カラヴァッジョの2枚の絵~ローマ、ドーリア・パンフィーリ美術館

カラヴァッジョの2枚の絵~ローマ、ドーリア・パンフィーリ美術館_f0106597_3244313.jpgローマ話に戻りますが、毎回ローマを訪れる度に1つは美術館を訪れようと思っています。本当は、今回、いよいよバチカン美術館に!とも思ったのですが、休館日の翌日である月曜日だったので、混雑を避け、また次回の楽しみにとっておく事にしました。せっかく訪れるなら静かでゆったりとした時期に行きたいので、11月や2月など人が少ない時期の、木曜日か金曜日辺りに予約を入れて訪れようと思います。

さて、今回、訪れた美術館は、ドーリア・パンフィーリ美術館。
イノケンティウス10世というローマ教皇を輩出した貴族の宮殿がそのままの姿で、美術館として残っています。それ程大きな美術館ではないのですが、ヴェラスケス作の肖像画は余りの出来に、教皇本人が驚愕したという傑作。←、美術や歴史の教科書などで、見たことがある人も居ると思います。

こちらの美術館には、2枚のカラヴァッジョの作品が収蔵されています。現在は並べて展示されていないのが残念なのですが・・・


カラヴァッジョの2枚の絵~ローマ、ドーリア・パンフィーリ美術館_f0106597_3254714.jpg



カラヴァッジョ作 「懺悔するマグダラのマリア」(1594-1595年)


「罪深い女」であったマグダラのマリアは、悪霊に憑かれた病をイエスによって癒され、その後、十字架にかけられたキリストを見守り、埋葬を手伝ったのに、復活をしたキリストに最初に出会った人物と言われています。
これは、それまでの生活を捨て、懺悔するシーン。足元には、宝石が投げ捨てられています。瓶に入っているのは香油。彼女はキリストを埋葬する際にキリストの体に香油を塗ったのです。

そしてもう一枚がこちら・・・


カラヴァッジョの2枚の絵~ローマ、ドーリア・パンフィーリ美術館_f0106597_333126.jpg



「エジプトへの逃避途上の休息」(1595-1596年)

キリストの誕生後、聖母マリアと夫ヨセフが、迫害者ヘロデの追っ手から逃れるために、幼子キリストと共に3人でエジプトへと逃げるという場面。その途中で休憩をしているシーンです。真ん中の天使の部分で画面が左右に分かれている不思議な絵。
聖母マリアは、まるでキリストの運命を予告するかのように、眉間にしわを寄せ、しっかりと幼子を抱えています。


カラヴァッジョの2枚の絵~ローマ、ドーリア・パンフィーリ美術館_f0106597_3335291.jpg



聖母マリアは、先ほどの、マグダラのマリアと同じモデルだと言われています。
カラヴァッジョはこうした宗教画の登場人物のモデルを、当時の夜のローマの徘徊しながら、娼婦や貧しい人々の間に探したのだそうです。
もしかしたら、この時代に、こうして首を斜めに傾げながら、ふうっとため息ばかりついていた、悲しい顔をした美しい娼婦が居たのかもしれません。


カラヴァッジョの2枚の絵~ローマ、ドーリア・パンフィーリ美術館_f0106597_5445485.jpg美しい天使の前で、足をもじもじさせているヨセフにも注目!

