フィレンツェ田舎生活便り2

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フィレンツェで山暮らしをするchihoの田舎便りです。フィレンツェの街歩き情報、イタリア風家庭菜園、お勧めレストラン現地情報、日帰りで行ける街の情報など。フィレンツェの滞在型アパートの紹介サイト「ラ・カーサ・ミーア」を運営しています。

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カテゴリ:ウフィッツィ美術館物語( 5 )

ちょっと久し振りに、フィレンツェのウフィッツィ美術館話。
一度、ウフィッツィで見て、ずっと気になっていた絵がありました。あまり知られていないフランドルの画家で、どこかに名前を書き留めていたはずなのに、なくしてしまって、モヤモヤしていたのですが・・・
先日、ある本の挿絵に使われていてやっと画家と作品の名前がわかりました。


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ヨアヒム・ブーケラール作「群衆にキリストを見せるピラト」 フィレンツェ、ウフィッツィ美術館所蔵

Joachim Beuckelaerは1530年に、アントワープで生まれます。イタリアでも人気のあった画家のようで、彼の作品はナポリやジェノバにも残っています。

この画像は小さいのであまりよく見えないのですが、以下のページより、右下のvisualizza in grande formatoという文字をクリックすると、絵を自由に拡大することが出来ます。

ウフィッツィ美術館のカタログへ

面白いのは、題名の「群衆にキリストを見せるピラト」とは裏腹に、手前に大きく活き活きと描かれているのは、フランドルの市場の風景。ムール貝や果物を売る女性、肉屋の屋台などなど。果物や家畜を入れるための籠が色々な形をしていてとても可愛いです。キリストは何処?と思って目を凝らしたら、左手奥に本当に小さくちらりと描かれていました(笑)。
レンブラントやフェルメールよりも100年前に生きたこの画家の時代は、きっと風俗画への関心が高まってきた頃なのでしょうね。私はオランダ絵画はあまり詳しくないけれど、まだ宗教画から完全に離脱し切れない風俗画の時代だったのでしょうか。
描きたいものがはっきりしていて、何とも可笑しいです。


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ウフィッツィ美術館ではないのですが、ブーケラールと同時代のフランドルの画家ピーテル・アールツェン(Pieter Aertsen)の面白い風俗画がジェノヴァの白の宮殿に保存されています。
どちらの画家も、キッチンの光景を描いた作品を沢山残しています。

ピーテル・アールツェン作 「女性料理人」 ジェノヴァ 白の宮殿所蔵

この作品を見ながらアントネッロが、「あっ!ピニャータだ~」と言いました。ホントだ!。確かに暖炉の中には、我が家でも冬場に煮込み料理をするのに使うピニャータと呼ばれる手が付いたテラコッタの壷が置かれています。
彼女が手にしているspiedo(スピエード=串)もきっと暖炉の中に入れて、焼くのでしょうね。
あ、うちと同じだ(笑)

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by lacasamia3 | 2011-02-21 00:08 | ウフィッツィ美術館物語 | Comments(21)
あたらないことで有名なイタリアの天気予報ですが(笑)とにかく、今週の週間予報ではやっと太陽マークがついていました(嬉)!洗濯っ!

さて、今日は久し振りにウフィッツィ美術館話。先日、仕事の合間にちょっとウフィッツィ美術館により、素敵な作品を再発見しました。いつも何気に眺めている作品でも、何かのきっかけでその作品の隠れた魅力を発見することが多々あります。
今回、はまってしまった作品は・・・


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第19室にあるピエロ・デ・コジモ作「アンドロメダを救うペルセウス」(1510年ー1513年)。大作が並ぶウフィッツィ美術館の中では小さめ(70cm×123cm)の余り目立たない作品です。
一見、分散した構図で、誰が主役なのか判り辛く、何となく派手さのない作品なので見過ごしてしまいそうですが、良くみるととても面白い絵です。
ある1つのギリシャ神話を絵で語った作品。
エチオピア王ケーペイスの妻カッシオペイアは「自分は海のニンフよりも美しい」と自らの美しさを自慢し、海の神を怒らせてしまいます。海の神は、エチオピアに洪水を起こさせ、海岸に恐ろしい海の怪獣を放り投げます。弱り果てたケーペイス王が神官に相談すると、この神の怒りを静めるためには、娘のアンドロメダを生贄として怪獣に差し出さなくてはいけないと言われます。

この絵の面白いところは、様々な時間が日本の絵巻物のように1つの画面の中に描かれていること。そのために、同じ人物が何度も登場します。


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左:自らの運命を嘆き悲しむアンドロメダと母親のカッシオペイア(オレンジ色の腰巻)
右:生贄として木に縛られたアンドロメダ。きゃ~!


