リーザの歌声

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昨日、偶然、スーパーで、友人Aとリーザちゃんに会いました。ユキちゃんと同じ年のリーザちゃんは、1年半前の冬に、カンボジアの孤児院からトスカーナの片田舎へやってきました。友人Aと旦那が養女を迎えると聞いた時、私達は、喜ぶと同時に、彼らの実の子供である当時6歳だったパオロ君の反応を心配しながら見守ったものです。
長い手続きがやっと終わり、いよいよリーザちゃんをカンボジアに迎えにいくことになった時、友人は、パオロ君もそのお迎えの旅に同行させることにしました。これから家族の一員として迎えるリーザがそれまで過ごした環境やカンボジアの自然をパオロにも見せてあげたいというのが、彼女達の考えでした。私が彼らに会ったのは、その旅行から戻ってきた3週間後。2歳のリーザは、お母さんという存在となった友人Aにべったりとなつき、まだまだイタリア語は喋れなかったけれど、ユキちゃんとも仲良く遊んでいました。
パオロ君は大人の余計な心配をよそに、お母さんを独り占めしているリーザに対する嫉妬どころか、「妹をいじめたら僕が許さないぞっ!」と、しっかりとお兄ちゃんとなっていました。

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沢山飲んで食べて、さあ、デザート!と言う時に、他の友人が、BACIチョコの詰め合わせを持ってきてくれました。子供たちは、沢山のチョコレートをもらい大喜び。チョコレートを頬張りながら、ニコニコ顔。そして、ふと、リーザが歌い始めたんです。それまで3週間、カンボジア語を口にしなかったリーザが、カンボジア語でわらべ歌(多分)を歌い始めたんです。誰に聞かせると言うわけでもなく、チョコレートを食べながら楽しそうに歌うリーザ。暖炉を囲みながら、リーザの何だかちょっと懐かしいような、優しいカンボジア語のわらべ歌は何だか皆の心にジーンときました。多分、100%アジアンな私と50%アジアンなユキちゃんに会ってカンボジアのことを思い出したのかもしれません。それともこうして楽しく、孤児院の先生とチョコレートを食べたことを思い出したのかもしれません。

他のヨーロッパ諸国と同じように、イタリアでもこうして海外から養子をもらうケースは珍しくありません。養子縁組に対する考え方が進んでいるオランダやベルギーに比べると、イタリアでは手続きが複雑でとても時間がかかるようですが、リーザのように、東南アジアやアフリカ諸国からイタリアに養子としてやってきて、イタリア人として育っていく子供たちは沢山います。100%成功するわけではないのでしょうが、少なくとも久しぶりに会ったリーザは、優しいマンマとパパ、お兄ちゃんに囲まれて、とても幸せそうでした。

ヨーロッパに来て、こうした、血のつながりや肌の色にこだわらない「家族の絆」という新しい人間関係を身近で見ることがあります。それは、薄っぺらな正義感や、使命感を超えた、もっと大きな愛情であるような気がします。

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Commented by here at 2006-07-02 01:44 x
いいお話ですね。心があたたかくなります。
ヨーロッパの都市では、いろいろな人種が共存していますよね。(その分問題もあるのですが…)それを見るにつけ、日本はまだこれからだなと思ってしまいます。
“血のつながりや肌の色にこだわらない”絆、これがもっと世界で理解され、受け入れられていくといいですね。
Commented by hare at 2006-07-02 01:45 x
すみません、名前をタイプミスしてしまいました… さきほどのコメント、hereではなくhareからのものです。
Commented by rucola at 2006-07-02 09:07 x
はじめまして。
会社からも自宅からも、一日2回は拝見させていただいています。
ユキちゃん、本当にかわいいです!
いつか遊びに行って会いたいです。
Commented by ミトン at 2006-07-02 09:09 x
素敵なお話をありがとうございます。ウチにも数年内に法律的に実子になる予定の里子がいます。赤ちゃんの時に我が家に迎えました。

リーザちゃんは2歳なのですね。親と子の一対一の愛着を形成する0~2歳を施設で過ごしてしまったために、親も子も愛着の絆を結ぶのにとても苦しむことがあります。親が自分をとことん受け入れてくれるかどうかの試し行動や過食など。どの行動も親を必死に求めているがゆえのものです。

