SCECな晩

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先日の地域通貨SCECの会、本当に面白かったです。
小さな村の公民館に入りきれないほど沢山の人が集まりました。半分はSCECユーザー、残り半分は私たちのように「SCECって何だろう?」という人たち。
地域通貨って、「グローバル経済に左右されない新しい通貨」と漠然と思っていたのですが、もっともっと奥が深いものでした。


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SCECの仕組みを簡単に説明すると・・・
まず、SCECは厳密に言えば通貨ではなく、クーポン券のようなもの。
最初に、SCECに参加したいときには、それぞれの地域のSCECの活動をしているボランティアにコンタクトを取り、申し込みます(またはこの日のような集まりの際に申し込みます)。その場で20SCECを無料でもらいます。


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(↑タレッジョチーズと赤ラディッシュのクロスティー二、ボルロッティ豆と新オリーブオイルのクロスティー二、黒キャベツ、トマト、かぼちゃのベルタータ=ピュレー)

例えば、会社員のAさんがこの20SCECを持って村の床屋さんに行くとします。床屋のBさんはSCECに参加しているので、通常は散髪25ユーロの所、5SCECを払うAさんには20ユーロで髪の毛を切ってあげます。


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(↑ペコリーノチーズ、手作り洋梨のコンフェットゥーラのせ、凄く美味しかった!)

床屋のBさんは、お昼休みにCさんのバールにご飯を食べに行きます。Cさんは、5ユーロのランチ代を、Bさんから4ユーロ+1SCECで受け取ります。

その後、Cさんは、歯医者さんのDさんの所に行きます。歯の治療をしてもらって、40ユーロを払うところ、Cさんは、35ユーロ+5SCEC払います。


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(↑黒キャベツとポレンタ粉のファリナータ、これも美味しかった!)

でも、お給料をユーロでもらっている会社員のAさんは、本業ではSCECを稼ぐことが出来ません。なので、村の公民館のお掃除をしたり、体が利かないお年寄りのお世話をしたり、お隣の扉を修理してあげてSCECを稼ぎます。


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(↑セイタンとジャガイモの煮込み。トマト味でした)

自分の商売の中で、どのくらいのSCECの割合にするかは、自由。参加しているお店は大体、合計金額の10~20%のSCECの支払いを受けています。でも、中には100%SCECの支払いを受けている農家もあります。「ここのお店はSCECを受けている」という宣伝にもなることも1つの利点です。
私も、登録したので、近くの村でSCECが使えるお店を検索して訪れてみようと思います。勿論、私も、日本語-イタリア語通訳、翻訳業として、合計金額の20%をSCECでも受ける登録をしました。

こうして、登録をすると、その地域でSCECが使えるお店や自営業者のリストをもらうことが出来ます。

地域の人が地元でSCECを稼いでSCECを使うことにより、人と人の繋がりがより強くなる。
地方の活性化を目指すために、公の機関が色々と宣伝をしたり、器を作ってあげるだけでは成り立たないケースが多いけれど、それは、人と人との繋がりが希薄であるからなのかもしれません。

SCECは、あくまでもツール。このシステムを支えているのは、人と人の繋がりだと思います。


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(↑全粒粉のスキアッチャータ・アッラ・フィオレンティーナ フワフワで最高に美味しかったです。オリーブオイルが入っています。)

私が参加しているGASも同じですが、SCECもまた、間に企業などが入らない自由なシステム。皆、新しい経済の可能性を楽しみながら模索しています。


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まだまだ奥が深いSCEC、これからズンズンはまってみたいと思います。写真のお料理以外にも、本当に沢山の種類のお料理が出てお腹一杯になったこの日のディナーは、一人10ユーロ+5SCECでした。

