お肉を買いに行きました

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さて、フリーザーも整ったし♪ということで、お肉を買いに行って来ました。
向かったのは、フィレンツェからピサ方面に走り、途中を南下した、ピサとリボルノの間の農耕地帯。トスカーナのこの辺りは、1500年代にメディチ家当主でトスカーナ大公であったコジモ1世と息子のフェルディナンド1世が力を入れて農業開拓をしたエリアです。
深い森と山が聳え立つ我が家の方とは違い、緩やかな丘陵地帯が続き、農耕にはベストな地形。気候もフィレンツェの北側と比べるとやや温暖です。
今回のお肉の農家選びでは、何度かGASの集会で皆で話し合いました。「たった130キロのお肉を車を2時間も走らせ、ガソリンを消費し、空気を汚染して買いに行くことが果たしてエコであるかどうか?」、「逆に、オーガニックでなくても近くの村の酪農農家で買った方がエコなのではないか?」ということを真剣に話し合いました。
今回行った農家は、"Allevamento biodinamico"(アレバメント・ビオ・ディナーミコ)という農法を実践しています。日本語では「バイオ・ダイナミック農法」と呼ばれる農法で、ルドルフ・シュタイナーにより提唱された農法です。
太陽暦に基づいたカレンダーに従って種まきや苗付けをし、農場へのインプットは雨水と太陽光線のみ、農場からのアウトプットは販売用の農作物や家畜のみという農法です。

畜産の場合、イタリアの法律では、"biologico"(ビオロージコ)と呼ばれる有機農法をする場合は「家畜が摂取する食物のうち、35%は同じ農家で育てられた干草でなければいけない」という規定ですが、残りは他から持ってきて良いことになっています。勿論、家畜が摂取する食物は100%有機栽培でなくてはいけないのですが)

一方、"biodinamica"(ビオディナーミカ)の場合は、「家畜が摂取する食物は100%有機栽培で、その同じ農家で栽培されたものでなくてはならない」という規定です。

このビオ・ディナーミカを実践している農家は残念ながら我が家のエリアでは見つからず、今回、ピサまで買いに行ったわけです。結局は、「GASが支援しなくては継続できない農法を実践している農家を助けようじゃないか」という結論に至りました。


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アントネッロとユキちゃんと私でちょっとドライブをし、やっと農場に着きました。
ここで買われているのは、リムジン牛と呼ばれる茶色い牛です。牛って好奇心が強いんですよね。私たちが車から降りたら、「なんだ、なんだ?」とこちらの方を向いて近寄ってきました(笑)。


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お産が近いお母さん牛や、肥育中の雄牛は牛舎に居ます。肥育とは、お肉にする前に少し太らせるため、放牧から外し、囲いの中で育てることです。


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牛舎の外には冬用の沢山の干草が積んであり、牛舎内にも飼料のようなものは殆ど見当たりませんでした。

そう、私が今読んでいる本にも書いてあるのですが、牛はもともと草食動物。主食は草なのです。所が、戦後の大規模畜産の発達により、トウモロコシの栽培が急増し(この理由についてはかなり深いのでまた次回に書きますね)、現在の畜産では牛の主食はトウモロコシ+抗生物質(ルーメンと呼ばれる第一胃の発酵状態を整えるため)のミックスとなってしまいました。要は、もともと草を食べる牛に対して、無理やりトウモロコシベースの配合飼料を主食にします。所が、牛はトウモロコシを食べ続けると死んでしまうので、胃の中の発酵状態を整えるために抗生物質を投与しながら、何故かトウモロコシを与え続けるのです。コレにはとても複雑な経済システムが絡んでくるので、また次回にお話しますね。
勿論、草を食べていれば抗生物質などは必要ないのですが・・・

ここの農家では、牛の主食は干草。トウモロコシは牛の食物全体の2%だそうです。勿論、牛の消化を促すための抗生物質を投与することもありません。


お肉を買いに行きました_f0106597_18144179.jpgそして、農家のオーナーであるクラウディオが、誇らしげに見せてくれたのが、写真右。「わ~干草がフワフワして気持ち良さそう♪」などとダイブしてはいけません(笑)。堆肥の山です。


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↑「肥やし」について熱く語るクラウディオとアントネッロ。これがカモミールなどのハーブを混ぜ込んだ彼自慢の堆肥スペシャルミックスです。

