手作りパネットーネの美味しさ

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まだまだクリスマスディナーの話を引きずりますっ。
デザートの為にアントネッロが作ったのは、”panettone"(パネットーネ)と呼ばれるお菓子です。これは、クリスマスから大晦日にかけてのこの時期に良く食べられるドライフルーツを練りこんだケーキです。パネットーネについてはいろんな伝説がありますが、面白いのを最近見つけたのでご紹介します。
舞台はミラノの貴族、スフォルツァ家の宮廷。ウゲット・デッリ・アンテッラーリというミラノ人の騎士がスフォルツァ家の娘、アダルジーザの心を射止めようと、"Toni"(トーニ)という名前のパン職人になりすまして作ったのが、砂糖漬けのフルーツや、干し葡萄を沢山練りこんだ甘いパンでした。pane di Toni = 「パーネ・ディ・トーニ(トーニのパン)」と呼ばれたこのパンが訛って、パネットーネになったというもの。

もう一つ良く聞くのは、
同じくミラノのルドヴィゴ・イル・モーロの宮廷で起こったエピソード。トーニというパン職人がクリスマスのディナーの準備の最中に、デザート用のお菓子を焦がしてしまうことから始まります。仕方なく、キッチンにあった干し葡萄と果物の砂糖漬けを練りこんで甘いパンを焼いたところ、これが大盛況。同じくpane di Toni = 「パーネ・ディ・トーニ(トーニのパン)」がパネットーネになったという話。


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とにかく、1キロのパネットーネを作るのに、沢山のバターと卵の黄身が6個分必要なため、かなり贅沢なお菓子なのです。しかも手作りをしてみると判るのですが、凄く時間と手間がかかります。今となってはクリスマスから年末年始にかけて良く食べられる大衆的なお菓子となりましたが、これは1950年代から製菓メーカーのモッタ社が工業生産のパネットーネを作り始めてからのこと。
スーパーで売られているパネットーネの値段が2~3ユーロ(1月にはいると安売りで1ユーロ)なのに対して、パン屋さんやお菓子屋さんがそこで焼いて売っているパネットーネは1キロ10ユーロ~15ユーロします。この値段の差は、どう見ても「大量生産だから」というだけではないような気がします。


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果たして、安いパネットーネに卵の黄身が何個分使われているのか、どんな質のバターが使われているのかは、やはりパン屋さんのパネットーネと食べ比べてみると判ります。パン屋さんのパネットーネは、スーパーのもの程フワフワではありませんが、食べた後、胃にもたれるような感覚も、口の中に残る不快な後味もありません。だって、クリスマスにスーパーで買ったパネットーネが1月半ばまでカビが生えずに、まだ食べることができるって何かおかしいですよね。


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こんなことを話しながらも、アントネッロの手作りパネットーネの工程は着々と進んでいます。


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そして美味しい手作りパネットーネが焼きあがりました。無着色のフルーツの砂糖漬けを使ったので色はそれ程華やかではありませんが、味は抜群でした。美味しかった!アントネッロは、「うちのキッチンの温度が低いから上手く膨らまなかった」などと言っています。またリベンジで大晦日に作ってくれるかな?
ともかく、この時期イタリアにいらしたら、是非パン屋さんやお菓子屋さんの手作りパネットーネも味わってみてください。美味しいですよ。

31日は夜、フィレンツェで仕事があり、渋滞にはまらなければ、ギリギリ、我が家でのカウントダウンに間に合いそうです。一人での帰り道、渋滞にはまったときの為にノンアルコールのスプマンテを車に積んでおこうかなあ(涙)。それより家に帰れるのだろうか?

