古代ローマ人の味覚って??

古代ローマ人の味覚って??_f0106597_1739862.jpgさて、2000年前の古代ローマ人の食べ物の好みって?という私達の漠然とした疑問は、一緒にお料理を作りながら少しずつ明かされていくのでした。
アピーチェが残したレシピは、勿論、貴族階級が食べていた料理についてです。長椅子に横になって食べる習慣があったために(消化に悪そう・・・)、魚、肉などはそれぞれ手でつまんで食べやすい大きさに切り分けたり、団子状にしたりします。そして、それぞれに合ったソースを添えて、それを付けながら片手で食べるのも当時の食の習慣の1つ。
ワインは、AMBROSIA(アンブロージア)と呼ばれる、蜂蜜とシナモンを加えたワイン。当時は水で薄めていたそうです。


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これは前菜のALITER LOCUSTA(アリテール・ロクスタ 海老団子の冷製ソース添え)です。ロクスタとは伊勢海老のこと。イタリア語ではアラゴスタと呼びますが、「ロクスタ=ロブスター?」この場合はラテン語と英語の方が近いかも。
この日は普通の海老を使いました。
細かくした海老をナンプラーで味付けし、団子にして、バターで揚げます。そしてこのソースが美味しかった!コリアンダー、ミント、松の実、蜂蜜、ナンプラー、黒胡椒、ヘンルーダ(カンパリ)が入ってとても複雑な味なのですが、海老団子にとてもよく合います。ローマ人って本当に繊細な味覚を持っていたのだと思います。


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セコンドは、PULOLUS VARIANUS(鶏肉のバーリオ風)。バーリオとはどうも人の名前のようです。ポロネギの青い部分、サントレッジャ(またはタイム)、コリアンダー、を束にして鶏肉と細かく切った鰯を一緒に炒めます。魚と肉を一緒に調理するというのは現代のイタリア料理とは程遠い調理法です。


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この鶏肉には、牛乳と鶏がらスープで作ったソースが添えられます。


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そして、付けあわせとしては、PORROS MATUROS(ポロネギのイラクサソース添え)。バルサミコ酢とナンプラーを加えて作ったイラクサのソースは鮮やかな緑色!味はとても優しくヨモギのような感じです。これを、茹でたポロネギに添えました。


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そしてドルチェは、TYROPATINAM(卵のクリーム)。蜂蜜、牛乳、卵黄、小麦粉で作ったカスタードクリームのような卵クリームにビスケットが添えられています。
そして上に、黒胡椒を振ります。甘い卵クリームと黒胡椒の刺激が何とも美味しいお菓子です。

むむむ~、古代ローマ人ってグルメだったんですね。
カテゴリーまで作ってしまったほど、最近はまっている古代ローマ。また何か他のレシピも試してみたいなあと思います。

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Commented by みゅえり at 2010-05-06 20:40 x
凄い!こんなにまで再現できるものなのですね。
しかもどれもおいしそう。(いや、実際おいしかったのでしょう)
思えばガールムって、まさにナンプラーですよね。
実は先日新鮮なシコイワシが安価で手に入ったので(伊豆半島在住なので魚介は何でもある)
アンチョビを今仕込んでいるところなんです。
オイルサーディンは良く作るのですが、アンチョビは初めて。
でも塩漬けで数週間おいて発酵させるときに出る汁を濾してそのまま
さらに寝かせて
発酵させると魚醤になるんだそうで、アンチョビのメッカであるイタリアなら
古代でもきっと魚醤は簡単に手に入ったんでしょうねー。
でもやっぱり古代ローマ人って食にこだわりがあって、美食家だったんですね。
興味津々。しかしアントネッロさんの料理の腕前に感嘆!です。
Commented by ichikao at 2010-05-06 22:00
えー、ナンプラーを使うんですかー!!ちょっと驚きです。
私はねぎのソースが気になります。よもぎ風?って興味ある!

