メディチ家終焉第一の章~フェルディナンド&ベアトリーチェ

メディチ家終焉第一の章~フェルディナンド&ベアトリーチェ_f0106597_285370.jpg今年の3月から書き始めた「フィレンツェ小話」は、既に1600年代の終わり、そろそろメディチ家終焉の鐘が鳴り始めたようです。
今年最後の小話の主人公は、フェルディナンド・ディ・メディチ(画像左)。
「ひきこもりトスカーナ大公」コジモ3世とパリに逃げ帰った「モーレツ姫」マルゲリータ・ドルレアンの間に生まれた3人の子供のうちの長男です。
母親は彼が幼い頃にさっさとパリへと戻ってしまい、父親であるコジモ3世が3人の子供を育てます。ただ、父親との交流は殆ど無く、共通点を見出せないまま、子供達は成長していきます。特に、音楽、演劇、芸術を愛する長男フェルディナンドと、狂信的な程に宗教へと倒錯する父コジモ3世の対立が耐えませんでした。ピッティ宮殿を修道僧で埋め尽くし、贅沢を嫌ったコジモ3世の政策に反対したフィレンツェ人は、社交的な性格で頭が切れるフェルディナンドを支持するようになります。
道楽息子フェルディナンドを何とか結婚させれば、少し落ち着くのではないか?と考えたコジモ3世は、フランス王家とも近い血縁を持つバイエルン選帝侯の娘ヴィオランテ・ベアトリーチェ・ディ・バヴィエーラを息子の嫁にふさわしいと、根回しをし始めます。問題は、どうってフェルディナンドに結婚に同意させるかでした。そこで、結婚をしなければ、今後の金銭的援助をストップすると宣言します。演劇や芸術を愛し、度々、ヴェネツィアに行き、膨大なお金を使っていたフェルディナンドはそれが出来なくなることを恐れ、結婚に同意します。(余談ですがこの時代、ヨーロッパ中のプリンチペにとって、ヴェネツィアはラスベガスとか夏のリミニの様な滞在先だったんでしょうね。「遊ぶぞ~!」みたいなお年頃の王子様がお供の者を連れて繰り出していたんだろうなあ)


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1689年1月、極寒のフィレンツェのドゥオーモでフェルディナンド(当時26歳)とベアトリーチェ(当時17歳)の結婚式が行われます(寒かっただろうなあ)。ベアトリーチェは一目フェルディナンドに会った時から一目惚れしますが、フェルディナンドは全く花嫁に興味を示さず、新婚当初から、以前と変わらない道楽放題の生活を続けます。
そして、ある年、ヴェネツィアに遊びに行っていたフェルディナンドは、ある貴族の女性から梅毒をうつされてしまいます。
その後、長い闘病生活の末、1713年にトスカーナ大公の位を引き継がず、子供も残さずに亡くなります。ベアトリーチェは、その間ずっとフェルディナンドの看病をし、そばに付き添います(けなげ・・・)。

余談ですが、未亡人ベアトリーチェはその後、ピッティ宮に残り、後年フェルディナンドの弟のジャン・ガストーネの最期も看取ることとなります。

来年になりますが、次回の「フィレンツェ小話」の主人公は次男のジャン・ガストーネです。
日本はもう31日ですね。年末のご挨拶はイタリア時間で明日の31日にとっておきますね。

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Commented by daikanyamamaria at 2008-12-31 14:35
フィレンツェ小話、毎回楽しみにしていました☆

特にメディチ家のドラマは、豪奢な演劇のようですね。

それでは、イタリア時間で明日の31日のご挨拶を お待ちしています^^
Commented by カバン持ち at 2008-12-31 18:31 x
慌ただしい年の瀬、ちょっとだけlacasamiaさんを覗いてみようと思って、こちらに来たら・・なんと「フィレンツェ小話」の日ではありませんか!
やっぱり読まずにはいられませんでしたヨ。笑
今年一年、楽しいお話を本当にありがとうございました。
来年もどうぞ私達lacasamiaさんのファンを楽しませてくださいね♪
ではでは、良いお年を~!
Commented by rucola_333 at 2008-12-31 19:48
chihoさんのこのブログを見て、ものっすごくイタリアに憧れ、
とうとうあさって2日から11日間イタリアに行きます!!
今回はローマから南に行くのですが、来年はフィレンツェで
chihoさんとゆきちゃんに会いたいなー。

毎回ゆきちゃんのセンスあふれる絵とchihoさんのコメントを
楽しみにしてます!!

ワタシは独身ですが、まったく他人であるはずのゆきちゃんの
成長をこんなに見守っていて、ちょっと不思議な気分です。
Commented by lacasamia3 at 2009-01-03 03:54
daikanyamamariaさん>コジモ1世以降、メディチ家の終焉までの時代って私も詳しく知らなかったので、とても興味深いです。メディチ家が途絶えた後はハプスブルグ家がトスカーナ公国を継承するんですよ。
Commented by lacasamia3 at 2009-01-03 03:54
カバン持ちさん>今年一年、独りよがりなこの「フィレンツェ小話」を読んで下さって有難うございます。これからメディチ家終焉までまだまだ波乱万丈なので、また読んで下さいね。せっかくここまで来たから、その後は近代まで続けてみようかと思っています。
Commented by lacasamia3 at 2009-01-03 03:55
rucola_333さん>いつもブログを通じて山の我が家を見守ってくださって有難うございます。おお~11日間のイタリア、楽しい滞在になると良いですね。南イタリアを堪能してきてくださいっ!
by lacasamia3 | 2008-12-31 03:27 | フィレンツェ小話 | Comments(6)

フィレンツェで山暮らしをするchihoの田舎便りです。フィレンツェの街歩き情報、イタリア風家庭菜園、お勧めレストラン現地情報、日帰りで行ける街の情報など。フィレンツェの滞在型アパートの紹介サイト「ラ・カーサ・ミーア」を運営しています。


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