Commented by lacasamia3 at 2010-12-12 03:45
biancaさん>そうなんです、カラヴァッジョの絵って、突っ込みどころが多い作品というか(笑)、彼自身も逸話が多い画家なので、鑑賞をしていると、とても面白い発見があります。
by lacasamia3 | 2010-12-07 19:20 | ローマ プチ情報 | Comments(10)

フィレンツェで山暮らしをするchihoの田舎便りです。フィレンツェの街歩き情報、イタリア風家庭菜園、お勧めレストラン現地情報、日帰りで行ける街の情報など。フィレンツェの滞在型アパートの紹介サイト「ラ・カーサ・ミーア」を運営しています。


by chiho