全部真似するのは無理そうだけど、異国の料理って感じです。
Commented by FIFI at 2010-05-06 22:08 x
マメ〜!! すてきな再現ですね! 感動しました。
この本は日本でも1987年に丁寧な翻訳と贅沢な装丁で出版されて、ここの読者の中にもお持ちの方あると思うのですが、なにせ「料理写真」がありません。材料の名前と調理法を読んで「想像して」楽しんでいたので、今日の写真にはワクワクしました! 
「VARIANUSは102ページのお料理、伊勢海老は152ページのだ!」と、読んでは写真を見てウットリしています。ほんとにすごいですね。楽しんでトライなさってる雰囲気がつたわってきます! またぜひ試して、見せてください!
Commented by woodstove at 2010-05-06 23:02
Chihoさん こん**は~。。。 
 食から古代へ思いを馳せる。。。。いいですねぇ。。。^^;
魚醤もその土地の味があり、その個性も様々あるとか。
古代ローマ人の愛したレシピ。。。。実に興味深いモノがあります。
その中でもお酒ですが、ワインに手を加えるとは。。。。驚きです。
Commented by marcheselli at 2010-05-06 23:29
こんにちは!とても興味深いです。ローマ人はこんな食事をしていたのですね。それにしても手間のかかりそうなものばかり、、、そうですよね。一日中お料理にかかっている人もいたのでしょうから、、、。
Commented by 1897juventus93-10 at 2010-05-07 04:09
|JUVE|・∀・)ゞCHIHOさん ユキちゃん アントネッロ料理長! どもどもです☆★
鶏肉と鰯のPULOLUS VARIANUS 美味しそうです♪ でも確かに 肉&魚が一緒になったものって そっちで食べたコト・・ないかも?!
お好み焼きでMIX全部乗せ!はあっても PIZZAでそんなムチャなん(?!)は ないよな と (笑) お好みを 日本のピッツァと呼ぶんは 若干ムリがあるてことでしょうかね?!w
食べ物で表現するんは 失礼かとも思ったんですが・・・ PORROS MATUROS のイラクサソースの「緑」の色が 綺麗すぎて♪ この色のマニキュアほしいゎ♪( ´艸`)♪ 何かパッと目に引く色がないかと 探してた所やったもんで 思わず 「わっコノ色!」と思ったんですが 流石に爪には・・・ 失礼しました (笑) 
それにつけても アントネッロさん ホンマよお知ってはりますね~ ITALIA人である前に料理人とゆっても 過言ではないですね♪(・∀・)↑BRAVO↑
(PS)友人は既に行ったトリノエジプト展ですが 始まって即でなし 連休中でなし その間に行ったそうで その時で空き空きスイスイやったとしたら 今はもっと・・・かもしれないです (ノ´▽`)ノヤッター☆★
Commented at 2010-05-07 07:41
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by bestiary at 2010-05-07 11:28
お久しぶりです! ほたテンです。
ほたテン日誌を卒業して、bestiaryでブログを始めています。。
リンクさせて頂きました。事後報告でスミマセン!

それにしても、古代ローマ人のレシピを再現するなんて、楽しそうですね〜〜。ワクワクします。
そして、とってもおいしそうです。
読んでいて、お腹がすいてきました。。

そしてそして、遅くなりましたが本の出版おめでとうございます!!



Commented by fiorentino at 2010-05-07 13:49 x
古代ローマの人たちって、とても繊細な味覚を持っていたんですね~★
これらのお料理を現代に再現されるアントネッロさんもスゴイです(><)
留学中の学生さんはとってもいい経験、勉強になったでしょうね~。
Commented by Rottenmeier-ffm at 2010-05-07 17:18
古代ローマ人、さすがに贅沢していたのですね。文明の高さが表れている気がします。そういえば日本で古代ローマ人と日本人のお風呂に関する漫画が話題になっているそうですね。まだ読んだことはないのですけれど。
Commented by Summer at 2010-05-07 17:39 x
なんだか面白いリクエストだったんですね〜! 面白いです。どうやって古代ローマ人の料理レシピを手にいれたんですか?