たぶんヨーロッパでは家族のあり方もいろいろで、自分の家族が人とは違っても「人それぞれ」が身についていると思うし、周囲の理解も多いと思います。長い目でリーザちゃんが家族の愛を吸収してどんどん成長していくのを見てあげていてくださいね。時々、リーザちゃんのお話聞かせていただけるとうれしいです。長々とごめんなさい。

最後に、いつも楽しく拝見してます!
Commented by pore at 2006-07-02 09:12 x
こんにちはchihoさん。私の住むコミュ二ティも欧米から東南アジアと様々な諸外国の人びとが居住しています。以前ベトナム人の友人から差別を受けている実態を告白されたことがあります、それとは裏腹に幼い子供たちは国籍や人種に関係なく仲良く輪になって遊んでいましたがね。個人では容易に解決できる問題も社会全体でとなると難しい問題ではあるのかもしれません。ご友人のAさんの愛情が今後もしかしたら起こりうるかもしれない何らかの問題を克服させていくのだと思います。ほんと薄っぺらな正義感や、使命感ではないですよね。見守っていきたいですね!
Commented by komorebi at 2006-07-02 12:37 x
涙で最後まで読めませんでした…。
お友達のAさんの強さと愛情を本当に身をもってすごいと思いました。

私もスリランカに援助(本当にちょっとだけ)している里子ちゃんがいるのですが、つい最近テロでお父さんを亡くしてしまいました。
まだ学校へ入ったばかりで、お兄さんは病気だし妹は小さいし、今彼にしてあげられることは何かしら…と悩んでいたので考えさせられました。
まだ現地へ手紙を書いても届かないかもしれないといわれているのですが、とにかく手紙を書いてみることにします。
そして私が長ーく続けられる援助を考えて見ます。
末の息子が「お袋が出来なくなったら俺がやるから!」といってくれたのは嬉しかったです(でも彼はまだ高校生ですが)
今回は本当に悩んでいた時っだたのでchihoさんのお話に勇気づけられました。有難うございました。
Commented by イタリアへの情熱 ミケ at 2006-07-02 15:14 x
こんにちは。イタリアへの情熱 ミケです☆
「家族の絆」・・・本当に優しくなれる言葉です!
この温かさをみんなが当たり前に
感じれる世界にしていきたいですね。
Commented by mariko at 2006-07-02 16:41 x
ご無沙汰しました!chihoさん!ユキちゃんのメイク顔可愛い♪
実はダニエルがボランテイアでカンボジアの孤児院に8月末まで行っています。プノンペンからさらに2時間行ったところのミッションの施設だそうですが、無事帰宅する事を祈っています。そんな訳で今年の夏はながい夏になりそうです・・・
Commented by sacchii at 2006-07-02 22:05 x
ハジメマシテ! 
ユキちゃんが可愛くって、以前からコッソリ読ませて頂いてます!
私もフランス人の夫がいて、いずれはフランスの田舎へ定住予定なので、参考になります!!

今回のお話は、とても感動しました(涙)ので書き込ませてもらいます。
欧米では、肌の色関係なく、孤児を養子にするのが発展しているので、とても素晴しいです。少子化の日本こそ、もっと取り入れるべきだと思います!旦那の従兄弟に日本人がいたそうですが、彼らは日本人の養子だったそうです・・・
私達にはまだ、子供はいません。いずれは欲しいですが、これこそ神の授かりモノ。もし、子に恵まれなければ、養子もいいなぁ、と考えています。
旦那には考えすぎ!って突っ込まれてますが・・・

