石畳が語るフィレンツェ小話

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最近、フィレンツェの歴史の本を読み漁っていると、フィレンツェに住んでいても、知らないことって沢山あるんだなあと感じます。
左は、フィレンツェの「花の大聖堂」と呼ばれるドゥオーモ。正面と鐘楼側の脇には団体ツアーのグループが沢山通るのですが、真後ろから観察している人は殆ど居ません。
所が、このドゥオーモの真後ろの石畳には、歴史上のある小さな出来事が印されているんですよ。
1492年、嵐のある日に、ドゥオーモのクーポラのてっぺんに取り付けられていた十字架が付いた金の玉が落下します。後に、同年に亡くなったコジモ豪華王の死を予告する出来事だったと言われます。


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当時、玉が落下した場所には円形の白大理石が埋め込まれ、それは今も見ることが出来ます。何の説明も札もないので、見過ごしてしまいそうな印しですが、フィレンツェにいらしたらぜひ見てみてください。
金の玉は再度1600年に落下し(苦笑)、その後は現在もドゥオーモのクーポラのてっぺんで輝き続けています。


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上の左の写真は現在のヴェッキオ宮殿。そして右の画像は、1498年にドメニコ派修道士ジロラモ・サヴォナローラが処刑された時のシニョリーア広場です。


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サヴォナローラはサンマルコ修道院長を務めた後、贅沢な市民生活を批判し、「虚栄の焼却」という運動を起こした人物です。彼は支援者を引き連れ、町中の美術品や工芸品などを市民から略奪し、このシニョリーア広場で焼いてしまうのでした。
ローマ教皇をも批判したことが原因で異端審問にかけられ、結局は有罪となり、拷問、絞首刑の後、シニョリーア広場で焼かれ、その灰はアルノ河に捨てられてしまうのです(汗)。
現在も、ヴェッキオ宮殿前のネプチューンの噴水の前あたりに、サヴォナローラが処刑された場所を印すメダルが埋め込まれています。


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↑この家は、「ダンテの家」と呼ばれている建物です。ダンテ・アリギエーリは「神曲」を書いた1300年代の詩人。実際には彼の家であったというわけではないのですが、同じ時代に建造され、当時のフィレンツェの建築様式を現在に伝える貴重な建物です。
それまで残っていた石壁や塔を利用してジュゼッペ・カステッルッチが1910年に修復します。


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1910年の修復の際に、石切り職人がコッソリと石畳に彫ったのが、←このダンテのプロフィールです。似てる?
ここも全く立て札や説明が書きがないので、殆どの人は気付かずに通り過ぎてしまいます。

歴史の痕跡がずっと残っているフィレンツェという街は、知れば知るほど面白いなあと思います。

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Commented by sironekosan at 2009-01-30 20:29 x
興味深く何かを知るというのは、とても楽しいですね。
Chihoさんのような方が歴史の先生だったら、さぞ楽しく授業が出来そう^^と思えます。
ドゥオーモの画像を見ると、イタリアの乾いた空気を思い出します。
いつかまた必ずフィレンツェへ行こうと思います。
その時はchiho さんのブログで、少しオベンキョウして行きますね^^
Commented by Summer at 2009-01-30 21:48 x
フィレンツェ小話は毎回知識が広がって読むのを楽しみにしています。看板はなぜないのでしょう?
Commented by bianca at 2009-01-30 22:08 x
chihoさん、こんばんは。
本当にいたる所に歴史の痕跡が残っていて、興味が尽きませんね。ミステリー、ユーモア、、、あらゆるものがぎっしりと詰まっていて。
金の玉が落下した事は聞いた事がありましたが、その場所に白い大理石が埋め込まれているとは、次に行った時には是非見てみたいです!
chihoさんのフィレンツェ小話を読んでいるので、次回に訪れるのが本当に楽しみです♪
。。。でもいつ行けるのかしら(涙)。。。今年、強行しちゃおうかしら!!
Commented by fiorentino at 2009-01-31 01:02 x
本当にフィレンツェって奥の深い街ですね。
chihoさんのフィレンツェ小話を読んでいるとますますフィレンツェが好きになります♪
ドゥオーモの周りは何度もぐるぐる探索したのに、白い大理石には全く気づきませんでした(汗)
chihoさんのブログでいろいろ勉強できて楽しいです。
一番上の方↑もおっしゃってますが、chihoさんが歴史の先生だったらさぞおもしろい授業になるでしょうね~。
今度フィレンツェに行くときはchihoさんのおかげで何倍も楽しい旅になりそうです。

