モザイクを堪能する街~ラヴェンナ

モザイクを堪能する街~ラヴェンナ_f0106597_0494947.jpg先週は、フィレンツェから、ラヴェンナ&ボローニャ日帰りもしました。
ラヴェンナは列車で2時間半程かかりますが、モザイクが美しいラヴェンナの教会は、やっぱり訪れて良かったなあと思います。
フィレンツェからは、ボローニャ経由と直行ローカル線と2種類の行き方があります。今回は、行きはトコトコ山越えローカル直通列車、帰りはボローニャに寄りながら急行列車で帰ってきました。

ラヴェンナは、地中海東側の航海拠点として紀元前2世紀頃からローマの植民地となります。周りの湿地帯と海側に守られた安全な地形(当時の海岸線は現在よりもラヴェンナの街に近い場所にあったのです)から、東方ローマ帝国の中心となります。西ローマ帝国の消滅後、オドアケルそしてテオドリックが支配し、500年頃のギリシャ人対ゴート人の戦争(ゴート戦争)後、イタリアにおける東ローマ帝国の拠点となり、ビザンチン文化の中心地となります。この時期に建てられた教会や教会内部のモザイク画がラヴェンナの街の見所です。

その後、1000年の年月の間に、徐々に海岸線がラヴェンナから遠ざかり、重要な港としての役割はヴェネツィアに奪われ、ラヴェンナは陸の孤島となってしまいます。街の外側の土地は湿地帯となり荒廃していきます。
きっと、1400年代、1500年代以降の経済発展がなかったために、逆に、ラヴェンナの教会はビザンチン時代そのままの姿を保ち、今に残っているのでしょうね。


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まず最初に訪れたのは、一番の見所であるサン・ヴィターレ聖堂。540年頃にギリシャ人の銀行家ジュリアーノ・ラルジェンターリオにより建造されます。ヴェネツィアのサンマルコ聖堂が建造される500年程前にもう既にこの教会が建てられていたんですね。
外見はかなりシンプルな聖堂ですが、中に入ると・・・


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息を呑む美しさです。


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ラヴェンナの教会を見て感じるのは、外観のシンプルさと、内部の豪華さのコントラスト。まるで、人間の外観より内面の豊かさを称えるような、そんなメッセージを感じました。


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そしてこの大聖堂の見所が、祭壇の左右に掲げられているモザイクパネル。
左側のパネルは↑「ユスティニアヌス1世と随臣」
コンスタンチノープルの東ローマ帝国を皇帝として治めたユスティニアヌスは、皇帝の色である紫色のマントを羽織り、頭には王冠を載せています。
きっと、ラヴェンナの宮廷の人にも、遠く離れたコンスタンチノープルの皇帝の姿を知らしめるために制作されたモザイクなのでしょうね。


モザイクを堪能する街~ラヴェンナ_f0106597_2111287.jpg皇帝の一人挟んで右側、僧衣をまとった頭の薄い人物は、ラヴェンナの司教マクシミアヌス、皇帝のすぐ左の人物は、名将ベリサリウスと言われています。また、皇帝とマクシミアヌスの間に上半身だけ見せている人物が、銀行家ジュリアーノ・ラルジェンターリオではないかと言われています。


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そして右側のパネルは「皇后テオドラと侍従」


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テオドラは、もともと貧しいサーカスの熊使いの娘で、踊り子をして生計を立てていたそうです。離婚歴があり、その後、再び踊り子稼業をしていた時に、ユスティニアヌスの目にとまります。
当時、皇帝が低い身分の女性と結婚することを禁止する法律があったのですが、ユスティニアヌスは法律を改正してしまい(!)テオドラと結婚するのです(自分の都合の良いように法律を改定してしまう強引な人は、ベルルスコーニだけじゃないんですねえ・爆)。

写真では色が伝わりにくいのですが、やはり聖なる色、紫の衣をまとって沢山の宝石を着けた女性が皇后テオドラです。


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そして、テオドラの右側にいる女性たちは、女官としてひとくくりで解釈されることが多いのですが、実は彼女の右横の二人は、名将ベリサリウスの妻と娘なのではないかという説もあります。確かに、右側の「その他大勢」の女官たちに比べると、少し距離があり、服装も違います。
右側の金色の衣を羽織ったベリサリウスの娘さんは美人ですよね~。

写真では判りづらいのですが、これらの絵は全て、小さな色石を合わせたモザイク画なのです。イタリアルネサンスがフィレンツェで始まる900年近く前にコレだけの表現力があったビザンチンのアーチストはもっと評価されるべきだなあと思います。体の陰影も、立体感も、上手に表現されています。

長くなりましたが、ラヴェンナ話、まだまだ続きます・・・

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Commented by tonton at 2009-09-12 06:50 x
うわ・・・。
息を呑む・・・と言う表現ですね、まさに。
小さな画像でさえ、そうなのですから実物はさぞかし・・・。
きゃー!行ってみたぁい!!
私はモザイクを趣味で少しやっていたので、モザイクと聞くと反応してしまいます。続きも楽しみにしていますね。

アントネッロさんのお料理教室も参加してみたいですが・・・娘がいるので無理でしょう・・・。残念です。
また今度!次にフィレンツェ行くときには(ってまだこれから出かけるっていうのにナンですが・・・)お料理教室とラヴェンナです!
Commented by 国民健康保険料減額マニュアル! at 2009-09-12 09:36 x

