16番線

今日、1月27日は、アウシュビッツ・ビルケナウ収容所が旧ソ連軍に解放された、il giorno della memoriaという日です。学校でも、各地方自治体でも、年月が経ち消えつつあるホロコーストの記憶を忘れない様にと、様々なシンポジウムやイベントが開かれました。おらが村でも、ご本人は幸い助かったけれど、収容所でご家族を亡くされた80歳のマダムが語りの会を開いて下さったので、ユキと親友の男子3人を連れて、お話を聞きに行きました。

他のヨーロッパの国同様に、イタリアからも多くのユダヤ人がアウシュビッツに運ばれて行きました。フィレンツェの中央駅の16番線は、トスカーナからアウシュビッツに向かう列車が出るホームだったそうです。

思うところ、本当に沢山あります。そして、人はここまで残酷になれるのか、と。実際に体験された方の口から発される言葉は、ネットで意味なく流れる薄っぺらな政治的伏線や現在の世界情勢なんていうものを吹き飛ばす程、ずっしりと重く、ストレートに心に響くものでした。
中学生3人は、2時間の会の間、神妙に話を聞いていました。彼らの心にも、何か届く声がある事を願います。

母親として、人間として、声を高くして言いたい。
このようなことは、二度と繰り返してはいけない歴史だと。

イタリア語ではまだ読んだ事がなかったプリモ・レーヴィの"Se questo è un uomo"( 1947)を読んでみたいと思います。

人気blogランキングへ
気に入っていただけたら↑をポチッとクリックしてください♪
Commented by africaj at 2015-01-28 12:54
「ライフ・イズ・ビューティフル」がそうだよね?
イタリアでもこんな風な歴史があったんだって、あの映画で知ったよ。
ほんとうに辛い。
ドイツはドイツで、学校で普通に「はいっ」って手を揚げることを今も禁じられていると聞いて、ドイツの背負っているものも辛く思ってね。。。

加害者被害者、戦勝国敗戦国、今も縛られてる。日本もだけど。
もう二度と繰り返してはいけない歴史。
子供たちに届きますように。
Commented by lacasamia3 at 2015-01-28 16:39
africajさん、うん、ホロコーストにに限らず、こうした過去の悲しい歴史は実際に体験した人がまだ居る限り、その人の口から伝えられるものを私たちや次の世代が聞くことが大事だと思う。この方、アウシュビッツやその他の収容所を90年代に訪問したんだけど、その時、ドイツの徹底した過去に対する姿勢を感じたって言ってた。
Commented by mattfrafra at 2015-01-28 19:35 x
現在の「イスラム国」の人質事件もそうだが、人間はちょっと間違えるとここまで残酷になれるのかと思う。これ以上はコメントしません。
Commented by ハナ at 2015-01-29 04:12 x
学生時「アンネの日記」に衝撃を覚え…以前見たドキュメンタリー、ユダヤ人の女先生がユダヤ人の子供達の為に学校を作り、最後まで子供達の為に尽力していた。
先程の「世界ふれあい街歩き」、ネパールのカトマンズが舞台。仏教、ヒンズー教、イスラム教など色々な宗教や民族が入り混じった国、それでも皆仲良く共存している。異種なるものを敬い受け入れている。
受け入れられない気持ちはわかる、けれどもそれの尊厳を奪い消すことは正解とは思わない。元は同じ人間であることを忘れないで。私も親として、子供達やその子供達が、戦争という名が当たり前の世界にいないように切に願う。
Commented by 向井恵美 at 2015-01-29 06:43 x
前のブログで、ダンテの授業が始まりました、っていうのがありましたが、ヘェ〜、イタリアってすごいって思いました。今回もそうです。日本は自国の精神の源を子供達に伝えているのでしょうか。過去の歴史についても同じ事が言えるのでは?
Commented by まんまる at 2015-01-29 09:41 x
初めまして。いつも楽しく読まさせて頂いています。
キリスト教の方々は、長年に亘り ユダヤ人を迫害&差別して ゲットーに住まわせたり 教会がユダヤ人の職業を制限したりしていましたが、現在のイタリアでは その辺を どのように教育しているのでしょう? 
ホロコーストは、キリスト教徒のユダヤ人差別の延長線上にあるもので、ナチスだけのせいにするのは、片手落ちだと感じています。
現在のイスラムの問題も、元はと言えば キリスト教の国々の大航海時代以降の驕りが招いた点も 多々あるのではないでしょうか。
キリスト教の中心があるイタリアでこそ、客観的な 諸々の宗教の歴史を 子供達に伝えていただきたいなと、地球の裏側から思うのです。
Commented by lacasamia3 at 2015-01-29 17:59
mattfrafraさん、そうですね。怖かったのが、マダムが言っていた「イタリアでも、周りは誰も反対しなかった」という言葉です。
Commented by lacasamia3 at 2015-01-29 18:00
向井恵美さん、過去の歴史に対する姿勢は、私はドイツには行った事がないけれど、イタリアから見て、ドイツのそれはとても徹底していると思いました。
Commented by lacasamia3 at 2015-01-29 18:02
まんまるさん、コメント有り難うございます。この記事ではホロコーストに限定して言及するつもりも善悪を問うつもりもありません。このような悲しい事は、パレスチナでも起こっていると思う。人として超えて行けない一線があるということに尽きます。
Commented by しんしん at 2015-01-30 04:02 x
楽しかったり幸せだったり考えさせられたり・・・大好きな国の空気が伝わる記事をいつもありがとうございます。なかったことにしたり、見ないことにしたり、過去のことと片付けるのではなく、皆が心を寄せ続けて伝えていくことはとても大切だと思います。プリモ・レーヴィ、改めて伝わってくるものもあるので、ぜひ原書で読んでください。
Commented by lacasamia3 at 2015-01-30 04:31
ハナさん、これからの未来を担う人たちに、戦争の舞台裏には普通の人の生活があり、それぞれが色んな形で巻き込まれてしまうこと、それによってとても悲しいことが起こってしまう事を伝えるのが、今の私たちの使命だと思うんです。
Commented by lacasamia3 at 2015-01-30 04:33
しんしんさん、この日、晩ご飯を食べながら、プリモ・
レーヴィの話になって、彼が自殺する直前に書いた I sommersi e i salvatiについて話しながらアントネッロが言葉を詰まらせたんです。滅多にそう言う事がない人だけど(映画を見ても泣かないし)。もう一度原文で読んでみようと思います。
Commented by kayo at 2015-01-30 11:37 x
アンネやアウシュビッツのドキュメンタリーを日本でもNHK-BSで放送してました。
今週は帰宅するとニュースばかり見ています。
私もプリモ・レーヴィを読んでみようかなと思いました。
中学生のお三方、貴重な経験をしたんですね。えらいです!
Commented at 2015-01-31 21:28 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
by lacasamia3 | 2015-01-28 06:07 | 私の独り言 | Comments(14)

フィレンツェで山暮らしをするchihoの田舎便りです。フィレンツェの街歩き情報、イタリア風家庭菜園、お勧めレストラン現地情報、日帰りで行ける街の情報など。フィレンツェの滞在型アパートの紹介サイト「ラ・カーサ・ミーア」を運営しています。


by chiho