Commented at 2009-01-31 02:39 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by lilytandog at 2009-01-31 17:38
石畳にもこんなのがあったなんて 知っていたら
街中探し回ってたかも(笑)
次回は上ばかりじゃなく下も見て歩かなきゃ。。。
Commented by miffy at 2009-01-31 19:16 x
素敵な街並みですね・・・
憧れます!
Commented by pino-ombra at 2009-01-31 22:36
確か、本当のダンテの家は確か、ダンテの生まれ故郷にあるのでは
なかったでしたっけ?えーっと、ベルガもじゃなくてラヴェンナだったか。
あ、違った、今ググったら生まれはフィレンツェで、亡くなったのが
ラヴェンナでした。ラヴェンナに行ったことあるけど、ダンテ関連の
場所に行ったかどうか…遠い記憶…。
それにしても毎度chihoっさんのブログを読んでいると、
またフィレンツェに行きたくてしょうがなくなります!!!
Commented by lacasamia3 at 2009-02-02 01:44
sironekosanさん>いやいや、私の場合は、歴史上の面白おかしい部分だけをつまみ食いなので・・・(笑)。フィレンツェは見所が結構あるのでいつかぜひいらして下さいね♪
Commented by lacasamia3 at 2009-02-02 01:45
Summerさん>アントネッロに聞いてみたら、「いや、これらの物よりももっと歴史的価値のあるものが沢山ありすぎていちいち説明書きを付けていられないのさ」だって(笑)。きっとね、こういう裏話を読んで、あ~コレコレッ!ってたまに気付く人が居るくらいがちょうどよいんだと思いますよ。
Commented by lacasamia3 at 2009-02-02 01:46
biancaさん>フィレンツェだけでもこんなに色んな裏話が沢山あるから、ローマはもっと凄いんだろうなって思います。いつかフィレンツェに遊びに来てくださいね~。
Commented by lacasamia3 at 2009-02-02 01:46
biancaさん>フィレンツェだけでもこんなに色んな裏話が沢山あるから、ローマはもっと凄いんだろうなって思います。いつかフィレンツェに遊びに来てくださいね~。
Commented by lacasamia3 at 2009-02-02 01:47
fiorentinoさん>私もこの白い大理石は今まで気が付かなかったんですよ。丁度タクシー乗り場がある辺りです。次回いらっしゃる時のために、これからも少しずつ裏話ネタを書いていきますね。
Commented by lacasamia3 at 2009-02-02 01:48

鍵コメnさん>ご指摘有難うございます。nさんからの書き込みがあると、ドキッとしますが(笑)、いつも読んで下さっているだなあととっても嬉しく思います。「再現」と言った方が正しいかも知れませんね。但し、例え1900年代初頭に大部分が造られたものだとしても、それは1300年代の建築様式を十分に研究した上でのものだし、私は「当時のフィレンツェのcasa torreの建築様式を現在に伝える貴重な建物」だと思いますよ。また書き込みお待ちしています♪
Commented by lacasamia3 at 2009-02-02 01:49
lilytandogさん>そうなんですよね。上にも見るものがあるけれど、意外と足元にもこんなものがありました。
Commented by lacasamia3 at 2009-02-02 01:50
miffyさん>いつまでも変わらない街並みなんですよ。
Commented by lacasamia3 at 2009-02-02 01:51
pino-ombraさん>ラヴェンナはダンテのお墓があるんですよね。フィレンツェのサンタクローチェ教会内にもあるけれど、お棺は空だそうで、彼の亡骸は、まだラヴェンナにあるんですよ。
by lacasamia3 | 2009-01-30 20:07 | フィレンツェ小話 | Comments(17)

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