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Commented by がっちゃん at 2007-12-29 07:00 x
パネットーネについて、私は二つ目の説を何度か耳にしています。どっちが有力なのか比べる手段がないのですが・・・
えっと、おっしゃる通り、スーパーに山積みしてあって、なんだかもう見ただけで食傷気味ですけれど、本当に作るとなると大変なお菓子なんですってね。前にイタリアのお菓子の本(タイトルを忘れてしまいました)にそう書いてありました。
それを読んでから、私もちょっとパネットーネを見直すようになって、実は先日あるパーティーに出席したとき、ホテルの菓子職人(最近はパティシエと言わないといけないんでしょうかね)が作ったパネットーネが本当においしくて、そのときはイタリア領事も一緒だったのですが、これおいしいねぇ~。って感動していました。
やっぱりちゃんと手作りしたものは、おいしいんだと実感したひと時です。
長文失礼しました。
来年もchihoさんをはじめ、みなさんにとって良い年でありますように。
Commented by je-couleur at 2007-12-29 08:04
初めて耳にしましたが、古き良き時代の伝統のあるお菓子なんですね。
コレはイタリアに行った時には(何時になるか分からないけれど・・・)絶対に食べなくちゃ(^^)
初めのお話の、ウゲット・デッリ・アンテッラーリはアダルジーザの心を射止めたのかなぁ~?気になります☆

大晦日までお仕事大変ですね。
無事カウントダウンが出来ますように!!
良いお年をお迎えくださいね(^^)

ps.リンク頂いて行きますね♪
Commented by いずみ at 2007-12-29 12:19 x
ご無沙汰している間に美味しそうな料理の共演続きで羨ましいかぎりです。料理を解して会話するなんて、なんかプロの世界みたいですね(笑)

もしかしたら、3月にイタリアに行ったときに食べたパネットーネはこの時期に作られたものだったのかな? だとしたら・・・・・おそろし~い(*_*)

きっと、イタリアのカウントダウンはにぎやかなんでしょうね。
無事に帰宅できますように。
では、良いお年を!
Commented by bima at 2007-12-29 15:06 x
おいしそ~  恋愛とか土壇場のひらめき(?)のお話って楽しいですね。
それにしても、イタリアのお名前って難しいなあ(笑)
今年はこちらのブログでたくさん楽しい時間を過ごさせていただきました。
ありがとうございました。良いお年を♪
Commented by coquille at 2007-12-29 17:56 x
私は最初のお話の方を本で読んだことが有ります♪ロマンチックですよね。
それにしても、アントネッロさん、パネトーネまで!!!
旦那じゃなくて、私がつめの垢を飲ませていただかないと(汗汗)
Commented by プロセッコ at 2007-12-29 20:52 x
私も 今年焼きましたよ~発酵に時間がかかっちゃいましたが
あっという間に食べてしまいました
Commented by トラオの母 at 2007-12-29 21:05 x
うわ~~。もんのすご~!!美味しそうですねえ。
本日はじめてこちらのブログ拝見いたしました。
とても楽しかったです。
美味しそうな食べ物がいっぱいで(笑)
手作りっていいなあ。
子どもが幼稚園に行っているので、冬休みがおわったら、お菓子つくりに挑戦してみたくなりました~。
ユキちゃんかわいいですね。
女の子はいいなあ。うちの子はトラのような男子です。
Commented by M.K. at 2007-12-29 22:09 x
パネットーネのホームメードって貴重品ですね。今年はイタリア食材店からネットでパンブリアコーネ(酔いどれパン)というのを取り寄せました。フワフワしていてお酒がたっぷり染み込んでいて大人の味、とても美味しいものです。これボンチというフィレンツェ郊外のお店で作っているものらしいです。全部手作りですって。そしてそこでは日本女性が働いているらしく、とても親近感を覚えました。

