知られざるダヴィンチコード

先日、パオロやアントニオと食事をしていた時に、ある本が話題になりました。2002年に出版されたIMPRIMATUR(インプリマトゥール Rita Monaldi、Francesco Sorti 共著)。
1600年代末期のローマ教皇庁を舞台にした歴史フィクション。インプリマトゥールとは、カトリック教会が行っていた検閲を通過し、「出版許可を得た」という意味。この本は題名に反して、数奇な運命をたどるのです。

2001年春に、この本の版権が大手出版社モンダドーリ社に買い取られ、2002年3月に初版本が出版されます。発売後すぐに各新聞のベストセラー4位に浮上し、初版本はすぐに売り切れます。1ヵ月後に第二版、その後第三版が発売された後、ぱったりと再版がストップします。イタリア国内の各書店に注文が殺到するのですが、その後の再版が全くされないばかりか、発売元のカタログからも、ネット上からも、まるでこの本が存在しなかったかのように消えてしまいます。しかも、第二版本と第三版本は、モンダドーリ社が書店から、回収したと言われています。

ハリーポッターやダヴィンチコードなど、バチカン側が内容について抗議した本はいくつかありますが、出版後の回収というのは珍しいケースかもしれません。
こうしたエピソードを経て、インプリマトゥールのイタリア語版は「幻の本」として、かなりの貴重本となるのです。

その日の晩は、「ふ~ん、回収にまで至るなんて、よほどの内容なんだろうねえ。読んでみたいね」などと皆で言っていました。そして先日、ふと気になって、図書館で検索してみたら、なんと、山の上の小さな村の図書館に1冊あるとのこと(汗)。すぐに予約をして、やっと昨日届きました~!!


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ジャン!合計約600ページの読み応えがありそうな本です。これは第二版本でした。きっとモンダドーリ社も図書館の本までは回収できなかったんだろうなあ・・・。今はアントネッロが読んでいますが、私もそのあと読んでみたいと思います。

で、何故、ダヴィンチコードのイタリア語版が問題なく発売されて再版が繰り返されているのに、このインプリマトゥールが発売後に回収され、書店から「消えて」しまったのか?
バチカンは、1683年9月12日のトルコ軍ウィーン侵攻を押さえた神聖連合軍の勝利に貢献したフランチェスコ派修道僧マルコ・ダヴィアーノを「BEATO=福者」(SANTO=聖人に次ぐ位)として認めようとする計画を急浮上させます。300年も「列福リスト待ち」だったのに、いきなりこの人物が取り上げられたのには、2001年11月のNYのテロ以降、ヨーロッパで吹き荒れた反イスラム気風が関連しているという説もあります。
そして2003年4月27日にこの人物は福者となります。

この本は恐らく、この(カソリック教会にとっては大きな)イベントにかなり不都合な内容が書かれていたのでしょう。フィクションとはいえ、著者達が大部分を実際の文献、記録を元に書き上げたという事実も、発売元やバチカンが神経質になった理由の一つなのでしょうね。
現在、書店では購入できないインプリマトゥール、イタリア語版。どんな内容なのか興味深いです。ネットだと、海外で印刷したものを購入できるそうですよ。でもイタリア語版なのかな?

ちなみに、出版後の回収騒動を起こした発売元モンダドーリ社のオーナーは・・・イタリア首相ベルルスコーニです(爆)

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Commented by Nanohana at 2009-11-04 21:09 x
読むなと言われると余計に読みたくなるものですよね。
夫に『インプリマトゥール』のことを話したらぜひ読んでみたいとさっそくネットで調べています。
夫いわく、ベルルスコーニもプーチンの友達でбандит(バンディート)だからね、と言っています(^_^)
Commented by Summer at 2009-11-04 21:49 x
むむむ!それは読むしかないでしょう!(笑) 英語版はBirlinn General という出版社からでているみたい(?)です。でも内容は違うのかな?タイトルも著者は同じでしたが。これは興味心身です。読んだあとまた教えてくださいね。

私もポポも無宗教なのですが、これまたポポはクリスティアニティやカトリックの歴史を全て知っていて、いろいろ説明してくれるのですが、映画的にはダビンチコード、とっても面白かったです。「なるほど~」というところが何箇所も。

最後の落ち(?)が納得!(笑)ベルルスコーニが大のカトリック教徒なのは知っていましたが、モンダドーリ社のオーナーだとは知りませんでした。本を回収し始めたのは首相になった時期と重なるんですか?
Commented by コロ@福岡 at 2009-11-04 23:25 x
はじめまして。
BLOG拝見しました。
素敵な場所で暮らされていてとても羨ましいです。
またフィレンツェのことたくさん教えて下さい。
それでは、またコメントさせて頂きます。