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左:そして、右側には怪獣がガオ~!!鼻の穴からピューッと水を吹いています(笑)
右:「ああ・・・怖くて見ていられない・・・」という群集。白いターバンを巻いているのがエチオピア王ケーペイス(アンドロメダの父)、その右下、オレンジ色の腰巻をしているのが母親のカッシオペイア。


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左:そして、画面の右上からヒーロー、ペルセウス登場!飛び方が猿之助風です。

右:怪獣を太刀の一撃で倒します。
上手いなあと思ったのは、1頭の怪獣で、怪獣が登場した場面と、ペルセウスに倒される場面の両方を表現していること。きっと、怪獣がペルセウスの方を振り向いてしまったら、アンドロメダや群集が怖がっている前半のシーンとのつながりがなくなってしまうのですが、そのあたりを上手につなげています。


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良かった、良かった!とオリーブの枝(?)を持って喜ぶ群集。
アンドロメダとヒーロー、ペルセウス、ケーペイスも寄り添って喜びます。


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この作品の中で、個人的には、やはり主役は怪獣かも?と思う程、画面の中央に描かれたありとあらゆる要素を混ぜ合わせた怪獣。きっとこの部分は画家ピエロが描いていて一番楽しかったのだろうなあ・・・などと想像してしまいました。
お姫様のアンドロメダよりも何だか描き込んだ感があります(笑)

そしておまけの人物なのですが、是非注目していただきたいのが、左下、群衆の中の一番左側にいる赤いマントのようなものを着ている人物。彼はアンドロメダの許婚チェフェーオ。良く見ると、マントのように見えるものは、実は鳥の羽なのです。ペルセウスの様に飛んでアンドロメダを救いたかったのに、救えなかった・・・そんな陰の脇役です。

小さな作品ですが、良く見るととても魅力のある絵なんですよ。

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by lacasamia3 | 2010-05-18 02:54 | ウフィッツィ美術館物語 | Comments(25)
今朝は朝から雪です。昨日のうちにお出掛けをしておいて良かった~(ホッ)。


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さて、クリスマスから1月6日のエピファニーア(公現祭=東方の三博士のキリスト訪問を記念したお祭り)の間にちなんだ絵画は沢山ありますが、その中で私がとても好きな作品をご紹介します。
ウフィッツィ美術館の大部屋第10~14室には、有名なボッティチェッリの「春」や「ヴィーナスの誕生」が展示されています。ボッティチェッリも好きなのですが、私がこのお部屋で1作品選ぶとしたら断然コレ!と思うのが、ベルギーの画家フーゴー・ファン・デル・グースの「牧舎の礼拝」1475年(別名、「ポルティナーリの祭壇画」)です。
3パネルに分けられているので、左側のパネルから順に見ていきましょう。


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黒い衣を着て、ベルを手にしているのは聖アントニオ、槍を持って赤い上着を着ているのが聖トンマーゾ、そして手前で手を合わせてひざまづいている男性が、この作品の依頼者、トンマーゾ・ポルティナーリ、そして後ろには、彼の子供が2人描かれています。
トンマーゾ・ポルティナーリは、メディチ家がヨーロッパ中に持っていたメディチ銀行のブリュッへ(ベルギー)店の代表でした。駐在中にこの作品を描かせ、1483年にフィレンツェに持ち帰ります。


f0106597_1754399.jpg背景の左奥には、身重の聖母マリアとジュゼッペがベツレヘムを目指して歩いている様子が描かれていて、こうした時間表現は、日本の絵巻物にも似ているなあと思います。


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そして、中央にはこの作品の主題、「牧者の礼拝」が描かれています。


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麦=パン、キリストが最後の晩餐でちぎったパン
白い百合=潔白 その他の百合=キリストの受難
7つの黒いオダマキ=聖母マリアの7つの苦しみ

など、シンボリズムを見始めるとキリがないのでこのくらいにしておきましょう。とにかくとても興味深い作品。
通常は、若い姿で描かれる天使ですが、ここでは、オジさん顔の天使(左側の二人)も登場します(笑)。


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そして目を惹くのが、農夫たちのリアルな表情。手も、農夫の手らしく、がっしりと逞しいのです。何と良い表情。


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そして右側のパネルには、赤い衣を着て竜を踏みつけた聖マルゲリータと、香油の入れ物を持ち、白い衣を着たマグダラのマリアが描かれています。下にひざまづいているのは、トンマーゾ・ポルティナーリの妻と娘。実際の人物は、聖人たちよりも小さく描いて区別している所がなかなか面白いです。


f0106597_1715319.jpg奥の背景には、星に導かれてやってきた東方の三博士(後方三人)が描かれています。


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ウフィッツィ美術館では、開いた状態で展示されているのですが、実はこの3パネルは、左右の2パネルが扉のように閉じる仕掛けになっています。裏側には受胎告知のシーンが描かれており、閉じた状態だと、↑このように見えるのです。
きっと、通常はこの状態で飾られ、クリスマスのミサでパネルが開かれ、「牧者の礼拝」を愛でることが出来たのでしょうね。

フランドルから運ばれてきた異国情緒溢れるこの傑作は、当時のフィレンツェの画家たちに大きな影響を与えます。

写真だと実物の100分の1の魅力も伝わらないです(涙)。実物を是非フィレンツェに見に来てくださいね~。

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by lacasamia3 | 2010-01-04 18:11 | ウフィッツィ美術館物語 | Comments(6)
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先日、今年最後にと、ウフィッツィ美術館に、ある受胎告知を見に行きました。第3室に展示されているシモーネ・マルティーニ作の「受胎告知」(1333年)です。
この絵の前に立つと、飾り立てた言葉は必要ないほど、作品の魅力がストレートに心に染み渡ります。