小さな美術館ですが、周辺のローマの喧騒を逃れ、静かな気持ちになることができる場所です。

ドーリア・パンフィーリ美術館
Piazza del Collegio Romano 2
木曜休館10時~17時

人気blogランキングへ
気に入っていただけたら↑をポチッとクリックしてください♪
Commented by nonnina at 2011-09-11 10:01 x
カラヴァッジョには、こんな穏やかな絵もあるんですね。
初めて本物を見たのは、カポディモンテの「キリストの鞭打ち」でした。ドラマチックな展示方法と、周囲に誰もいなかったせいか、涙が自然に流れてきた不思議な出会いでした。忘れられないナポリです。
それ以後、時々カラヴァッジョを見ましたが、ここにあげて下さったような穏やかな絵を見た記憶がありません。思いがけず、とてもいいですね。ヨセフの足がほんとにいいです!可愛らしい^^
先週ローマを旅行してきたばかり!この美術館の存在さえ知らなくて残念ですが、いつか又行く機会があれば、ぜひ行ってみたいです。
ヨセフの足を見なくっちゃ~!♪
Commented by nonnina at 2011-09-11 10:28 x
追伸です
今、chihoさんの過去記事を読んでいたら!
なんと、なんと、同じ日にローマでした!!!♪♪私の一番好きなパンテオンですれ違っていたかも~?6日は雲ひとつない青空でほんとに暑かったですね!!ハレの国がキャッチフレーズのわが岡山みたいでした^^ショーペロで不便もありましたが、古代ローマ遺跡にはためくストイベントの赤い風船とか、老若男女が鮮やかな色の旗を肩にかけて参加しているのとか(暑いのに、かなり年配にみえる人も参加してて、元気だなあって感心しました)2000年前と今と、人の暮らしが続いていることをとっても実感して、興味深かったです。
Commented by bienvenida at 2011-09-11 10:30 x
カラヴァッジオはすごいですね。写真でもすごいけど、実物はオーラを放っていますね。カラヴァッジオの描く顔は、聖人なのに気品のない表情(?)で、一層リアルな臨場感を作り上げています。下町の不良少年や娼婦をモデルにしたというのも納得です。
Commented by chiyo at 2011-09-11 12:37 x
こんにちは、千穂さん。さっき買ってきたズコットというケーキを食べながらブログを拝見してます。「トスカーナのお菓子」と書いてあったので、思わず買ってしまいました!チョコ味のスポンジで生クリームとナッツをサンドしたような美味しいお菓子でした。本場のズコットはどんな味かな…
Commented by chocolategasuki at 2011-09-11 12:41
美術館の中庭などの異空間というか、イイ意味で空気がぴーんと張り詰めてきもちが穏やかになるような、シャキっとするような空気を思い出しました。はじめてchihoさんの
ブログにコメントしたのも、カラヴァッジョでした^^また楽しみにしています^^
Commented by gantou at 2011-09-11 13:03
素晴らしい解説で絵に引き込まれ、見入ってしまいます。ローマには数多くの美術館が有り、素晴らしい絵画が展示されています。私の様にイタリア語が分からないと、絵のバックグランドのストーリーは分かりません。Chihoさんの解説で、絵の持つ意味まで良く分かり感謝です。また、美術館に連れて行って下さい。
Commented by umi_0768 at 2011-09-11 14:07
カラヴァッジョのあたりは主人の大好きなところで、この画家の事件?などよく話してます。
生カラヴァッジョかぁ..いいですね。by海町
Commented by ふたころ at 2011-09-11 15:16 x
ん~宗教画・・・
だんだんついて行けなくなってきているアタシがおります・・・

神社やお寺に行っては手を合わせたり2礼2拍手?はするんですけど
仏教徒でもなし・・・

何か強くおすがりしなければならなかった時代背景があったのでしょうかね?

さて、日本では今日が3月の震災から半年ということで、数日前からTVや新聞で取り上げられています
アタシのカミサンも今日は福島県南相馬市へボランティアです
ガレキはあれど、ボランティアセンターへの要望がないようで、することがない・・・とボヤキのメールがきました

色々と考えさせられる1日でもあります
先ほどスーパーへ買い物に行きましたが、震災後の物資不足がウソのように商品が捨てるほど並んでいました
買い物客も開店前から行列が出来るような状態にもなく、電力使用量の規制法も解除されたためか?消されていた店内電灯がつけられていました
これらをどう受け止めていいのやら・・・ 頭の整理が出来ないアタシがおります・・・
Commented by kayo at 2011-09-12 16:10 x
ドーリア・パンフィーリ、行きたかったです。「エジプトへの逃避途上の休息」はガイドブックで見て、不思議な絵だなと思ってました。
しかしヨセフの足をこんな人間らしく描いちゃうんですね!さすがカラヴァッジョ。でも天使はきれいだなぁ…
Commented by kayorin at 2011-09-12 21:52 x
初めまして。いつもブログ楽しく拝見しています。
8月にヴェネチアとローマに家族と行きました。
ローマではカラヴァッジョを観ようと娘と楽しみにしていました。
私たちは予約してヴォルゲーゼ美術館とサンタ・マリア・デル・ポポロ
教会の絵を観てきました。その才能に感動しました。
激しい生き方をした人ですが、宗教画ながらすごい生命力を
感じました。

是非次はドーリア・パンフィーリにも行きたいと思います。
実はカタコンブにも行きたかったのですが、丸2日しかいられなかったのであきらめました。

Commented by じゅんごん at 2011-09-14 21:23 x
マグダラのマリアがとても好きです。
7年ほど前のイタリア旅行では、テーマがマグダラのマリアで、彼女がどのように絵画やレリーフなどに描かれているかをじっくり鑑賞しました。そこで、思ったのですが、彼女は、とても重要で目立つ位置に描かれていることが多いですね。例えば、左右対称になっているような宗教がなど、必ず大きくしっかりとした位置を与えられているように思えました。
特に好きな絵は、フィレンツェのサンタ・マリア・マッダレーナ教会の地下のペルジーノのフレスコ画です。あのマグダラのマリアは他とは違い、知的で悟ったような表情をしていました。どうしてなのかとても気になりました。
by lacasamia3 | 2011-09-11 05:48 | ローマ プチ情報 | Comments(11)

フィレンツェで山暮らしをするchihoの田舎便りです。フィレンツェの街歩き情報、イタリア風家庭菜園、お勧めレストラン現地情報、日帰りで行ける街の情報など。フィレンツェの滞在型アパートの紹介サイト「ラ・カーサ・ミーア」を運営しています。


by chiho