Commented by Rottenmeier-ffm at 2009-11-05 00:12
これは読んでみたいです。日本語訳は出ていないのでしょうか。英語版でも我慢しよう。(イタリア語は無理。)アマゾンあたりで検索してみます。
ベルルスコーニ氏の会社が出版元って、何につけ話題性のある方ですねえ。
Commented by lacasamia3 at 2009-11-05 04:30
Nanohanaさん>ロシアとイタリアって「言論の自由」という点ではとても共通点があると思います。ロシアは強硬手段、イタリアはソフトだけれど、同じく言論の自由度はかなり低いです。首相がテレビ局、サッカーチーム、出版社、新聞のオーナーだから、彼に不都合な情報は流れないのです。そうそう、バンディートよ~(涙)
Commented by lacasamia3 at 2009-11-05 04:34
Summerさん>ベルルスコーニは確か3回当選しているから、きっとこの時期は、前の就任期だ思います。彼とバチカンの微妙な駆け引きもあるから、きっとバチカンの顔色を見てモンダドーリ社が自主的に回収したのでは?と思います。
Commented by なおこ at 2009-11-05 06:16 x
私も読みたくなってしまいましたよ~。
ドイツ語版は問題なく買えるようです。Imprimatur,Secretum,Veritasと続く長編作なのですね。Chihoさんの読後の感想が楽しみです。
Commented by futuro ora at 2009-11-05 06:37 x
面白そうな本ですね。
早速、夫がネットで売っているところを見つけました。イタリア語の本です。
これから続く7巻のうちの1巻目だそうですね。
Commented by saeko at 2009-11-05 09:39 x
初めて書き込みます。いつも色々な話題を興味深く拝見しています。
IMPRIMATUR、日本のAmazonでも沢山出品されています。
それぞれ何版かありまして、当時、購入した方々が出品してるんですね。
ヴァチカンもAmazonまで強制執行できなかったと。(^^;
どんなにヴァチカンが押さえこもうとしても、いつの時代も庶民は逞しく、
こうやって本や知識、情報を様々な方法でやりとりしていたんだろうな~と
そこまで思いをはせてしまいました。
chihoさん、翻訳していただけませんか・・?
イタリア語はまだ勉強途中で・・。

文法の先生が(東京外語大学の院生)とても子供好きな方で
このブログを照会しましたら「ゆきちゃんの成長がとても楽しみ」と
仰っていました。
Commented by HYA at 2009-11-05 19:17 x
中身が知りたいですねー。

ベルすこーに(わざと)氏、いろんな会社の取締役みたいですね。
確か、テレビとかメディアも持っていますよね。
で、自分に不都合な事は報道させないとか。(爆)
日本にもそういう情報は伝わっています。

日本の郵政民営化にも何やら海外の黒い影が
あるとか無いとか、いやはや。
でも、日本人の安全資産を狙う人達は勿論
居るでしょう。それを簡単に民営化しようとした
人達、裏でどんなつながりが有るのか、それも
知りたい。(爆)

ちかん冤罪事件で逮捕されたあの大学教授の方
(植草さんでしたっけ?YOU TUBEのインタビューでは
痴漢をするような人には見えないのですよねー。)はその辺
の一部の人による怪しい部分を指摘していた人らしいです。
以外と知られていませんが、売国者たちの末路とかいう本に
書かれているらしいです。気になりますよね。

国のトップ、まともな人を選んでいるつもりが何でこんなことに
なるのでしょうね。選挙システム自体が何かおかしいのかも
しれませんよね。日本はテレビで有名になったタレント議員が
当選してしまうし・・・・・・。ああ・・・・。
Commented by lacasamia3 at 2009-11-10 02:17
コロ@福岡さん>ブログを見てくださって有難うございます。東京育ちですが、こちらに来てトスカーナの田舎暮らしを楽しんでいます。これからもどうぞ宜しくお願いします♪
Commented by lacasamia3 at 2009-11-10 02:20
Rottenmeier-ffmさん>日本語は出ていないようですね。B氏(爆)、あちこちに出没しています。賄賂で有罪判決が出ても辞めない!って自分で断言しているし・・・(苦笑)。あと、彼が望むことって・・・ローマ教皇になることくらい?という笑えないジョークがイタリアでもささやかれています。
Commented by lacasamia3 at 2009-11-10 02:22
なおこさん>今はまだアントネッロが読んでいるので、終わったら読もうと思っています。何でも、カストラート(歌手)がバチカンのシークレットサービスであるという展開だそうで・・・楽しみだなあ。
Commented by lacasamia3 at 2009-11-10 02:23
futuro oraさん>そうそう、イタリア語版も海外で印刷したものをネットで購入できるようですよね。
Commented by lacasamia3 at 2009-11-10 02:25
saekoさん>翻訳~いやいや、無理です(センスがないので)。ははは、確かにアマゾンまでは押さえられなかったんでしょうね。但しイタリア国内の印刷関係はすべて抑えているようです(怖)
Commented by lacasamia3 at 2009-11-10 02:27
HYAさん>B氏をテレビで見ない日はないほど、露出度が高すぎです。日本のニュースは余り見ていないので、判りませんが、日本の社会も安定しているとは言えないようですね。
by lacasamia3 | 2009-11-04 19:05 | 私の本棚 | Comments(16)

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