カラヴァッジョ「聖マタイの招命」~ローマ サンルイージ・ディ・フランチェージ教会

今回、ローマ滞在中にどうしても訪れたかった教会の1つ、サン・ルイージ・デイ・フランチェージ教会。
ここにはカラヴァッジョが1590年から1600年初頭かけて描いた、「聖マタイ生涯」の3枚のの大きな絵があります。
イタリア語でSan Matteo(サン・マッテーオ)と呼ばれる12使途の一人、聖マタイは、ガリラヤの近くの町に生まれます。当時、ローマへと税金を納めるために、各領地に収税人(pubblicano)が置かれていました。当時、ローマ皇帝の肖像が刻まれた貨幣は、ヘブライ人達に嫌われ、それを取り扱う収税人達も忌み嫌われていたそうです。確かに、時は、紀元前1世紀頃。まだまだローマ全盛期ですもんね(あ、また古代ローマに引き戻されそう・・・)

さてある日、収税所に座っていたマタイ(当時の名はレビ)は通りがかったキリストの「私に従いなさい」という声に立ち上がり、キリストに従ったのだそうです。
その後、十二使途の1人となり、福音書を書き、エチオピア(またはヒエラポリス 現在のトルコ)で紀元後70年1月24日に殉教死したと伝えられています。

こうした聖マタイの生涯を、カラヴァッジョは、コンタレッリ礼拝堂内の3面にこのように描くのです。


カラヴァッジョ「聖マタイの招命」~ローマ サンルイージ・ディ・フランチェージ教会_f0106597_1103529.jpg



「聖マタイの招命」 1599年 ミケランジェロ・メリージ(別名カラヴァッジョ)作


カラヴァッジョ「聖マタイの招命」~ローマ サンルイージ・ディ・フランチェージ教会_f0106597_1115022.jpg
古代ローマ時代のエピソードが、カラヴァッジョが生きた時代、1600年代初頭の当時の服装、背景のまま描かれます。
カラヴァッジョの絵を前にして、私が1つ感じたこと。それは、カラヴァッジョが私にとっては画家というよりも、素晴らしい演出家であるということ。
同じテーマで描かれる数々の作品を目にする機会がある、こうした宗教画を前にするとき、私はしばしば、「私だったらどう描くだろう?」と想像します。
キリストの指の指し方に注目。キリストの弟子は、手前の少年に「誰がマタイ?」と質問しているように見えますが、キリストは最初っからお見通し。指の指し方も、「あ~その、えーっとキミじゃなくて、その奥のキミ」みたいな(笑)。
カラヴァッジョは、通常絵の中で、一番スポットを当てるはずであるキリストを、大胆にも、右側から差す光の下側に隠してしまいます。そして、何も気づかずにお金を数えている左側の少年、老人、そして「え、オレっすか?」と人差し指を自らに当てて(それとも、「え?こっち?」ってボケながら奥の少年を指差している?・笑)驚いた表情の聖マタイにスポットを当てます。
聖マタイの人間的な驚き、戸惑いが伝わってきます。

あ、そういう意味では、カラヴァッジョは「照明さん」かも。

ああ~、GASの受け取りに行かなくては。時間切れです。確かに、偉大なカラヴァッジョの「マタイの生涯」を1回の記事でまとめようなんて無理。

続きをお楽しみに・・・

人気blogランキングへ
気に入っていただけたら↑をポチッとクリックしてください♪
Commented by nonnakaori at 2010-12-01 06:19 x
カラバッチョの絵もそう思いながら観ると、まる寸劇を観ているみたいに見えます。
iphoneでみると簡単に一部分を拡大して観ることが出来て、良く解りました
Commented by matt-frafra at 2010-12-01 10:24 x
この教会、開館時間が午前中と午後4時からで、タイミングを合わせるのに苦労した。カラヴァッジョの大作はこれが初めてだった。確か、コインを入れないと明かりがつかない。入れようとしたら見学に来ていた小学生が入れてくれた。
Commented by Summer at 2010-12-01 16:41 x
この作品結構好きです。光が差し込んでみんなの顔が照らされて、暗いところと明るい日差しのコントラストがうまい。目線が右から左へと流れていきます。「照明さん」という気持ちがわかりますね!
Commented by lacucinasiciliana at 2010-12-01 19:33
なるほどね~。
美術には詳しくないので、美術館&教会鑑賞は自分の好き、嫌いで見てしまいがちですが、時代背景や画家の特長なんかを捉えつつの説明を聞きながら見ると、もっと楽しめますね~。
トラーパニにも説明しにきて~(笑)
Commented by mamadance at 2010-12-03 04:47
いつもながら大変勉強になります!
本当に絵に纏わる逸話って面白い!
そんなことを感じさせて下さるchihoさんの文章、素敵です。
Commented by kapibara at 2010-12-03 08:19 x
ちょうど昨日、京都で開催されているカポディモンテ美術館展を観て
きた所でした。
アンテアという絵に主にスポットを置いているようでしたが宗教画が好きなので、アンテアよりも、じ~っと見入るのはいくつかの宗教画でした。
カラバッジョの影響を受けたとされる画家達の絵も、何枚かあり
やはり、背景の暗さと光とのコントラストが、モロに影響受けている
な~!!と感慨深く眺めていました。

カラバッジョの絵は、ふわふわ感が一切無く、映画の一こまを
切り取ったようで、この生々しさが大好きです!!
CHIHOさんの紹介するこの3枚の絵。
私も、絶対に実際に観に行くぞ~~!!




Commented by lacasamia3 at 2010-12-05 19:55
nonnakaoriさん>そう、どの絵もお芝居のワンシーンのような感じがします。この時期、イタリアでは演劇が盛んになり、絵画への影響も強かったようです。
Commented by lacasamia3 at 2010-12-05 19:56
matt-frafraさん>そうなんですよね、午後遅くから開くので私もしばらく時間つぶしをしていました。すばらしい作品です。
Commented by lacasamia3 at 2010-12-05 19:57
Summerさん>絵画を「光」で演出するあたり、ホント、カラヴァッジョって照明さんです。
Commented by lacasamia3 at 2010-12-05 19:59
Reiちゃん>絵画とか彫刻は、自分なりに楽しめば良いのよ~。面白いなあと思ったところにポイントを置いて見ると、楽しんで見れるよ。トラーパニにも海辺の町ならではの面白そうな作品がありそうだね。
Commented by lacasamia3 at 2010-12-05 19:59
mamadanceさん>いえいえ、好き勝手に思ったことを書き散らしているので、大学の先生に叱られそうです(笑)
Commented by lacasamia3 at 2010-12-05 20:02
kapibaraさん>そう、お芝居みたいでもあり、映画みたいでもありますよね。映画監督ピーター・グリーナウェイもカラヴァッジョ好きで、作品の中のシーンにもカラヴァッジョの絵を取り入れていたりするんですよ。
by lacasamia3 | 2010-12-01 01:22 | ローマ プチ情報 | Comments(12)

フィレンツェで山暮らしをするchihoの田舎便りです。フィレンツェの街歩き情報、イタリア風家庭菜園、お勧めレストラン現地情報、日帰りで行ける街の情報など。フィレンツェの滞在型アパートの紹介サイト「ラ・カーサ・ミーア」を運営しています。


by chiho