アントネッロさんもすごーい。何でもプロ並みですね。ユキちゃんがその内パパ譲りのお料理をせっせと作ってくれるようになるでしょうね。末が楽しみです。
Commented by sicilia_trapani at 2007-12-29 23:08
いいな、いいな~!私も、パネットーネを食べたいあまり、いくつか買っておくように頼みました。でも、1月中旬なのよね、帰るの・・・(涙)日本のクリスマスやお正月も楽しいけれど、やっぱりこの時期はイタリアがいいわ。なんと言っても美味しい食べ物が溢れているから!パン屋さんやパスティッチェリアのパネットーネ、マンマの美味しい手料理@クリスマス、レンティッキエ、コテッキーノ(って、これはあんまり好きじゃないけど)、、、、あ~、来年はイタリアで食べまくるぞ!(笑)
Commented by BUNTA at 2007-12-30 01:02 x
あのう、アントネッロさんもなかなかですが、現実的に言うと、お母さんを我が家に派遣していただきたいっ!(はあ?) 待ってます。かしこ。
・・・・ご家族でどうぞよいお年を!
Commented by chichi at 2007-12-30 01:02 x
本当に美味しそう。30日パン屋さんで買います。31日どこかで会えたらいいですね。素敵なchihoさんに。今回泊まるアパートは(ダンテ1031)
で市場の近くで、レストランが経営してるそうです。楽しみです。
もう、いろいろ見たいものがありすぎでハシヤギスギに。でもchihoさんがおすすめの所は、行きますね!今度は、夏に来たいです。
chihoさんは、ロンドンには来る予定はありますか?
私は2回目の赴任で居ますが、穴場がいろいろでバスで探検してます。
あ、すみません。話が飛んで、とにかく30日ー3日と楽しんで過ごします。

Commented by きんちゃん at 2007-12-30 03:27 x
パネットーネは、イギリスでもクリスマスシーズンになるとスーパーで売っています。でも、家庭で作るものは、全く違うおいしさがあるんでしょうね。去年働いていた職場の近くに、イタリアンテイクアウェーの店があって、いつものように行列に並んでお昼ご飯を買ったら、お店のイタリア人のおじさんが私にだけ丸ごとパネットーネをプレゼントしてくれたのを覚えています。それ以来、私はパネットーネのファンです。よいお年をお迎えください。
Commented by M.K. at 2007-12-30 09:11 x
何度もお邪魔して済みません。

ちょっと言い忘れたことがありました。先日のブログにお母様お気に入りサンタマリア・ノヴェッラ薬局へいらしたとありましたね。実はフィレンツェのサンタマリア・ノヴェッラ薬局が名古屋の駅前に出来た大きなビルの中に出来たのです。表は数回通ったのですがまさかあの記事に出てきた薬局とは思いもよらず、ビルのテナントのパンフレットを貰ってきて家でみていたら、フィレンツェのだったんです。まさかねー、本当にビックリしました。早速、思い当たる品物が置いてあるかどうか電話を掛けてみたら、その品物はありませんでしたが、ゆくゆくはもっと商品を充実させると言っていました。フィレンツェと名古屋、何だか名古屋も少しずつお洒落な街になりつつあります。
Commented at 2007-12-30 11:33 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by camomile at 2007-12-30 13:53 x
初めまして。
手作りパネトーネ美味しそうですね!イギリスのクリスマスプディングにしても、ドイツのシュトーレンにしても、クリスマスのお菓子はドライフルーツ入りで長持ちしますよね。

