学ぶということ

私がフィレンツェを離れていた間、ユキの高校では、今週から、auto gestione(アウトジェスティオーネ)という学生主体の運動が1週間限定で始まりました。
普通は、国の教育政策に対しての反対デモを行ったりするのですが,ユキの高校では、ちょっと違った視点でした。
まず、この活動は、授業を1週間ボイコットする訳なので、学校側は余り賛成ではないのです。でも事前に予告をした上で、行う分には、学生の権利の1つであるという事で、阻止はできない。殆どの先生は、テストなどはこの週に当てずに調整します。
一応、選ぶ権利はあるので、アウトジェスティオーネに参加しない学生は授業を受ける事が出来るのですが、その数は1割り程なんだそうです。
残り90%の学生達も、ちゃんと時間通りに学校に行きます。出席は、成人である5年生が取り、きちんと校長先生に提出します。なので、月曜日から土曜日までの6日間は、学生が自分たちで学校を運営するのです。

この1週間の活動のテーマは「学校が教えてくれない事を学ぼう」。

カリキュラムを見ると、外部からそれぞれの専門家を招いて、講演を行ってもらったり、ディベートをしたりします。

・EMERGENCYという発展途上国で医療行為を行っている医療チームによる講演
・ジャマイカ出身でイタリア国籍、フィレンツェ近郊在住の女子陸上のオリンピックメダリストによる講演
・在校生の母親でアルゼンチン出身の人による南米の現状についての講演
・近々行われる国民投票の賛成派と反対派によるディベート

これらはほんの一部ですが、様々な分野について外部から人を呼んで授業をやってもらうのです。

昨日は、同級生を交通事故で亡くした高校生のグループが作った団体の人が講演をしました。
フィレンツェで数年前に、バイクに乗った17歳の高校生が、無謀運転の車と接触して亡くなりました。その時の法律では、飲酒をしていて無謀運転をしたドライバーは殆ど罪を問われなかったのだそうです。判決を受け、被害者の同級生を中心に、当時の高校生グループが団体を作り、短期間で膨大な署名を集めて、無謀運転に関する法律の改正を訴えます。そして最近、法律が改正され、飲酒や無謀運転での事故の場合、重刑を課せられることになりました。彼らは今はもう成人しているけれど、その時の体験談を話してくれたのだそうです。

これらの講演をしに来てくれる人たちに対して、小額でも、学生達はきちんと礼金を払います。
そのお金は、年間で何回か行うバーベキューや、バザー等の活動で稼ぐんだそうです。稼ぎのうちの8割はフィレンツェの小児病院に寄付をして、残りの2割をこうした活動に充てているのだそうです。

5年生が主体だけれど、下級生もそれぞれ役割を分担され、ユキにも、今後、学生が、医療チームEMERGENCYのフィレンツェの支部を学生が訪問するイベントの企画運営が割当てられました。

高校に入ってから、何だかユキは、凄く活き活きしています。
どうやらこの高校がとっても合っているみたい。
毎晩、夕食の時に、その日に学校で起こった事を聞くのが結構楽しみなのです。

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Commented by tawaraya at 2016-10-14 18:49 x
素晴らしい活動ですね。いつ始まったのかしら?日本の学校に掛けているのはこういう自主活動かもしれませんね。だから、いつまでも大人になれないのかもしれない。
Commented by lacasamia3 at 2016-10-14 21:41
tawarayaさん、管理されるのを嫌うイタリアの国民性もあるのかも知れませんね。他のフィレンツェ市内の高校も、今週は国の教育政策に反対する抗議運動で、学校を占拠したり、抗議活動を行っている様です。
Commented by fumiko at 2016-10-16 10:21 x
イタリアの学校のお話、毎回興味深く拝見しています。日本人が子どもっぽい理由がわかるな~⭐大人がいつまでも子ども扱いするからなのでしょうね。子離れできないのも原因かも?イタリアの学校生活事情、次回も楽しみにしています!
ユキちゃん、chihoさん、早起きファイト✊
by lacasamia3 | 2016-10-13 17:59 | イタリア高校生日記 | Comments(3)

フィレンツェで山暮らしをするchihoの田舎便りです。フィレンツェの街歩き情報、イタリア風家庭菜園、お勧めレストラン現地情報、日帰りで行ける街の情報など。フィレンツェの滞在型アパートの紹介サイト「ラ・カーサ・ミーア」を運営しています。


by chiho