フィレンツェ田舎生活便り2

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フィレンツェで山暮らしをするchihoの田舎便りです。フィレンツェの街歩き情報、イタリア風家庭菜園、お勧めレストラン現地情報、日帰りで行ける街の情報など。フィレンツェの滞在型アパートの紹介サイト「ラ・カーサ・ミーア」を運営しています。

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人力オーガニックな人たち

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コメント欄でGASについて面白いご質問を頂いたので、GASについてちょっと掘り下げてみたいと思います。
ご存知の通りGASとはGruppo di Acquisto Solidale (支援をする共同購入組合)の略語です。ただの共同購入組合ではなく、"Solidale"(支援する)という言葉が付いている通り、小さな農家を支援するグループでもあります。
通常、農産物を直接生産者から買おうとするとき、その目的は「間に業者が入るよりも値段が安いから」と単純に思うかもしれません。
所が、GASでは、オーガニックの専門店で買うよりはやや安いのですが、それ程安いわけではありません。お肉も野菜も、魚もチーズも、スーパーの通常の(オーガニックではない)農産物と比べるとかなり割高です。

では高い農産物をわざわざ交通費をかけたり時間を割いて、喜んで取りに行く人たちって???

普通ではなかなか理解しがたい行動です。

まず、1つの理由は「スーパーマーケット」という、人間の長い歴史の中では意外と新しい販売形態から抜け出すということ。物を売ることで利益を上げるスーパーマーケットでは、商品選びはスーパーにとって利益があるかどうかという観点で行われます。一方、GASである農産物を購入するかどうかを判断するときには、農産物の栽培方法の観点で行われます。

また、農産物が消費者に渡るまでのルートも関係します。
例えば、ある農家でジャガイモが栽培されているとします。ここでジャガイモの行方はいくつかに分かれます。野菜卸売り市場を通じて八百屋さんや市場、スーパーに運ばれる、スーパーに直接運ばれる、またはGASが直接買う。
色んな経緯で消費者に届くジャガイモは1キロ当たり1ユーロ。もし、スーパーや野菜の卸売り市場を通した場合、生産者が手にするは一体一キロ当たりいくらになるのでしょう?GASが直接買うとなると、そこには税金が発生するだけで後の残りは全て農家の収入になります。

オーガニックの農家の殆どは小規模農家。季節により、その年の気候により農産物の品質にバラつきがあるのは当たり前のこと。それが自然のサイクルなのですが、スーパーはそういったばらつきを嫌うため、生産が安定している大きな農場(または、いくつかの系列店に、まとめて納品が出来る大きな農場)を好みます。例えば、予約をしておいたジャガイモが、畑に侵入した鹿たちに食べられてしまったら、それはしょうがない事。次に期待しましょうと大らかに理解するのがGASの人たち。納期も、もし農家のおじさんが腰が痛くて収穫できなかったら、収穫を待ってあげます。

勿論、お金を払って、農産物を受け取るという経済活動の1つではありますが、消費者と生産者の間にもっと人間的な関係が存在するんです。

また、イタリアで最近注目されているKM0(キローメトロ・ゼロ)という考え方からも、GASの消費スタイルは当てはまります。コストを下げてより利益を上げようとするスーパーが、安いジャガイモを800キロ離れた南イタリアから一年中運んでくるのに対して、半径30キロ圏内で採れる有機のジャガイモを採れる時に(ジャガイモの収穫期は通年ではないのです)購入すること。

わが村のGASでは、毎月1度、皆で集まり、有機栽培について色々と情報交換をしたり、新しい農家について購入をするかどうかを話し合ったりします。
机上のエコ論だけでなく、イメージに流されるわけでもなく、腕まくりをしてシチリアから届いた有機オレンジの箱を積み上げたり、毎週届く卵を皆に分けたり・・・。人力オーガニック人間のGASのメンバー。見ていて何だか格好良いなあ~と思うんです。