お財布の中にSCECが入っているって、なんかちょっと嬉しい。

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Commented by junjunh0101 at 2012-12-19 07:21
SCECのシステム興味深いです。うちの近くではTime Bankというのがあって、ちょっと似てるけどこちらは通貨はなく、何かの労働で「時間」を稼いでその「時間」を通貨のように使うという仕組みです。
でも肉を食べない私としては、お料理のほうにより関心あり! 魚も食べますが、うまく料理された野菜がいちばん美味しいと思います。どれもとってもおいしそうです。
Commented by la_mia_coccolina at 2012-12-19 08:02
わぁ~、とっても興味深い☆
ちらりとお話と聞いた時は「地域の通貨」としか認識していなかったけれど、人の繋がりや地域の活性化にもっと深く関わっていくシステムだったのですね。
参加する割合も個人の自由で、うんうん、人と人との繋がりの上に成り立っているのがとても良いなぁ。
お財布にSCECが入っていたら嬉しい気持ち、何だかわかります^^
そして。。。お話の間に登場するお料理が。。。たまりません^m^
Commented by y_and_r_d at 2012-12-19 09:33
こんにちは。
SCECの紙幣、ちゃんとデザインされていますね。
SCECの話と美味しい料理の写真とで
お腹いっぱいになりました。
Commented by non at 2012-12-19 12:39 x
凄い先進的な仕組みですね~
私たちも小さな経済圏の中で生きようと夫と話しているのですが
中々思うようにはいきません。
私が住む調布市でも一時期、ちょっとお得な地域で使えるクーポンが買えたのですが、単に商店街でお買い物をするとお得なだけで、でも限定枚数を並んで買うというものでした。
そして、すぐに無くなってしまいました。
地域の人とのつながりの中で手に入れたり、助け合えるというのが、ミソですね。
何か大きなヒントをもらったような気がします。
大きなチェーン店では食事をしない主義の夫にも
この地域通貨の話をしてみます。
日本は今回の選挙でも、結局経済が良くなることを言っている
党が勝利して、がっかりな結果になりました。

何か間違った方向に進んでいきそうで怖さを感じています。

ブログを拝見していると、
本当の豊かさって・・・といつも考えさせられています。
Commented by tomomato at 2012-12-19 18:57
面白い仕組みですね。 お金を払った方が早いけれど、 何か一つの運動に関わっていると言うそこのところで人がつながって行くのですね。 うちの彼も、自分の絵と交換でスキーを買ったり、 絨毯を買ったりしていたけれど(爆) 間に通貨が入るとより可能性が広がりますね。
Commented by プチトマト at 2012-12-20 01:31 x
scecのお話自体もとても興味深かったのですが、その文章と写真の構成が、素晴らしくいい塩梅でした〜
さすが!

土曜日からイタリアに行きます。
イタリア、寒いみたいですね
ミラノに滞在するのですが、フィレンツェに一泊旅行もします
フィノッキオが入ったサラミ、また絶対食べます!!
夢にも出てくるおいしさ〜
今回もよいトラットリアにあたりますように。。

ちほさんとご家族のみなさま、お身体ご自愛くださいませ
Commented by mattfrafra at 2012-12-20 10:57 x
イタリアは地方分権が進んでいるので、こういう仕組みもできるのだろう。かつては日本も町内会とかあったけど、なんかお役所に支配されている。
ところで、ベジって結構炭水化物が多いので、食べすぎに注意。
Commented by siellah at 2012-12-22 04:09
こういう考えの動きは、昔に戻るように思えるけれど、実はすごく近代的というか、先進的なものですよね・・・。
お金に社会や人の生活が振り回されるのではなくて、人のつながりや信頼でまわっていくというのは本来の社会のあり方だろうと思えるし、これはすごく意味深いことだなって、読みながら考えさせられました。
こういう集まりに人がたくさん集まってくるというのも、素晴らしいですね!
素敵なお話をありがとうございました。
ps ベジタリアンのお料理の数々も体に染み入るように美味しそう~~!
by lacasamia3 | 2012-12-19 05:37 | シンプルエコライフ | Comments(8)

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