普段はロンドンに住んでいます。今年は何年か振りに日本でクリスマス&お正月です。
Commented by verita314 at 2007-12-31 02:32
さすがアントネッロさん!
私も手作りに挑戦してみようかと思ったんですが
レシピ検索して手間がかかるのを知って諦めたんです(苦笑)
今年は自分用にパネットーネは買いませんでした。
プレゼントにパンドーロを買ったくらいで。
私の周りはパンドーロ派が多いのもあって
買わないんですよ。
私もがんばって作ってみようかな...
Commented by chiho at 2007-12-31 03:41 x
がっちゃんさん>そうなんですよね。パネットーネでも色々あって、手作りのものは格段に味が違うんですよね。いつもブログにコメントを頂き有難うございます。こちらこそ2008年もどうぞ宜しくお願いします♪
Commented by chiho at 2007-12-31 03:43 x
je-couleurさん>私も二人の結末が気になります~。リンク有難うございました。昨日、毎年大晦日まで仕事をしている友人に聞いたところ、12時は意外と道が空いているそうで、混み始めるのは1時過ぎからだそうです。さてさて、どうなることやら・・・。
Commented by chiho at 2007-12-31 03:46 x
いずみさん>お料理に言葉は必要ないんですね。ホント、アントネッロと母を見ながらつくづく思います。大切なのは理解しようという心。かなりボディーランゲージが入っていますが(笑)、意思疎通できてます。
Commented by chiho at 2007-12-31 03:48 x
bimaさん>2007年も残すところあと1日ですね(早かったっ!)。いつもコメントを下さり有難うございます。また来年もどうぞ宜しくお願いします。
Commented by chiho at 2007-12-31 03:51 x
プロセッコさん>おお~、プロセッコさんも手作りパネットーネですか。やっぱり手作りが一番美味しいですよね。うんうん、発酵に時間がかかります。アントネッロはビール酵母で作るレシピを見つけたのですが、次回はベーキングパウダーで作ってみたいと言っていました。
Commented by chiho at 2007-12-31 05:27 x
トラオの母さん>初めまして。ブログを見てくださって有難うございます。男の子のママさんなんですね。ユキちゃんのお友達でも男の子はもっとおっとりしていて、この年齢は女の子の方がおませさんみたいですね。これからもどうぞ宜しくお願いします♪
Commented by chiho at 2007-12-31 05:29 x
M.K.さん>パンブリアーコというくらいだから、リキュールたっぷりなんでしょうね。ボンチ、聞いたことがあります。美味しいんだろうなあ・・・。
Commented by lacasamia3 at 2007-12-31 05:36
鍵コメcさん>お返事が遅くなってしまってごめんなさいっ!実は明日、31日は仕事開始が朝の10時で、終了予定が夜の10時半なんです(涙)。もし街で見かけたら声掛けて下さいね。よい大晦日をお過ごし下さい。
Commented by lacasamia3 at 2007-12-31 05:39
camomileさん>良いですね~、日本でのお正月。私が日本でお正月を過ごしたのは6年前かな?かなり羨ましいです。楽しんできてくださいね。
Commented by lacasamia3 at 2007-12-31 05:43
Reiちゃん>うん、そうだね。イタリア菓子はやっぱりクリスマスとかパスクア辺りに沢山出るよね。う~、私としては「みかん&紅白&コタツ」が理想的な31日の過ごし方なんだけど、朝10時からの仕事が、夜10時半にフィレンツェのチェントロで終了予定です(帰れるのだろうか・・・)。
Commented by lacasamia3 at 2007-12-31 05:44
文太さん>有難うございます。文太さんも栗助さんと楽しいお正月を過ごしてくださいね。どちらですか???
Commented by lacasamia3 at 2007-12-31 05:45
きんちゃんさん>こんにちは。きっとイタリア人のオーナーが「お祝い事だから」ってくれたんでしょうね。うん、私もパネットーネ大好きです。是非イタリアで、パン屋さんやお菓子屋さんのパネットーネを食べてみてくださいね。
Commented by lacasamia3 at 2007-12-31 05:46
M.K.さん>名古屋にも出来たんですね。是非、また本店にもいらしてみてくださいね。雰囲気がありますよ。
Commented by lacasamia3 at 2007-12-31 05:48
veritaさん>うんうん、私も最初はシンプルにパンドーロ派だったのですが、美味しいパネットーネを食べてからは、沢山のパンドーロよりもチョビッと美味しいパネットーネを食べたくなります。
by lacasamia3 | 2007-12-29 04:55 | フィレンツェの美味しいお菓子 | Comments(30)

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