この作品は、シエナ派の画家、シモーネマルティーニがシエナの大聖堂の主祭壇ために制作したと言われています。1799年に、メディチ家の後を継ぎ、トスカーナ大公としてフィレンツェを支配したロレーヌ・ハプスブルグ家のピエトロ・レオポルドがシエナからフィレンツェに運ばせ、以来、ウフィッツィ美術館に保管されているそうです。
画面に向かって左側は、シエナの守護聖人聖アンサーノ、右側は聖マルゲリータ。そして中央には、受胎告知のシーンが描かれています。


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左側でひざまづいているのは、大天使ガブリエーレ。そして、お告げに戸惑い、マントで身を隠す聖母マリア。
大天使のマントの後方はひらりと風になびいていて、まるで着陸直後といった感じ(笑)。美しい大天使の羽の描写は、この当時の画家の腕の見せ所なのです。


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ガブリエーレの口からはお告げの言葉が、漫画の噴出しのようにずらずらと一行になって、聖母マリアの耳に向かって飛び出しています。

第2室のジョットー作、玉座の聖母の約20年後に制作された作品。この作品を見る度に、リアルな人体表現や、パースペクティヴの探求とは切り離された、様式美を感じます。そういった意味では、日本画に近いのかも知れませんね。

とても素敵な受胎告知です。ウフィッツィ美術館を訪れられたら、この絵の前で足を止めてみてはいかがでしょう?

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by lacasamia3 | 2009-12-26 20:42 | ウフィッツィ美術館物語 | Comments(6)
今日はストでユキちゃんの学校はお休み(涙)。昨晩、お友達M君のお母さんに電話をして、我が家に遊びに来てもらいました。お互い在宅の仕事同士なので、こうして急に学校が休みになったり、長いお休みの時には、お互いに子供を貸しあうんです(笑)。一人で居ると「マンマ~遊んで~」とウルサイユキちゃんも、お友達が来ると、朝から晩まで二人で楽しそうに遊んでいます。今は外で遊んでいるところ。

さて、先日、ジョットの家を訪れてから、すっかりジョットという12世紀初頭の画家にはまってしまい、久しぶりに画集を開いています。


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ジョットといえば、ウフィッツィ美術館の第2室(3階に上がって窓がある廊下から入った1つ目のお部屋です)に傑作、「玉座の聖母」が展示されています。
個人的に、ジョットの作品の中では、激しい感情を表現したパドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂の一連のフレスコ画が特に好きなのですが、このウフィッツィ美術館の「玉座の聖母」もまた静かな美しさのある作品です。

急いでいる人は、このお部屋をサーっと通り過ぎてしまい、ボッティチェッリの「春」がある第10室に直行してしまうのですが、この第2室は「いかにイコン画からイタリア絵画が変化していくのか」を理解するのに面白い展示がされているので、是非足を止めていただきたいお部屋です。
展示室内には、ジョットの前の世代の巨匠2人による「玉座の聖母」、そして約20年後にジョットが描いた「玉座の聖母」が展示されています。同じテーマであるために比較しやすいのです。


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ドゥッチョ作
「玉座の聖母」
1285年委託

もとはサンタ・マリア・ノヴェッラ教会に納められ、その後、ルチェッライ家礼拝堂に移動されたので、Madonna Rucellaiとも呼ばれています。1948年以後、ウフィッツィ美術館に保管されています。


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チマブーエ作 
「玉座の聖母」
1280-1285年制作

もともとサンタ・トリニタ教会に納められていた作品で、Madonna di Santa Trinitaとも呼ばれています。


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ジョット作 
「玉座の聖母」
1310-1311年制作

もともと、オンニサンティ教会に納められていた作品で、Madonna d' Ognissantiとも呼ばれています。
たった20年の差ですが、ジョットを境にして、イコン画からイタリア絵画が独自の道を歩み始める過程が見受けられます。
前者の2作品では、聖母の周りの天使たちがかなり様式化されているのに対し、ジョットは、手前に位置する天使の光背で後ろの天使の顔を隠してしまうことも恐れず、前後、奥行きの描写に努めています。
また、聖母が座る玉座の左右の窓部分から後ろ側に居る聖人の顔を覗かせたりして、玉座の建築要素をより立体的に見せます。
そして何より、ジョットの作品では、玉座や天使、聖人たちが、地面に降り立っています(他の2作品では、プカプカと中に浮いたような感じ)。

今の時代から見ると何ともないような変化ですが、完璧な遠近法からはまだまだ程遠いのですが、理論的な3次元の描写し始めようとした時代の息吹を感じる作品です。

是非、ウフィッツィ美術館にいらしたら、この3作品を比べてみてくださいね。

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by lacasamia3 | 2009-12-11 22:28 | ウフィッツィ美術館物語 | Comments(6)