いつかイタリア旅行をと夢みております。

歴史の変遷をラヴェンナで感じてみたいです。
Commented at 2009-09-12 09:57 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by peugeotcc at 2009-09-12 12:24
初めまして。
旅行が大好きでいろんな場所に行きましたが、
フィレンツェは一番印象にのこる街でした。
また行く際にはラヴェンナにもぜひ足をのばしたいです。
モザイクの美しさに圧倒されました。
Commented by girasole at 2009-09-12 12:53 x
テオドラが熊使いの娘だったとは!!! Chihoさんの解説はとても分かりやすく、引き込まれます。次回は是非歴史を盛り込んだイタリアガイドブックの出版をお願いします。
Commented by bianca at 2009-09-12 13:02 x
chihoさん、こんにちは。
ラヴェンナ、モザイクと耳にすると、世界史の授業を思い出します。世界史は大好きだったのですが、受験の為に必死で覚えようとしていた為に今では随分と忘れてしまいました。
chihoさんの説明を読んでいると、心から楽しんで学ぶ事が出来そうです。本当にわかりやすくて興味をそそられます。
モザイク、本当に美しいですね。「人間の外観より内面の豊かさを称えるような。。。」という表現、とても素敵です。
Commented by fiorentino at 2009-09-12 14:08 x
なんて美しい教会なんでしょう・・。
教会も、そしておっしゃるように人も外見ではわかりませんね。
今度イタリアに行くときは、こういう見方で歩くとまた新しい発見ができそうです。
chihoさんは本当に知識が豊富で、表現や説明がお上手ですね。
いつもすごいなぁ・・と思いながら勉強させていただいてます。
Commented by しなしな at 2009-09-12 18:13 x
残るもの(書物だけでなく、芸術として)というのも、その当時の生活とか権力とか人間関係みたいなものが見えて来て勉強になりますよね。メインの隣に誰を描くのかとか、順番も大きな意味を示すんでしょうね。。。
モザイクでこれだけのものを表現するってすごいです。

う〜〜ん、昔の人ってすごい!!

アントネッロさんの料理教室開講おめでとうございます!
(映画館へ行く特別な気持ち、ゆきちゃんの気持ちも分かる〜)
Commented by tesoromaki at 2009-09-14 12:00
本当に息をのむ美しさですね。私もラヴェンナは大好きです^^当時の職人の方々の技術に感服ですね!

本当にお料理教室開催おめでとうございます!1つ1つがおいしそう^0^
Commented by lacasamia3 at 2009-09-17 23:10
tontonさん>ラヴェンナのモザイクは素晴らしかったです。お料理教室は是非、お子さんもご一緒にどうぞ♪いつかフィレンツェ&ラヴェンナの旅が実現すると良いですね。
Commented by lacasamia3 at 2009-09-17 23:11
国民健康さん>イタリアって本当に奥が深い国だなあって思います。
Commented by lacasamia3 at 2009-09-17 23:11
鍵コメmさん>いつか是非、フィレンツェで歴史話をお聞きしたいです。こちらにいらっしゃる時には是非ご連絡くださいね。
Commented by lacasamia3 at 2009-09-17 23:12
peugeotccさん>ラヴェンナは、シエナやピサに比べると少し遠いのですが、今回行って良かったなあ・・・って思いました。心に残る美しいモザイクが沢山残っているんですよ。
Commented by lacasamia3 at 2009-09-17 23:13
girasoleさん>いえいえ~、ブログだから気軽にこうして書けるんだと思いますよ(笑)。テオドラって玉の輿だったんですねえ。
Commented by lacasamia3 at 2009-09-17 23:13
biancaさん>うんうん、学問の楽しさはやはり40近くにならないと感じられないと思います(笑)。私も学生時代はちっとも興味がなかった話題でも、今は何だか色んな本を読んで知りたいと思うようになりました。
Commented by lacasamia3 at 2009-09-17 23:15
fiorentinoさん>芸術作品や昔から残る建築物って何かしら面白いエピソードが隠れていて、それを見つけるのが最近はいとても楽しいのです。フィレンツェだけでも、一生かかっても見切れないほど沢山の芸術作品があるんですよ。
Commented by lacasamia3 at 2009-09-17 23:17
しなしなさん>モザイクって四角い石のカケラでしょ?それを使って丸いものを表現したり、フワフワしたものを表現したりしようとしていた昔の人の工夫が凄いなあって思います。
Commented by lacasamia3 at 2009-09-17 23:19
tesoromakiさん>ラヴェンナって小さな街なのに凄い古いものが沢山残っているんですよね。ちょっと遠かったけれど、訪れて良かったなあって思う街です。
by lacasamia3 | 2009-09-12 02:44 | フィレンツェから日帰りで行く町 | Comments(18)

フィレンツェで山暮らしをするchihoの田舎便りです。フィレンツェの街歩き情報、イタリア風家庭菜園、お勧めレストラン現地情報、日帰りで行ける街の情報など。フィレンツェの滞在型アパートの紹介サイト「ラ・カーサ・ミーア」を運営しています。


by chiho