ペルセウスの隠された顔~チェッリーニ作ペルセウス

ペルセウスの隠された顔~チェッリーニ作ペルセウス_f0106597_19421459.jpgフィレンツェのシニョリーア広場には、今も市政の中心であるヴェッキオ宮殿がそびえ立っています。そしてその向かいにあるのが、ロッジャ・デイ・ランツィ。


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画家であり建築家であったオルカーニャにより1350年に建設が開始されたロッジャは、オルカーニャの死後、1376年に完成します。以後、市の公式行事に利用されていたそうです。
その後、アレッサンドロ・デイ・メディチにより護衛兵の兵舎として利用され、コジモ1世の時代以降現在までは、彫刻ギャラリーとして利用され続けています。


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ロッジャについて書き始めるとキリがないので、今回は是非フィレンツェにいらしたらみていただきたい傑作の1つ、ベンヴェヌート・チェッリーニ作「ペルセウス像」(1554年)をご紹介します。ロッジャにある作品は、複製ではなくオリジナルなんですよ。一方、台座は複製で、オリジナルはバルジェッロ博物館に展示されています。

乱闘事件を起こして街を追放されたり、ローマの略奪の際にローマ教皇クレメンス7世を守るため、ある貴族を刺殺したり、その後、ローマ教皇パウルス3世の不評を買い、サンタンジェロ城に幽閉されたりと波乱万丈の人生を送ったチェッリーニ。
その後、フランスでフランソワ1世(カテリーナ・メディチの姑)に仕えた後、フィレンツェに帰国し、コジモ1世の庇護を受けます。


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この作品は、コジモ1世がチェッリーニに発注したもの。コジモ1世がフィレンツェを治め、トスカーナ公になった象徴として、この題材を選んだそうです。
共和国の「首」をはねるコジモ1世といったところでしょうか。メドューサ(=共和国)の首元からは、蛇(=様々な市民の意見の相違、不和)が這い出しています。

こんな作品を、それまで共和国政府の中心であったヴェッキオ宮殿の真向かいに置いてしまうなんて意味深な作品ですよね。


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幼さを残した青年ペルセウスが冷たい表情でメドューサの首を掲げるなんて、かなりショッキングな作品です(汗)。


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台座もチェッリーニ作。ダークでしょ(笑)。ジャンル的にはへヴィーメタルっぽい?


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この像の前で記念撮影をする人はいるのですが、後ろに回って見る人は殆どいません。
所が、是非後ろから見ていただきたいのです。
見えますか?ペルセウスの後頭部(画像左)は、チェッリーニ本人(画像右)の顔になっているんです。ペルセウスの髪の毛がチェッリーニのひげになっていて、ヘルメットが顔みたいに見ええませんか?これはチェッリーニの自画像だと言われています。
隠された彼の遊び心なんでしょうね。

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Commented by gastronomique at 2009-02-14 00:42
lacasamia3さんへ
こんにちは。フィレンツェにも色々な彫刻があるのですね!
写真を撮りに行ってみたいです!
パリにも色々ありますが前程写真を撮りに行っていないのが現実。マンネリかなぁ(笑)
彫刻や絵は時に凄く残酷な場面が表現されていてゾッとするものまでありますよね。

やす
Commented by fiorentino at 2009-02-14 00:49 x
いや~、いつもchihoさんのフィレンツェ小話は興味深いです。
歴史を紐解くと、その中でいろんなことが発見できておもしろいです。
あとドゥオーモのお話でもそうでしたが、建造物や作品は前からだけでなく、後ろを観察すると面白いことが発見できることが多いんですね~。
今度イタリアに行くときはいろんなものを後ろから観察すると思います(笑)
Commented by ねむりぐま at 2009-02-14 03:36 x
え~?! これはオリジナルだったのですか! 
今度は後ろに回ってみなくっちゃ。 自分の顔を彫りこんでいるなんて!(笑)
チェッリーニ(チェリーニかと思っていたら、本当の発音はチェッリーニなのですね)は、珍しく自伝を書いた人なのですよね。自意識が強かったのかしらん。(笑)
Commented by ロコ at 2009-02-14 09:30 x
はぁ~!これ読んでからいきたかったです・・・
一月にフィレンツェ行ってきたばかりです。
お勧めのIL LATINI、開店前から並んで堪能していました。
ビステッカ 最高に美味しかった!!スタッフも親切でしかも廉い!!
情報 ありがとうございました。
Commented by lacasamia3 at 2009-02-16 01:38
やすさん>パリも絵になる風景が沢山あるんでしょうね。フィレンツェは結構屋外にも写真が撮れる場所が沢山あるんですよ。ローマなんかも彫刻が多いから写真の撮り甲斐がありそうですね。
Commented by lacasamia3 at 2009-02-16 01:40
fiorentinoさん>実は私もチェッリーニの自画像については知らなかったんです。いろいろと隠された秘密が沢山あるんですよね。
Commented by カバン持ち at 2009-02-16 20:21 x
chihoさん、こんばんは
このペルセウス像、数年前にフィレンツェに行った時に見ましたヨ!
そう、見れば見る程、迫力がありますよね。
でも台座や後ろまでは気が付きませんでした。
後ろの形が、(ある意味)不自然だったので、何かなんだろうなぁ~と
漠然と眺めた記憶だけ残っています。
ペルセウスの顔立ちがとっても幼くて端正なので余計に残酷さが
強調されて、目を引きますよね!
Commented by lacasamia3 at 2009-02-16 22:08
ねむりぐまさん>そうそう、今読んでます。LA VITAという自伝で、本人が口述したものを、13歳のアシスタントが書きとめたんだそうですよ。文体が何とも素朴で読んでいて楽しいです。自意識と言うよりも、波乱万丈すぎて書くネタが沢山あったんでしょうね。同じ時代にヴァザーリが本を書いているからそれに触発されたのかも。
Commented by lacasamia3 at 2009-02-16 22:09
ロコさん>こんにちは。IL LATINIにいらっしゃったんですね。ココのビステッカはやはり美味しいですよね。また是非フィレンツェにいらして下さいね~。
Commented by lacasamia3 at 2009-02-16 22:11
カバン持ちさん>私も今まで何気なく見ていた作品なのですが、よく見るとチェッリーニの晩年の傑作だなあって思います。そうそう、ペルセウスの幼い顔が余計に残酷さを強調していますよね。
by lacasamia3 | 2009-02-13 20:09 | フィレンツェ小話 | Comments(10)

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by chiho