優雅な受胎告知に会いに行く~ウフィッツィ美術館第3室

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先日、今年最後にと、ウフィッツィ美術館に、ある受胎告知を見に行きました。第3室に展示されているシモーネ・マルティーニ作の「受胎告知」(1333年)です。
この絵の前に立つと、飾り立てた言葉は必要ないほど、作品の魅力がストレートに心に染み渡ります。

この作品は、シエナ派の画家、シモーネマルティーニがシエナの大聖堂の主祭壇ために制作したと言われています。1799年に、メディチ家の後を継ぎ、トスカーナ大公としてフィレンツェを支配したロレーヌ・ハプスブルグ家のピエトロ・レオポルドがシエナからフィレンツェに運ばせ、以来、ウフィッツィ美術館に保管されているそうです。
画面に向かって左側は、シエナの守護聖人聖アンサーノ、右側は聖マルゲリータ。そして中央には、受胎告知のシーンが描かれています。


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左側でひざまづいているのは、大天使ガブリエーレ。そして、お告げに戸惑い、マントで身を隠す聖母マリア。
大天使のマントの後方はひらりと風になびいていて、まるで着陸直後といった感じ(笑)。美しい大天使の羽の描写は、この当時の画家の腕の見せ所なのです。


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ガブリエーレの口からはお告げの言葉が、漫画の噴出しのようにずらずらと一行になって、聖母マリアの耳に向かって飛び出しています。

第2室のジョットー作、玉座の聖母の約20年後に制作された作品。この作品を見る度に、リアルな人体表現や、パースペクティヴの探求とは切り離された、様式美を感じます。そういった意味では、日本画に近いのかも知れませんね。

とても素敵な受胎告知です。ウフィッツィ美術館を訪れられたら、この絵の前で足を止めてみてはいかがでしょう?

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Commented by AT_fushigi at 2009-12-27 03:58
私は「受胎告知」の絵を見るのが好きです。ただ、キリスト教徒でない私には美術作品としてしか鑑賞できません。しかし、興味あるテーマです。
ウフィッツィ美術館のこの「受胎告知」も忘れられない一枚です。まだそんなに「受胎告知」に詳しくないころに見て印象に残ってぜひまた見たいと思っています。実は作者も記憶していませんでした。多くの人が通り過ぎるような場所にあったと思います。なぜか、足が止まってしまいました。
それから、「受胎告知」の絵を見る機会が増えました。というより意識して目に付くようになっただけかもしれません。ダビンチの「受胎告知」も良いですがアンジェリコなどの作品のほうが私は好きです。
「受胎告知」はエジプト神話が背景にあるのですね。モーゼのエジプト記からの歴史の大きな流れを感じました。
Commented by matt-frafra at 2009-12-27 09:02 x
この「受胎告知」も好きで、いつも足をとめるのですが、日本人の団体さんは、ほとんどが素通りで。
マリアの恥じらいの表情が本当に素晴らしい。サンマルコ修道院(美術館)のフラ・アンジェリコの「受胎告知」に肩を並べるものでしょう。ドゥッチョ、チマブーエ、ジョットの玉座の聖母、そしてマルティーニの「受胎告知」、マザッチョの「聖アンナと聖母子」これだけでもウフィッチに行く価値は十分。
Commented by mariko.t at 2009-12-28 11:51 x
私も受胎告知が大好きです。9月にチホさんにお世話になってフィレンツェにいったとき、新郎とこの受胎告知を観に行って感動しました。もう既に懐かしい!また色々載せて下さいね。それにしても最近のゆきちゃんの写真の表情は素晴らしいですね。さすがお母さんです!!
Commented by lacasamia3 at 2009-12-29 04:02
AT-fushighiさん>サンマルコ修道院のフラ・アンジェリコ作の受胎告知も良いですね。私も大好きな作品です。受胎告知だけを見比べてみるのも楽しいですよね。フィレンツェの街の中だけでもかなりの数の受胎告知があります。
Commented by lacasamia3 at 2009-12-29 04:05
matt-frafraさん>この最初の何部屋かだけでも1日過ごせるくらい好きな作品が集まったエリアです。この作品は、美術とは時代と共に進化していくものではないのかも?と思わせるほど、普遍的な魅力がある作品です。
Commented by lacasamia3 at 2009-12-29 04:05
mariko.tさん>今年はお二人にとって喜びの多い年になりましたね。「ご主人」にも宜しくお伝えください♪ またフィレンツェにゆっくり遊びに来てくださいね~。
by lacasamia3 | 2009-12-26 20:42 | ウフィッツィ美術館物語 | Comments(6)

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