私も最近知ったのですが、養鶏、養豚、畜産で大きな問題点は、家畜の排出物の処理。大量に家畜を飼っているブロイラーの養鶏場などでは、鶏糞の処理が出来ず、周囲の土はチッソ飽和状態になってしまい、逆に草も生えない状態になってしまうのです。こうした過剰なチッソは河川に流れ出し、海も汚染します。

一方、彼が実践しているビオ・ディナーミコの基本は、排出物も自分の農場内の土の中で分解し、有効利用するということ。この農場では、牛の堆肥を利用し、小麦や干草、オーツ麦、野菜などを栽培しています。それらは勿論、牛の餌となり、小麦や野菜などは農産物として販売しています。


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クラウディオはとってもお人よしで、気取らないシンプルな人。10年前までは従来型の農法を行っていたそうです。牛糞を売って、そのお金で配合飼料を買って牛に食べさせていました。でも、配合飼料の値段はどんどん上がり、スーパーに卸す牛肉の値段はどんどん下がり、頭を抱えていたそうです。そんな時、近くで開かれた有機農法の講習に誘われました。興味がないと最初は断ったそうですが、「堆肥をポリタンク2個分持ってきてくれればお金は要らないからさ」と言われ、興味半分に行ってみたそうです。
それから、すっかりとビオ・ディナーミコの農法にはまり、1年前あたりからは、お肉をスーパーに卸すことはやめ、GASのみに牛肉を販売しています。

こだわりを持って突き進むクラウディオと話をして、アントネッロも私も何だか凄くよい刺激を受けました。

さて、買ってきたお肉については後ほど・・・

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Commented by nonnakaori at 2009-10-15 19:51 x
お久しぶりです。
随分遠くまできましたね。こんなに広大な牧場で、ストレスもなくのんびり育ったお肉食べてみたいです。
150kgは、何軒で分けるのですか?
クラウディオの熱心さが伝わります。
遅ればせながらchihoちゃん、ユキちゃん誕生日おめでとう
Commented by je-couleur at 2009-10-15 20:35
chihoさん、こんばんは(^^)
とうもろこしを食べて育った牛は、質の良い牛だと思っていましたが、そうではないのですね。
確かに牛は草食動物です。行き着くところは、昔ながらのシンプルな食生活・・・人もそうですね!
本来の体に合った食事と、運動と。放任ではなく、こうしてしっかり管理され、地球にも優しい飼育方法で育てられた牛は、今の時代とても貴重に感じます。
人間もしかり。豪華なものより、質のよい物を食していきたいと思っています(^^)
信頼できる生産者のもとより購入されたお肉。お味は格別だったことでしょう!
Commented by futuro ora at 2009-10-15 23:48 x
chihoさんこんにちは!
chihoさんのブログ、いつも楽しく読んでいます。
学ぶことも沢山あり、大変ありがたいです。

私が住んでいるのはカンパーニャ州のMateseという山の近くで、ここでは酪農が営まれています。
牛はみんな放し飼いされ、牧草で作られた干草を食べて育っているので、イタリアでは牛はみんなこのようにして育っていると思っていました。
(配合飼料を食べている牛がいるとは知りませんでした)

イタリアでも戦後にトウモロコシが大量に作られるようになったのですか?
Commented by licca at 2009-10-16 00:41 x
こんにちは お久しぶりです
とても興味深いお話で次回も楽しみです。
最近売られている食べ物がすべて怖くて怖くて仕方ありません。
賞味期限だってとても怪しいです。
化粧品や石鹸類もしかり。
話がそれましたが。。。
GASの取り組みは本当にすばらしいですね!これからも色んな生産者の方々を紹介してください!
Commented by at 2009-10-16 04:10 x
興味深く読ませていただきました。
私の実家は農家で、小さい頃は嫌で嫌でしょうがありませんでしたが、
今になると、こういった話題には非常に興味をそそられます。
Commented by Romy at 2009-10-16 08:59 x
はじめまして!
興味深い話題が盛りだくさん♪
↓のポルチーニも美味しそうです~