長くなりましたら、またいつか別の機会に、GAS話をお伝えしたいと思います。


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Commented by y_and_r_d at 2010-04-26 07:58
こんにちは。
素晴らしいシステムです!
日本でもよく似たケースはあるようですが
食文化に対するこだわりは
ヨーロッパの方々のほうが進んでいるようにも感じます。
Commented by mukkoT2 at 2010-04-26 08:59 x
私も、自分達のためだけでなく、次の世代のためにも、こうやって目先の金銭にとらわれることなく、そして労力を惜しむことなく行動できる人達は、本当にかっこいいな~と思います。
他人に任せてきたいろいろなことを、もう一度自分達の手に取り戻そうという考え方ややり方は、これからどんどん広がっていく(いかなくちゃいけない)のでしょうね。そのさきがけに関わっているChihoさんもかっこいいですよ!
Commented by mamadance at 2010-04-26 09:49
しっかりとわかりました。(!)エコライフを実践しているイタリアの生活者の人たちの姿が浮かび上がって見えてくるおはなしでした。
かっこいい皆さんですね!
骨太のお仲間の姿を勝手に想像しています。
豊かな時間ですね~。

日本でも有機の農家を応援するシステムがあります。
私もお米農家から始めようと思っています。
なかなか共同購入とまでは難しいのですが・・・・。
Commented by hatton1971 at 2010-04-26 10:05 x
この「通年で手に入らない」というのが自然の食のあり方なんだと思います。
ご著書へのコメントに「日本で有機栽培云々というとどこか引っかかる」旨書きましたが、大抵の方は実践しているつもりでも季節を問わず同じものを(値段が多少高くても)食べる日本。GASの皆さんと違うのはそこだと思っています。
Commented by るか at 2010-04-26 14:14 x
日本は宅急便が発達しているためか、ホテルやレストラン、個人宅、自然食品店に定期的に直接発送する方法をとられている有機農家さんが多いですね。働き方やご近所付き合いの変化もあり、宅配生協でも数軒まとめての配送より個配の割合が高くなっているそうです。
Commented by cocopuff1212 at 2010-04-26 16:41
アメリカではCSA (Community Supported Agriculture)と呼ばれてますが、名前が違うだけで同じコンセプトですね。米国各地でじわじわと浸透し始めています。流通に必要な燃料が激減するわけですし、環境によいはずですね。

大体、地元でとれたオレンジより南米から輸入されたものの方が安いというのは、なんかどっかおかしいよねえといつもスーパーで感じていたのでした。

フランスではいつも青空市場ですが、やっぱり味が違います。決して安いわけではないですけどね。
Commented by woodstove at 2010-04-26 17:23
 生産者の都合や気象条件の変化にも、消費者が対応してゆく姿は
立派だと思いますよ。 生産者の声を聞く事もこのようなシステムが
上手く円滑に行くんだなあと感じました。
 
 スローフードという言葉は、生産から消費者の手に渡るところまで
キチンとしていてこそ成立するんでしょうね。
 日本における安心・安全は、まだまだだと感じます。
生産者が自分で作ったモノに、自分で価格を設定できればと
思う事が多々あります。。。。
Commented by nikatannn at 2010-04-26 18:15 x
4月から、北海道のCSAの農家でパンを焼いています。アメリカ人のベンが作ってくれた(パンを焼く日は火もおこしてくれる)石窯で、100パーセント有機の材料で、やってますよー。何が大変かって、石窯の温度とパンの発酵のタイミングをあわせて焼くのが、難しーです。でも、炎と大地(麦)と、水の共同作業で一つの田舎パンが焼き上げるのは、ものすごく楽しいです。
Commented by アシカ at 2010-04-26 18:20 x
このGASというシステム、とてもすばらしいなぁと読ませていただくたびに思っています。わかりやすく紹介してくださりありがとうございます!
今日の私のブログに紹介させていただきました。
理想だなぁ。。。自分も含め、何人か生産者の顔が浮かびますが、まとめるとなると大変そう。きっちりじゃなくてちょっとゆるくつながって行ける関係ができるといいのかなぁ。
Commented by lacucinasiciliana at 2010-04-26 18:44
トラーパニではスローフードがGASを立ち上げたんだけれど、なんか方向性が違うんだよね~。そこには$の臭いがプンプンするのよ(苦笑)第一弾は「カンパーニャからモッツァレッラを!」という企画だったけれど、え?カンパーニャ?その前に地元の生産者とかと話をしたほうが、、、と思ってしまう私でした。