これからも楽しみにしてます♪
ここで勉強、生活のお勉強させて頂きます!!
Commented by ms_fragrance at 2006-07-02 22:32
ジーンと心に沁みる話ですね。chihoさんのお気持ち、よく分かります。
島国の日本では、なかなか理解されない話だと思います。
人種や血族、肌や目の色にこだわりますから・・・
私達夫婦は子どもがいませんので、いずれは貧しい国の子ども達の
里親になりたいと考えています。人類、みな兄弟ですもの!
Commented by aoyadom at 2006-07-02 23:15
素敵なお話、ありがとうございます。
私は人種差別と言うものを強く感じながら育ったので
今のゆきちゃんの様な環境の中で、子供同士が感じあい学びながら
育ってくれることを心より祈ります。
Commented by barnet46 at 2006-07-02 23:33
いい話だね 経験からしか言えない言葉に 気持ちと心が 深呼吸しました ありがとう^^
Commented by sense_of_wonderY at 2006-07-03 00:09
いつ伺ってもかわいいユキちゃんの笑顔に元気を頂いております。
今日の記事はとても深いお話ですね・・・薄っぺらな正義感や使命感を
越えた、深い愛情。言葉で表すのは簡単だけど、実行できることが
すばらしいです。せめてそういう孤児が増えないようにと願い、なにか
自分にできることがないかしら・・・と考えさせられました。
Commented by chiho at 2006-07-03 00:14 x
hareさん>ヨーロッパに来てから、当たり前のことなのにそれまで意識していなかった、アジア人である自分を意識するようになりました。それはネガティブな意味ではなく、自然な意識として。現在私が住んでいる環境の中では、肌の色や顔つきで差別を受けるようなことはありません。引っ越してきて4年目ですが、「村の日本人」→「yukiのマンマ」→「chiho」と少しずつ皆の私に対する視線が変わってきたような気がします。yukiちゃんは、めちゃめちゃ溶け込んでます(笑)。
Commented by chiho at 2006-07-03 00:16 x
rucolaさん>いつもブログを見てくださって有難うございます。これからもユキちゃんと畑のトマトの生長、見守ってやってください。
Commented by chiho at 2006-07-03 00:19 x
ミトンさん>ご自分の家庭に、他人の子供を家族として迎えるって、大変だけれど、その子がもたらしてくれる幸せも沢山あるのだと思います。そうして家庭を築き上げていくことも1つの家族のスタイルだと思います。ミトンさんの勇気と決断に拍手!幸せな家庭を築いてくださいね♪
Commented by chiho at 2006-07-03 00:24 x
poreさん>他人と違うことを理由に、その人に不快感を与えるような人種差別は何処にでも存在しているし、それは排除することは出来ないと思います。そして、その違いを消すことも出来ないと思います。私はアジア人で、イタリア人にはなることは出来ません。それは自然体で受け入れるべきだと思います。でも、差別を受けたり、不快な思いをしたときに、しっかりと支えてくれるのが家族や良い友達だと思います。
Commented by chiho at 2006-07-03 00:29 x
komorebiさん>イタリアでも里子制度はかなり進んでいますが、日本でもここ数年でかなり認識が高まってきたようですね。個人が出来る範囲でその子を支えてあげられる良い制度だと思います。息子さんの頼もしいお言葉、嬉しいですね。komorebiさんのお考えがしっかりと伝わった証拠だと思います。
Commented by chiho at 2006-07-03 00:30 x
ミケさん>ヨーロッパに来て、色々な形の「家族」が存在するんだなあと実感しました。
Commented by chiho at 2006-07-03 00:31 x
marikoさん>そうですか。お母様としてはご心配ですよね。ダニエル君が無事元気に戻られますように。
Commented by chiho at 2006-07-03 00:37 x
sachiiさん>こんにちは。フランスは、イタリア以上に、人種が交じり合った国際色が豊かな国ですね。フランスに限らず、ヨーロッパでは国際養子制度がかなり一般的で、社会的にも普通に受け入れられています。私のフィレンツェ人の友人も、コンゴから女の子を養女に迎え入れました。フィレンツェ人のおばあちゃん(友人のお母さん)とコンゴからやってきた女の子(カラフルなワンピースがとっても似合って可愛いのです!)が手をつないでお散歩をしている光景に出会うと、とても温かな気分になります。今ではすっかり、フィレンツェ弁を喋り、お友達も沢山居るようですよ。
