

ロレンツォ豪華王の4歳年下の弟ジュリアーノ(1453-1478 画像上左)は、政治的手腕に長けたロレンツォとは違い、どちらかというと、音楽や芸術を好み、誰からも愛される性格であったそうです。彼もまた、ある人妻に恋をします。相手は、ジェノヴァ出身でフィレンツェのヴェスプッチ家に嫁いだ女性シモネッタ・ヴェスプッチ(1453-1476 画像上右)。彼女の夫は、アメリゴ・ヴェスプッチの従兄弟にあたります。
シモネッタは当時のフィレンツェでは珍しい、碧眼金髪の美女。フィレンツェに到着後、彼女の美貌はフィレンツェ人の間で評判となり、"la stella di Genova"(ジェノヴァの星)と呼ばれます。
そして同じく、メディチ家の次男ジュリアーノも、人柄と美貌でフィレンツェの人々に人気がありました。周りのフィレンツェ人は、「ああ、この二人をくっつけたい」と余計なことを考えていたのでしょう(シモネッタには旦那さんが居るのですが・・・ポリポリ)。実際、本人同士はどうだったのかは??なのですが。

1475年に再度、サンタクローチェ広場で馬上試合が行われます。1469年に行われたトーナメントと共に、この催しは、その豪華さから、後世にも「フィレンツェのルネサンス期でもっとも素晴らしいイベント」と伝わります。1475年のトーナメントはジュリアーノ・ディ・メディチが全てをオーガナイズし、プリマドンナとして、シモネッタが豪華な衣装を身に着け登場するのです。
上の画像は更に時代が下ったサンタクローチェ広場での馬上試合の様子です。

所が、歴史的な大成功を収めた馬上試合から1年後、シモネッタは23歳の若さで肺結核を患い、亡くなってしまいます。フィレンツェ中が彼女の早すぎる死を嘆き、彼女の死後も数々の肖像が描かれます。
そしてその2年後、ジュリアーノもまた、「パッツィ家の陰謀」によりフィレンツェのドゥオーモ内で暗殺されてしまいます。(しかも、シモネッタが亡くなったのが1476年4月27日、ジュリアーノが亡くなったのは1478年4月26日と、1日違いなんです・汗)

彼女を愛したボッティチェッリはその後も彼女の肖像を描き続けます。そして、有名な「ヴィーナスの誕生」のヴィーナスはシモネッタがモデルであると言われています。彼は「自分が死んだらシモネッタが眠るオンニサンティ教会のヴェスプッチ家の墓の下に埋めて欲しい」と伝え、その通り、オンニサンティ教会に埋葬されます。
余りにイメージ画像が溢れすぎて、素直な眼で鑑賞しにくいボッティチェッリの「ヴィーナスの誕生」ですが、モデルが居たと思うと、なんとなく身近な感じで見ることが出来そうです。
人気blogランキングへ
気に入っていただけたら↑をポチッとクリックしてください♪

印刷業界で標準化しているソフト"illustrator"には、バージョン10までこのヴィーナスの肖像画がシンボルマークになっていたのでなじみ深いです。
ヴィーナスではなく別の人物がモデルだったとは初めて知りました。
ヴィーナスではなく別の人物がモデルだったとは初めて知りました。
0

chihoさん、こんにちは。
中世に迷い込んだようにさせて下さるchihoさんのお話は、本当にいつも魅力的!ワクワクします♪
お話の女性が「ヴィーナスの誕生」のモデルとされているのですね。とても美しい方だったのでしょうね。
中世に迷い込んだようにさせて下さるchihoさんのお話は、本当にいつも魅力的!ワクワクします♪
お話の女性が「ヴィーナスの誕生」のモデルとされているのですね。とても美しい方だったのでしょうね。

ジュリアーノとシモネッタの恋は辻邦生さんの「春の戴冠」に書かれています。フィレンツェの春とそれに続くサボナローラによる「虚飾の焼却」。それに翻弄?されるボッティチェリ、文庫で全4巻一気に読んでしまった。

ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
美しいシモネッタ(全く知りませんでした^^;)がボッティチェッリの「ヴィーナスの誕生」のモデルとは興味深いお話! こうして比べてく見てみると、似てますね~!
ちょうどイタリア旅行の際に共にしていた本にプラトンアカデミーの話しが何度も出てきました。
イタリア旅行記がやっとフィレンツェに突入です。
文中リンクを何度かいただく事になりそうですが平気でしょうか?
chihoさんのとても暖かな文章で綴られた本、読み途中です♪
ちょうどイタリア旅行の際に共にしていた本にプラトンアカデミーの話しが何度も出てきました。
イタリア旅行記がやっとフィレンツェに突入です。
文中リンクを何度かいただく事になりそうですが平気でしょうか?
chihoさんのとても暖かな文章で綴られた本、読み途中です♪
hatton1971さん>現実に存在しない美をヴィーナスとして描いたボッティチェッリですが、実際には美人さんのモデルさんが存在していたんですね。見れば、結構彼の描く女性はシモネッタに似ています。
biancaさん>どの時代でも、評判の美人さんは居るものですね~。私は、左向きの1枚目の絵が好きです。これもボッティチェッリ画なんですよ。
mattfrafraさん>サボナローラとボッティチェッリについては大昔、大学時代にレポートで書いたことがありました。何だか久しぶりにウフィッツィ美術館に行きたくなりました。
鍵コメpさん>そちらの寒暖の差が激しいんですね。こちらも、雨が降ったら急に寒くなり、日が差すと汗ばむほどの陽気です。
a-monlyさん>そうなの、勿論「ヴィーナスの誕生」はかなり現実離れしたお顔になっているけれど、特徴はそれぞれ似ていますよね。勿論、リンクしていただいて光栄です。私もそちらのフィレンツェ紀行楽しみにしています♪