もっとも、土地を持っている人が多いシチリア。「GASに参加するくらいなら自分で全部作る!」という人がまだまだたくさん残っているのかも知れないね。そのせいか、無農薬、とかKM0の運動がなかなか盛んにならないシチリアです。
Commented by lacasamia3 at 2010-04-26 22:32
y_and_r_dさん>イタリア人の食に対する情熱ってすごいです。食べ物の話をすると皆熱くなるし(笑)。仕事への熱意はソコソコなのにね(苦笑)
Commented by lacasamia3 at 2010-04-26 22:39
mukkoT2さん>そうそう、そこなんです。何を食べるのか、農産物にいくら払うのか、どんな農産物を買うのか・・・そんな個人的な選択が、何故か、現代の経済システムの中で制限され、操作されているような気がするのです。GASではそれを超える自由な選択ができます。
Commented by lacasamia3 at 2010-04-26 22:40
mamadanceさん>GASを始めてから地域の人々と知り合いになれた部分も大きいです。やっていて楽しいんですよ。
Commented by lacasamia3 at 2010-04-26 22:42
hatton1971さん>オーガニックとかエコという言葉だけでは流されない、より本質的な考え方がGASにはあるような気がします。
Commented by lacasamia3 at 2010-04-26 22:46
るかさん>このシステムがもし個人宅への宅配だったら楽しみは半減すると思うんです。皆でワイワイ分け合うから楽しい部分が大きいです。そして梱包によって発生するごみも少なく、配送にかかる大気汚染も少なくてすみます。
Commented by lacasamia3 at 2010-04-26 22:50
cocopuff1212さん>そうなんです。例えば地元で手に入らない食品はしょうがないけれど、地元で採れるのに、何故わざわざ遠くから運んでくるのか?というのには複雑な経済のトリックが絡んでくるんですよね。でも消費者には関係のないことですもんね。地元で採れる物は地元で消費するのが一番です。
Commented by lacasamia3 at 2010-04-26 22:52
woodstoveさん>そうしないと小さな生産者はグローバル経済の波に押されて消えてしまいますもんね。お金には代えられない何か新しい価値が生まれているような気がします。
Commented by lacasamia3 at 2010-04-26 22:59
nikatannnさん>こんにちは。へえ~楽しそうですね。うちも今年は石釜を作りたいなあと思っています。うんうん、その楽しさ何となく判ります。美味しいピザも出来そうですね。
Commented by lacasamia3 at 2010-04-26 23:01
アシカさん>ブログで紹介してくださって有難うございます。このシステム、イタリア人の緩さが良い意味で(笑)グループにのんびりした雰囲気を漂わせています。ギスギスせずに大らかな気持ちで・・・というのがグループのモットーです。
Commented by lacasamia3 at 2010-04-26 23:02
Reiちゃん>もしそのモッツアレッラがオーガニックの酪農だったら、それは良いかもね。でも私も順番としてはまずトラーパニの周辺から始めるべきだろうなあって思います。
Commented at 2010-04-27 12:32 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by noreizoko at 2010-04-27 15:39
どうもありがとうございました。自分が食べたいと思う食品をその生産者から直接買うもの(農協が扱わないなどの事情もあるそうで)、私の場合はお米がそうです。遠いので、送ってもらうのですが。その他は信頼できる小売店で買います。納得していますが、やはり高いし、地産地消という訳には中々行きませんね。もっともスーパーで食品を買えなくなりましたが(笑)。GAS、直接会って買える環境も素晴らしいですね。これからもプログ楽しみにしています。
Commented by marcheselli at 2010-04-28 05:07
パルマでも月に1回会合があり、話し合います。でも私は、まだまだ、、、。前回は休んでしまったり。ちほさんの姿勢を見らなわなくちゃと思います。
by lacasamia3 | 2010-04-26 05:04 | シンプルエコライフ | Comments(23)