「鰯などの魚を塩漬けにし天日に当てて醸造させた汁」かぁ、まさしくナンプラーですね。読んでいる時に「ナンプラーみたい」、ピピっと来ました。
Commented by mariangelica at 2010-05-08 03:31 x
お久しぶりです。ローマに滞在中に古代ローマ料理を頂く機会が何度かありましたが、本当に繊細で美味しかったです。古代ローマのモザイクに、食材の組み合わせなどがあるのを時々見かけますが、大変洗練されています。特に食べかすを散らかしたデザインの床のモザイクがおしゃれで大好きです。
Commented by lacasamia3 at 2010-05-08 05:43
みゅえりさん>おっ、アンチョビ作っていらっしゃるんですね。アントネッロのお父さんもプーリアで手作りのアンチョビを作っています。やっぱり味が違いますよね。美味しいです。
Commented by lacasamia3 at 2010-05-08 05:46
ichikaoさん>チクチク草のイラクサで作ったソースはとても優しく味わい深い味でした。スープにしても美味しいんですよ。
Commented by lacasamia3 at 2010-05-08 05:49
FIFIさん>アントネッロが持っている本は著者がドイツ人でした。アピーチェのレシピを解説した本です。でも分量や調理時間など細かいところまではアピーチェも説明していないので、これは作る人のアレンジとなります。アントネッロも自分で変えた部分が沢山あったようです。
実際、舌でこの古代ローマの味を体験してみると、気分は時を越えて古代ローマへ飛んでいきます(笑)
Commented by lacasamia3 at 2010-05-08 05:51
woodstoveさん>アントネッロ曰く、ワインにこうして手を加えるのは、、まだ葡萄の品種改良が進んでいなかった当時のワインはきっと酸っぱかったり、渋かったりと、今のワインほど美味しくなかったのでは?ということでした。だから、蜂蜜や水、シナモンなどで味付けをして誤魔化したのだそうです。
Commented by lacasamia3 at 2010-05-08 05:53
marcheselliさん>こうした食事を食べていたのはきっと一部の貴族だけだったのでしょうね。一般の「自由人」達は、家で料理をすることは余りなかったそうです。火事が頻繁に起こっていたローマでは消防法が厳しく、家で火を使うことが余り自由には出来なかったそうです。そのため、外食をすることが習慣だったそうですよ。
Commented by lacasamia3 at 2010-05-08 05:55
ユヴェヲさん>「お好み焼きでMIX全部乗せ!」って、豚、イカ、卵・・・なんていう感じですか?関西人と古代ローマ人の共通点を見つけたかも(笑)
Commented by lacasamia3 at 2010-05-08 05:56
鍵コメyさん>有難う~私もお会いできるのを楽しみにしています。試験、頑張ってね!後でメール送ります。
Commented by lacasamia3 at 2010-05-08 05:57
ほたてんさん>新ブログ開設、おめでとうございます♪後ほどお伺いしますね。そして、リンクも、大感謝です♪
Commented by lacasamia3 at 2010-05-08 05:58
fiorentinoさん>レシピが残っているとはいえ、分量や作り方の大部分はアントネッロが考えたようです。でも美味しく出来てよかった♪
Commented by lacasamia3 at 2010-05-08 05:59
Rottenmeier-ffmさん>そうそう、その漫画、私も欲しいなあと思っているところです。今度手に入れたらご紹介しますね。
Commented by lacasamia3 at 2010-05-08 06:01
Summerさん>私は最初、図書館で本を見つけたのですが、この古代ローマ料理、中世料理のジャンルは最近イタリアで人気があるようで、結構新しい新刊が何冊か出ています。
Commented by lacasamia3 at 2010-05-08 06:02
mariangelicaさん>へえ~、食べかすを散らかした模様をわざわざ床に付ける発想が面白いですね。
Commented by kao at 2010-05-08 15:12 x
すばらしいですね。古代ローマの食卓を再現するなんて。
「食」の観点から歴史を紐解くのは、とても興味深い。流石です。
Commented by FIFI at 2010-05-08 17:43 x
おなじ本が本棚にあるのって、なんだかとても嬉しいです! (日本語読みではアピキウスが多く、レストラン名では銀座のアピシウスが有名かも知れません) 私の手元のはラテン語版からの翻訳ですが、訳者曰く9世紀の写本は世界に2つしかなく(1つはヴァティカン図書館蔵)、15世紀初期印刷以降の本が欧州各地に収蔵されているそうで、結局訳者の註の違いくらいでしょうか?
そして、こういう良い本を出し続けてくれている出版/印刷の世界には、いつまでも続いていってほしいです。CHIHOさん方にお目にかかるのはネット上ですが、やはり紙の手触り、大好きです。
ホント確かに分量や調理時間の記述ないですよね.....むかし無謀にもイノシシ料理をこの本でトライしました。だからよけい、楽しくコース料理にトライして、すてきだな〜って思います! またぜひ、見せてください!
Commented by lacasamia3 at 2010-05-09 22:03
kaoさん>歴史の観点で食を考えると、人間って食べること、調理をすることは昔から同じだったのだあなあと感じたり、歴史的な事柄が大きく食文化に影響していたりとなかなか面白い発見があります。2000年前から現代まで色んな変化があるもんですね。
Commented by lacasamia3 at 2010-05-09 22:06
FIFIさん>猪料理、そうそうありますよね~。そうなんです。分量とか調理時間はないから、それは料理する人の勘と好みによるんですよね。こういう本、誰が買うんだろう?って思いつつ私も買っています(笑)。本がなかなか売れないイタリアで、結構勇気のある出版物だなあと思います。
by lacasamia3 | 2010-05-06 18:41 | 古代ローマの食卓 | Comments(28)

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