フィエーゾレの聖母子

フィエーゾレの聖母子_f0106597_1557220.jpg暑中お見舞い申し上げます。
昨日のフィレンツェはとっても暑かったです。
朝、1件用事がありフィレンツェに行った後、ふと思いついてフィエーゾレという丘の上の町に行ってみました。フィレンツェからは市バスで20分ほどの場所です。現在、10月4日までフィエーゾレのバンディーニ美術館で「フィエーゾレの聖母」という小さな特別展が開かれています。
バンディーニ美術館は、ローマ劇場の斜め向かい、フィエーゾレのドゥオーモの裏側に小さな入り口があります。
1800年代初頭にバルディーニという人が、遺言の中で、フィエーゾレの司教に自らの美術コレクションを寄贈します。このコレクションを中心に1913年に開かれたのがこの小さな美術館です。


フィエーゾレの聖母子_f0106597_1612834.jpg
今回、特別展で公開されている聖母子像は、フィエーゾレの司教館所蔵のもの。普段は公開されていないのですが、今回修復が終わったことを記念し、10月4日まで特別にこの美術館で鑑賞することができるのです。


フィエーゾレの聖母子_f0106597_16141537.jpg



この作品に関しては、恐らく個人の寄贈品であるということしか知られておらず、今までは作者も不明でした。
はっきりと判っているのは、この作品が、直接、粘土から形成されたということ。そして、後から色付けがされたということ。この作品から型を取った同様のテラコッタ製の聖母子像が複数存在しているそうです。
但し、このオリジナルの作品と、その後、複製された他の作品との大きな違いは、幼子キリストを覆っている布の表現。他の複製品では単純化され、聖母が自らのマントで幼子を抱いているのに対し、この作品では、黄金色のマントの下に巻きつけている濃紺の別布で幼子を抱いています。
テラコッタなどは、ルネサンスの時代、人気商品があるとそのオリジナルを元に、沢山の複製を作ります。複製になればなるほど、単純化していくものなんでしょうね。


フィエーゾレの聖母子_f0106597_16162790.jpg

聖母や幼子の息遣いが感じられるような迫力のある作品です。
今回の修復後、この聖母子像はフィリッポ・ブルネッレスキ(初期ルネサンスの彫刻家、建築家。フィレンツェのドゥオーモのクーポラを設計した人)の作品として帰属されました。


フィエーゾレの聖母子_f0106597_16252467.jpgフィエーゾレの聖母子_f0106597_16265568.jpg


写真左:聖母の衣服には各所に細かい優雅な装飾が施されています。
写真右:聖母の手と幼子の足の動きがなんとも絶妙!正面から見るとかなりの奥行きを感じるのですが・・・


フィエーゾレの聖母子_f0106597_16331323.jpg
←実際にはこんなに薄いんです!
これが巨匠の腕の見せ所なんだなあって思います。もしこの聖母子像がブルネッレスキの作品でなかったら、もしかしたら現代に生きる私たちが知らない、素晴らしいアーティストが存在していたのかも知れませんね。


フィエーゾレの聖母子_f0106597_16343152.jpg



しつこいけれど、もう一枚!
幼子の空を見つめる視線があどけなさをかもし出しています。

とっても魅力的な聖母子像。期間限定ではありますが、フィエーゾレを訪れることがあったら、是非、この美術館にも寄られてみてください。
聖母子像が展示されているお部屋は、フラッシュをたかなければ写真撮影OKです。

La Madonna di Fiesole
2009年7月3日から10月4日まで
パラッツォ・バンディーニ
10時ー18時 火曜日休館 
入場料5ユーロ(ローマ劇場など他のフィエーゾレの美術館との共通券12ユーロ)
駅またドゥオーモ前から市バス7番に乗って終点です。

人気blogランキングへ
気に入っていただけたら↑をポチッとクリックしてください♪
Commented by ★愛犬 長生き長寿化プログラム at 2009-07-30 20:17 x

共に喜び、共に生きる!そんな雰囲気が伝わる魅力的な聖母子像ですね

応援☆
Commented by よっぴー at 2009-07-30 20:39 x
う~ん。この薄さにはびっくりです\(◎o◎)/!
Commented by numachan at 2009-07-30 22:33 x
暑中お見舞い申し上げます。
フィレンツェの暑さって、どんな感じなのでしょう~?
今日の東京も蒸し暑かった(~_~;)セミの大合唱です。