Commented by chiho at 2006-07-03 00:40 x
ms_fragranceさん>ヨーロッパに住み始めて、一番大きな収穫は、こうした視野を広げてくれるような出来事に、身近に遭遇することです。
Commented by chiho at 2006-07-03 00:49 x
aoyadomさん>人種差別は、残念ながら、なくなることはないのかもしれません。でも、そうした不快な思いをしたときに、友人や、家族など、「でも私達はあなたが大好きよ」と言ってくれる人がいるといないでは、大分違うと思います。ユキちゃんも一度、「キアラの肌の色はどうしてほかの子よりも濃いの?」と私に聞いたことがありました。ユキちゃんのクラスメートのキアラちゃんは、両親ともパキスタン人で、褐色の肌にキラキラした大きな眼が可愛い女の子です。私は、「キアラのお父さんとお母さんも素敵な褐色の肌をしているでしょ。だからキアラもそうなのよ。ユキちゃんだって肌の色はちょっと黄色っぽいでしょ?これは、ママの肌の色も混じっているからなのよ」と答えました。「キアラのこと好き?」と私が聞くと、ユキちゃんは「うん、大好き。」と答えました。違いは違いで受け止めるべきだと思うのです。大切なのは、その人のことが好きか嫌いかをその違いで判断してはいけないということなのではないかな思います。
Commented by chiho at 2006-07-03 00:51 x
barnet46さん>これから、国際交流がどんどんと増えて、個人の理解が深まると良いですね。
Commented by chiho at 2006-07-03 00:55 x
sence_of_wonderYさん>個人の家庭に他人の子供を受け入れると言うのは、かなり勇気がいることだと思います。まずは、その家庭が幸せであること、そしてその幸せを分けてあげるということは素晴らしいことだと思います。養子を迎えるのは大変だけれど、個人の出来る範囲で世界の子供達に幸せを分けてあげることができると良いですよね。
Commented by kazgarden2 at 2006-07-03 12:47
カンボジア語で歌いたくなった リーザちゃんの心を思ったらなんだか涙がでそうになりました。 自分の心の中を見せても大丈夫なんだって ほっとしたのでしょうね… なんて素晴らしいお話なんでしょう。 Chihoさん 聞かせてくださってありがとう。
Commented by chiho at 2006-07-03 16:27 x
kazgardenさん>カンボジア語のわらべ歌って何だか懐かしいような、優しいメロディーでした。今もたまに思い出します。
Commented by ルネラ at 2006-07-04 22:08 x
はじめまして。いつも楽しく読ませていただいています。スペインでもたくさんの養子がいます。特に中国からはたくさんの子が来ています。ナショナリティーよりパーソナりティですよね。私は養子を貰ってまで子供が欲しいって思う心意気と大きな器にいつも感動します。子育てって忘れていたいろんなことをきづかせてくれたり、いろんなことを親も学べる自分育てでもあるんですね。リーザちゃんカンボジアの歌いつまでも忘れないでほしいな。ハッピーな子供そしてママ&パパが増える事は素敵なことです。
Commented by serendipity_m72 at 2006-07-11 14:33
海外からの養子・・考えさせられます。夫の故郷、アメリカでも頻繁に行なわれています。日本では・・なかなかですよね・・子育てにお金がかかりすぎる日本・・自分の子供で精一杯・・とついつい思ってしまいます。助け合い・・考えさせられます。愛の形はいろいろですね・・彼女、そしてご家族の幸せをお祈りします。
Commented by chiho at 2006-07-11 16:56 x
ルネラさん>お返事が遅れてしまいゴメンナサイ!ヨーロッパに来てから、日本よりももっと自由な「家族」という考え方に、常に感心させられます。養子って大変だけれど、お互いに与えあう愛は大きいと思うのです。私も、ハッピーなファミリーがこれからも増えていって欲しいなあと思います。
Commented by chiho at 2006-07-11 17:00 x
serendipity_m72さん>日本とイタリアの教育費の差については、いつかブログで取り上げたい話題の1つです。イタリアでは殆ど塾がないので、子供たちは自分で勉強するか、親が勉強を見てあげます。日本で子供を育てていくのは大変だなあとつくづく思います。
by lacasamia3 | 2006-07-01 23:45 | イタリア子育て~幼稚園編 | Comments(31)

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