また、ゆっくり拝読させて頂きます。リンクさせていただきます♪
Commented by woodstove at 2009-10-16 12:33
こんにちは~。。。 Chihoさん
 食品偽装が横行するニッポンも、食の安全について厳しく管理
してもらいたいですね。 そのような真面目な農家さんには、応援を
したいですね。 ただお値段があまりに高いのは、ちょいと考えて
しまいます。。。。オーガニックって言うのは、ほんとうに大変だと
思いますよ。。。。^^;
Commented by yuka at 2009-10-16 16:52 x
はじめまして。ず~っとさかのぼって全部読みました。
bio dinamicoについては日本はようやく少しづつ・・・・という感じでしょうか。
GASのようにがんばっている業者も増えてきています。
Commented by ★国民健康保険料減額マニュアル at 2009-10-16 17:45 x

家畜が摂取する食物は100%有機栽培

偽装飾品事件に苦慮している日本

すばらしい試みですね。
Commented by やまね at 2009-10-18 13:50 x
堆肥への「こだわり」に強く共感してしまいました。お話をうかがいに行きたくなってしまいました。我が家の山羊のフンの窒素過多分は山羊の食べ残した草で補っていますが、そちらではカモミールなどのハーブで補ってらっしゃるんですね!素晴らしい!
さらに、牛にとってとうもろこしがよくない、ということは知っていましたが、まさか食べ続けると死んでしまうとは知りませんでした!勉強になります。こちらでも応用できそうなことはどんどん取り入れたいです。ありがとうございます!
Commented by lacasamia3 at 2009-10-19 17:42
nonnakaoriさん>130kgのお肉は、一部は2家族で1袋取ったところもあるのですが、大体は皆1袋ずつ買ったので、15家族ぐらいで分けます。和牛も美味しいけれど、今回、牛肉について色々調べてみて、霜降りの柔らかいお肉を作るために牛がどんなものを食べ、どのように飼育されているのかを知り結構複雑な気持ちです。
Commented by lacasamia3 at 2009-10-19 17:43
je-couleurさん>そうなの、私も最近までトウモロコシは牛の主食だと思っていたのですが、牛が主食としてトウモロコシを食べ始めたのは戦後だそうです。値段とかブランドとかでものを選ぶのではなく、特に食品に関してはどのように生産されているのかをしっかりと観察する必要がありそうですね。
Commented by lacasamia3 at 2009-10-19 17:43
futuro oraさん>残念ながらイタリアでも配合飼料を食べている牛も沢山いるんですよ。イタリアも含め、トウモロコシがこれだけ大量に世界中で栽培されるようになったのには、複雑な経済システムが絡んでいるのです。
Commented by lacasamia3 at 2009-10-19 17:43
liccaさん>できるだけ加工食品は食べないこと、自分で料理することから始めるのが良いかもしれません。私は化粧品は殆ど使わないのですが、石鹸類はできるだけ自然素材のものを使っています。
Commented by lacasamia3 at 2009-10-19 17:44
緑さん>私も日本に居たときには畑には全く興味がなかったのですが、こちらに来てからすっかりはまっています。
Commented by lacasamia3 at 2009-10-21 20:43
Romyさん>リンクをしていただき有難うございました。ブログで取り上げる話題は、始めた当初から変わらないものもあれば、最近私が興味を持ち始めたオーガニックの話などです。コレをご縁にこれからもどうぞ宜しくお願いします。
Commented by lacasamia3 at 2009-10-21 20:45
woodstoveさん>そうそう、オーガニック=高いと言うイメージがあるし、実際にそうなんです。でも値段とイメージだけで食品を選ぶ以外にも、いろんな評価の仕方があると思うんですよね。質の良い食品は少量で満足感があるので、結局は出費は増えないんですよ。
Commented by lacasamia3 at 2009-10-21 20:47
yukaさん>私も調べてみたのですが、日本でもバイオ・ダイナミック協会もあるようですね。でも数的にはまだまだ少ないなあと思いました。これから増えると良いですね。
Commented by lacasamia3 at 2009-10-21 20:48
国民健康保険さん>食品の危険性をただ訴えるだけではない、有機に対するもっと深い知識と愛情が必要だなあと思います。
Commented by lacasamia3 at 2009-10-21 20:53
やまねさん>家畜の種類によって、混ぜ込むハーブの種類は微妙に違うようです。混ぜるハーブの種類はバイオ・ダイナミックの本にきっと書いてあると思いますよ。山羊の糞が簡単に手に入るのはうらやましいなあ・・・。来年は山羊を飼いたいです。
by lacasamia3 | 2009-10-15 18:04 | シンプルエコライフ | Comments(20)

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