イタリアに行き中世の建築物・絵画に触れ、改めて日本の文化を顧みています。春に奈良・興福寺から、阿修羅像が上野まで来てくださいました。なにかを語りかけてくれそうなお顔は、日本・イタリアを問わず心に残りますね。
Commented by bianca at 2009-07-31 00:36 x
こんばんは。
無垢な幼子の表情と静かに頬を寄せる愛情深い聖母のお顔が本当に素敵です。。。
幼子の手や足など、触れてみたくなるようね質感ですね。聖母が脚を持っている右手の上にちょこんと出している足が子供らしくてかわいらしい。
幼子を抱く聖母の表情は何かを悟っているようでありながら、静かな愛情に満ち溢れていてとても好きです。
Commented by lacasamia3 at 2009-07-31 02:24
愛犬さん>無名の聖母子像ですが独特な魅力があります。
Commented by lacasamia3 at 2009-07-31 02:25
よっぴーさん>この薄さで、正面から見たときの奥行きの表現には本当に驚きました。
Commented by lacasamia3 at 2009-07-31 02:26
numachanさん>こっちの暑いのは、ジリジリする感じです。焦げる~みたいな(笑)。日陰に入ると結構涼しいんですよ。でも今日は最高気温が38度!でした。
Commented by lacasamia3 at 2009-07-31 02:27
biancaさん>そうなの~、子供って良くこういうポーズを取りますよね。ちょんと足を前に出すような。足のプクプク感もとっても子供らしいです。
Commented by F at 2009-07-31 05:40 x
この薄さにして、この立体感!写真で見てこうなのですから、実物は・・・。それにしても、フィエーゾレ、懐かしいです。丘の上の高級住宅地という感じの所ですね。バスを降りてから、もう少し上がった所にローマ劇場の跡があったような・・・。フィレンツエ市内よりは少し涼しかったのを覚えています。しかし、9月末とは言え、フィレンツエは暑かったです。東京以上ですね。今度は11月にしようかと思います。3月と11月は比較的観光客が少ないと書いていらしたので・・・。では、お二人の時間楽しんで下さい!
Commented by woodstove at 2009-07-31 07:04
半立体でありながら、その存在感を表現する技は凄いですね。
レリーフは薄く作れば作るほど、その技術が必要となると聞いた
事があります。 良いものを見せていただきました。。。。感謝です。(^^;)
Commented by vialetto at 2009-07-31 11:11 x
彫刻か、と思いきや浮き彫りだったのですね。
さすが、ブルネレスキ!
でもマドンナの顔、骨っぽ過ぎやしませんか?
私は、卵顔のマドンナが好きです。
Commented by totoro at 2009-07-31 12:34 x
いい写真のおかげで、作品の魅力がとても伝わってきます。本物は見にいけませんが、美しい作品を紹介してくださってありがとうございます。(ところで、私の彼は三十代ですが、童顔なせいもあるのでしょう。。この幼子におでこの形といい、顔のパーツといい、似ています!後で本人に見せます。)
Commented by sarah000329 at 2009-07-31 13:49
すごい・・・・半立体には見えない奥行きの広さ・・・・・
いつの時代にも凄い人っていたんですね。
Commented by fiorentino at 2009-07-31 14:41 x
この薄さにビックリです。
聖母と幼子の表情や、手足の表現から優しさが伝わってきます。
子育てをしていると、こういった作品には目を奪われます。
Commented at 2009-07-31 15:23
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by EMY☆ at 2009-07-31 16:27 x
こんにちは^^
素敵な聖母像をありがとうございます。
細部にわたるお写真に目が釘付けになりました。

抑揚のあるなんて繊細な作品でなんでしょう。
ため息がでます。
Commented by maururu0724 at 2009-08-01 22:05
こんばんわ〜(*v*)
ちょっぴり涼しくなった東京からお邪魔します☆

お洋服のディティールにまで細かくお写真を載せて頂いてありがとうございます(^^)

とっても興味深いです。子供ちゃんのお洋服に模様が入っているのも面白いですネ。

また、息使いが聞こえて来そうな手の作り具合に肌の色つや、衣服のドレープぐあい。。。なのに、この薄さ(笑)

あぁ、本物見てみたいです♡
Commented by lacasamia3 at 2009-08-02 18:15
Fさん>フィレンツェは暑いです~。ジリジリッ焦げる~という感じ(笑)。スカッと晴れた青空を楽しむには良いのですが、市内観光だったら11月も良いと思いますよ。雨は降る時期ですが、美術館なども人が少なく、宿泊の値段も下がるので。いつか是非訪れてみてくださいね♪
Commented by lacasamia3 at 2009-08-02 18:17
woodstoveさん>横に回りこんで、あまりの薄さにビックリしました。フィレンツェのサンタクローチェ教会にあるドナテッロの受胎告知も正面からの奥行きの表現と実際の薄さにビックリする作品です。こういうところが巨匠の腕の見せ所なんでしょうね。
Commented by lacasamia3 at 2009-08-02 18:21
vialettoさん>私はこの幼子の顔が好きだなあ。この頃の子供が良くする様な、ぼーっと空を見つめるような表情。
Commented by lacasamia3 at 2009-08-02 18:23
totoroさん>あはは、パートナーさんに似ているんですね。髪はくりくりなのかな?こういう子供たまにこちらでも見かけます。きっとモデルが存在していたんでしょうね。
Commented by lacasamia3 at 2009-08-02 18:24
sarah000329さん>ルネサンス前期のこの時代、経済や社会全体がすごいエネルギーと財力を芸術復興のために注いでいたんだなあって思います。芸術家が評価され始めた時代です。そんな気風の産物のような作品ですね。
Commented by lacasamia3 at 2009-08-02 18:25
fiorentinoさん>そうなんですよね。子供を抱く母親の表情とか、子供の何気ないしぐさとか・・・すごくリアルだなあって思います。
Commented by lacasamia3 at 2009-08-02 18:26
鍵コメtさん>前にお誘いをいただいたことがありましたね。大変失礼しました。これからもどうぞ宜しくお願いします。随時、フィレンツェに関するコンテンツがあったらそちらにリンクしますね。
Commented by lacasamia3 at 2009-08-02 18:28
EMYさん>フィレンツェに沢山ある聖母子像の中で好きな作品は色々あるけれど、これはベスト10に入れたくなるほどの魅力的な作品でした。優雅でありながら、とても温かくて、心にジンとくる感じ。
Commented by lacasamia3 at 2009-08-02 18:30
maururu0724さん>ふふふ、さすが目の付け所が違いますね~(笑)。幼子の肌着の水玉模様も可愛いですよね。金をこれだけふんだんに使っているのに下品にならないんですよね。
by lacasamia3 | 2009-07-30 17:31 | フィレンツェから日帰りで行く町 | Comments(26)

フィレンツェで山暮らしをするchihoの田舎便りです。フィレンツェの街歩き情報、イタリア風家庭菜園、お勧めレストラン現地情報、日帰りで行ける街の情報など。フィレンツェの滞在型アパートの紹介サイト「ラ・カーサ・ミーア」を運営しています。


by chiho